「留袖を着るなら、私は五つ紋と三つ紋のどちらを選べばいい?」
「色留袖なら一つ紋でも親族の結婚式に着られる?」
「新郎新婦の母親と姉妹では、同じ格式でいいの?」
結論からいうと、留袖は紋数だけで選ぶのではなく、新郎新婦との関係や黒留袖・色留袖の違い、両家の装いまで含めて判断することが大切です。
五つ紋が最も格式は高いものの、格式が高ければ高いほどよいわけではありません。
自分の立場に合わない装いを選ぶと、かえって周囲とのバランスが取りにくくなります。
この記事では、次の3点を中心に解説します。
- 五つ紋・三つ紋・一つ紋の格式の違い
- 母親・姉妹・祖母・伯母や叔母など、立場別の選び方
- 手持ちやレンタルの留袖で確認したいポイント
「自分の立場なら何紋が合うのか」を判断できるよう、紋数の基本から黒留袖と色留袖の違い、親族ごとの選び方まで順番に整理していきます。
Contents
留袖の紋数と格式|まず五つ紋・三つ紋・一つ紋の違いを知ろう

留袖の紋数には五つ紋・三つ紋・一つ紋があり、基本的には紋の数が多いほど格式が高くなります。
ただし、結婚式では最も格式の高いものを選べばよいわけではありません。
新郎新婦との関係や両家の装い、その場で求められる礼装に合わせて選ぶことが大切です。
まずは、次の表の3つの違いを整理しておきましょう。
| 紋数 | 紋が入る位置 | 格式 | 留袖での主な考え方 |
| 五つ紋 | 背中1・両袖2・両胸2 | 最も高い | 黒留袖に用いられる基本の形式。色留袖では第一礼装になる |
| 三つ紋 | 背中1・両袖2 | 五つ紋より控えめ | 主に色留袖で、第一礼装ほど格式を上げずに礼装として整えたい場合に使う |
| 一つ紋 | 背中1 | 三つ紋より控えめ | 色留袖の格式を抑え、着用できる場面を広げたい場合に使う |
表だけでは判断しにくい部分もあるため、ここからは五つ紋・三つ紋・一つ紋それぞれの特徴と、結婚式でどう考えるかを詳しく見ていきます。
五つ紋は最も格式が高い第一礼装
五つ紋は、背中の中央に一つ、両袖の後ろ側に一つずつ、両胸に一つずつ、合計五つの紋を入れる形式です。
背中は「背紋」、袖は「袖紋」、胸は「抱き紋」と呼ばれます。
紋数のなかでは最も格式が高く、第一礼装に用いられます。
黒留袖は五つ紋を入れた第一礼装で、新郎新婦の母親など、結婚式で迎える側の中心となる立場の代表的な装いです。
色留袖も五つ紋にすると第一礼装となるため、五つ紋は黒留袖だけのものではありません。
ただし、最も格上だからといって、すべての親族に適するわけではない点には注意が必要です。
母親・姉妹・伯母や叔母では立場が異なるため、自分に五つ紋が必要かを確認して選ぶことが大切です。
三つ紋は格式を抑えながら礼装として整えたいときに使う
三つ紋は、背中の中央に一つ、両袖の後ろ側に一つずつ、合計三つの紋を入れる形式です。
五つ紋にある両胸の紋がなくなるため、格式は一段抑えられます。
留袖では主に色留袖に用いられ、第一礼装ほど格を上げずに、きちんとした礼装として整えたい場合の選択肢です。
親族の結婚式では、新郎新婦の姉妹や伯母・叔母などが検討するケースがあります。
三つ紋は「五つ紋より劣る」のではなく、自分の立場に合わせて礼装の格を調整するための紋数です。
選ぶ際は続柄だけで決めず、両家の母親や近親者がどのような装いをするのかも確認しておきましょう。
一つ紋は背中に一つ|色留袖を幅広く着用しやすくなる
一つ紋は、背中の中央に一つだけ紋を入れる形式です。
五つ紋・三つ紋より格式を抑えられるため、色留袖を着用できる場面が広がります。
親族の結婚式では、新郎新婦との関係や式の格式によって、一つ紋の色留袖が選択肢になります。
また、第一礼装ほどの格式を求められない式典や改まった席にも合わせやすいのが特徴です。
一方で、どの結婚式でも一つ紋でよいわけではありません。
新郎新婦との関係が近く、両家が格式の高い礼装で揃える場合には、三つ紋や五つ紋のほうが適するケースもあります。
一つ紋は「格が足りない」のではなく、立場や場面に合わせて格式を抑え、着用範囲を広げるための選択肢と考えると分かりやすいでしょう。
黒留袖と色留袖では「紋数の考え方」が違う

留袖の紋数を考えるときは、黒留袖と色留袖を分けて理解すると迷いにくくなります。
黒留袖は結婚式における第一礼装として位置づけが明確なのに対し、色留袖は紋数によって着用する場や立場を調整できるためです。
そのため、「留袖なら何紋にするか」と一括りに考えるのではなく、まず黒留袖と色留袖のどちらが自分の立場に合うかを決め、そのうえで紋を確認するのが順序です。
ここからは、黒留袖がどのような立場で選ばれるのか、色留袖は紋数によってどう使い分けるのかを見ていきます。
黒留袖は結婚式で近い親族が着る第一礼装
黒留袖は、黒地に裾模様が入り、五つ紋を付けた既婚女性の第一礼装です。
結婚式では、新郎新婦の母親をはじめ、祖母や既婚の近親者など、迎える側に近い立場で用いられてきました。
特に母親は、両家を代表してゲストを迎える立場でもあるため、黒留袖が代表的な選択肢となります。
一方、親族であれば誰でも黒留袖にする必要があるわけではありません。
姉妹や伯母・叔母などは、新郎新婦との関係や両家の方針に応じて、色留袖やほかの礼装を選ぶ場合もあります。
つまり黒留袖は、単に「黒い留袖」なのではなく、結婚式で着る人の立場まで含めて意味を持つ装いです。
自分が母親なのか、それ以外の親族なのかによって、選び方を分けて考える必要があります。
色留袖は紋数によって着用する場や立場を広げられる
色留袖は、黒以外の地色に裾模様を配した礼装です。
黒留袖との大きな違いは、紋の入れ方によって礼装としての位置づけを変えられることにあります。
五つ紋を入れれば第一礼装となり、格式を重視する場にも対応できます。
一方、三つ紋や一つ紋にすると、第一礼装よりも用途が広がり、結婚式に出席する親族や改まった席などで選びやすくなります。
そのため、「色留袖なら何紋が正解」と一つに決めることはできません。
たとえば、新郎新婦との関係が近く格式を重視するなら五つ紋、母親ほど中心的な立場ではない親族なら三つ紋や一つ紋を検討する、というように考えます。
黒留袖が「着る立場と格式が比較的明確な留袖」なのに対し、色留袖は自分の立場や出席する場に合わせて選択肢を持てる留袖と捉えると、違いが分かりやすくなります。
結婚式の留袖は何紋を選ぶ?新郎新婦との関係別に確認

結婚式で留袖を選ぶときは、年齢よりも新郎新婦との関係の近さと、式の中での立場を基準に考えます。
母親、姉妹、祖母、伯母・叔母では役割が異なるため、同じ親族でも選ぶ装いは一律ではありません。
また、両家の装いに大きな差が出ないよう、事前に確認しておくことも大切です。
特に母親や近親者は、個人だけで決めず、家族間で認識を合わせておくと安心です。
ここからは、新郎新婦との関係ごとに、黒留袖・色留袖と紋数の考え方を具体的に確認していきます。
新郎新婦の母親|基本は五つ紋の黒留袖
新郎新婦の母親は、結婚式でゲストを迎える側の中心となるため、五つ紋の黒留袖が代表的な装いです。
黒留袖は第一礼装にあたり、両家の母親が着用する和装として広く定着しています。
色留袖でも五つ紋であれば第一礼装になりますが、母親の場合は黒留袖を選ぶのが一般的です。
色留袖を検討するなら、片方の母親だけが大きく異なる装いにならないよう、両家で事前に確認しておきましょう。
ここで優先したいのは、「黒留袖でなければならない」と形式だけで考えることではなく、両家で礼装の格を揃えることです。
式場や地域、家庭で決まりがある場合には、その方針も確認したうえで選びます。
新郎新婦の姉妹|色留袖なら立場に合わせて紋数を選ぶ
姉妹の場合は、母親より選択肢が広がります。
既婚なら黒留袖・色留袖・訪問着、未婚なら振袖・色留袖・訪問着などが候補となり、色留袖は未婚・既婚を問わず着用できます。
色留袖を選ぶ場合は、式の格式や家族内での立場に合わせて紋数を調整します。
親族として格式を重視するなら五つ紋、母親より少し控えた装いにしたい場合は三つ紋や一つ紋を検討する方法があります。
つまり、「姉妹だから必ず三つ紋」という決まりではありません。
既婚・未婚だけでなく、両家の母親やほかの近親者が何を着るのかまで確認し、全体のバランスから選ぶことが大切です。
祖母・伯母・叔母|母親との格式バランスも確認する
祖母や伯母・叔母も、新郎新婦に近い親族として黒留袖や色留袖を選ぶことがあります。
祖母は黒留袖を着用するケースが多い一方、色留袖や訪問着を選ぶこともあります。
伯母・叔母についても、黒留袖・色留袖・訪問着が候補です。
この立場で特に意識したいのが、母親よりも目立つ格式にしないことです。
たとえば伯母・叔母が色留袖を選ぶ場合、新郎新婦との距離感や家族内の方針によって、三つ紋にして格を調整する方法もあります。
祖母については、年齢や体調も含めて無理のない装いを選ぶ視点も必要です。
格式だけを優先するのではなく、式の間を快適に過ごせるかどうかも含めて考えるとよいでしょう。
いとこなど少し離れた親族|格式を上げすぎないことも大切
新郎新婦との関係が少し離れる場合は、近親者と同じ装いに揃える必要はありません。
いとこなどであれば、色留袖のほか、訪問着や色無地なども選択肢に入ります。
未婚なら振袖を選ぶこともできます。
色留袖を着る場合も、五つ紋では格式が高くなりすぎることがあります。
三つ紋や一つ紋であれば、親族として改まった装いを保ちながら、母親や祖母など主役に近い親族より一段控えた印象にしやすくなります。
大切なのは、「親族だから留袖」と自動的に決めないことです。
新郎新婦との距離、両家の装い、式全体の格式を見ながら、自分だけ格を上げすぎないように選ぶことが、自然なバランスにつながります。
「格式は高いほど安心」ではない|留袖選びで失敗しない3つの判断基準

留袖を選ぶとき、「迷ったら格式の高いものにしておけば失礼にならない」と考えたくなります。
しかし、結婚式の装いで大切なのは、自分だけ格を上げることではなく、立場や周囲とのバランスを整えることです。
そのため紋数を決める前に、
- 新郎新婦とどのような関係なのか
- 両家はどのような装いをするのか
- 地域や家族、式場に決まりがないか
以上を確認しておくと判断しやすくなります。
ここからは、留袖選びで迷ったときに確認したい3つの基準を見ていきましょう。
自分の年齢より「新郎新婦との関係」を先に確認する
「50代だから黒留袖」「若いから色留袖」と、年齢だけで決める必要はありません。
まず確認したいのは、新郎新婦にとって自分がどのような立場なのかです。
たとえば同じ50代でも、新郎の母親と伯母、姉では結婚式での役割が違います。
反対に、若くても新郎新婦の母親であれば、迎える側の中心として第一礼装を選ぶことになります。
年齢は、留袖の地色や柄の雰囲気を選ぶ際には参考になりますが、礼装の格を決める第一の基準ではありません。
最初に続柄と役割を確認し、その立場に必要な格式を考えたうえで、年齢や好みに合う一着へ絞ると選びやすくなります。
新郎側・新婦側で装いの格を揃える
もう一つ確認しておきたいのが、両家の装いに大きな差をつくらないことです。
特に新郎新婦の母親は、片方が五つ紋の黒留袖、もう片方が軽い印象の装いになると、並んだときに格式の差が目立つ場合があります。
とはいえ、まったく同じ衣装に揃える必要はありません。
和装か洋装かも含め、どの程度の礼装にするのかを事前に共有しておくことが重要です。
姉妹や祖母、伯母・叔母などの近親者も同様で、個人だけで判断するより、母親を中心とした親族全体の装いを確認すると選択肢を絞りやすくなります。
レンタルする場合も、単に「結婚式用」と伝えるのではなく、新郎新婦との続柄やほかの親族の服装まで伝えて相談すると、必要以上に格式を上げたり下げたりする失敗を防げます。
地域・家族・式場の慣習がある場合はそちらを確認する
着物の礼装には基本的な考え方がありますが、実際の結婚式では地域や家族によって慣習が異なることがあります。
そのため、一般的なマナーだけで決めず、家族の中に決まりがある場合は先に確認することが大切です。
たとえば、親族は黒留袖で揃える、母親以外は色留袖にするなど、家ごとに装いの考え方が決まっているケースがあります。
手持ちの留袖を着る場合も、「家にあるからそのまま着る」のではなく、自分の立場に合うかを一度確認しておくと安心です。
また、式場や結婚式の形式によって案内がある場合は、その内容も確認します。
一般的なルールと家族の慣習が異なるときは、自己判断で決めず、両家や式場に相談したうえで選ぶと、親族間の装いに差が出にくくなります。
手持ち・レンタルの留袖はここを確認|紋数で迷ったときのチェックポイント

留袖の格式や自分の立場が分かっても、実際に着る一着を選ぶ段階では別の疑問が出てきます。
特に、母や祖母から譲られた留袖は紋の詳細が分からないこともあり、レンタルでは種類が多く迷いやすいものです。
そこで大切なのが、手持ちなら現物の状態を確認し、レンタルなら自分の立場を具体的に伝えること。
判断が難しい場合は、家族や式場、着物の専門家にも確認すると安心です。
ここからは、留袖を実際に準備するときに押さえたいポイントを順番に見ていきます。
手持ちの留袖は「紋の数・種類・仕立て」を確認する
母や祖母から譲られた留袖を着る場合は、まず黒留袖か色留袖か、紋がいくつ入っているかを確認します。
背中だけなら一つ紋、背中と両袖なら三つ紋、さらに両胸にもあれば五つ紋です。
あわせて、紋の種類や現在の仕立て、サイズも見ておきましょう。
長く保管されていた着物は、寸法が合わなかったり、シミや変色が生じていたりすることがあります。
結婚式直前に気付くと、お直しやクリーニングが間に合わない場合もあります。
「家に黒留袖があるから使える」と判断せず、自分の立場に合う格式か、問題なく着用できる状態かまで早めに確認することが大切です。
不明点があれば、着物店や着付けを依頼する人に実物を見てもらうと判断しやすくなります。
レンタルでは「親族であること」と新郎新婦との関係を伝える
レンタル店では、「結婚式に着る留袖を探しています」だけでなく、新郎の母、新婦の姉、甥の結婚式に出席する叔母など、具体的な続柄まで伝えるのがポイントです。
同じ親族でも、立場によって適した留袖や格式は変わります。
さらに、両家の母親が何を着るのか、ほかの近親者が黒留袖・色留袖のどちらを予定しているのかが分かれば、その情報も共有すると選びやすくなります。
レンタルでは紋数だけでなく、帯や草履、バッグなどを含むセット内容も確認しましょう。
必要な小物が揃っているかまで事前に把握しておけば、直前に買い足す手間を減らせます。
レンタルで失敗を防ぐコツは、希望の色柄から選び始めるのではなく、「誰の結婚式に、どの立場で出席するのか」を最初に伝えることです。
迷ったら両家・式場・着物の専門家へ事前確認する
手持ちの留袖が自分の立場に合うのか、色留袖なら何紋にするのかなど、自分だけでは判断しにくいケースもあります。
そんなときは、無理に一人で結論を出す必要はありません。
まずは新郎新婦や両家に、近い親族がどのような装いを予定しているか確認します。
家族内に特別な決まりがある場合は、その内容も聞いておきましょう。
さらに、式場の衣装担当者や着物店、着付け師などに相談すると、手持ちの着物を実際に確認しながら判断できます。
特に譲り受けた留袖は、紋だけでなく寸法や状態も含めて見てもらうと安心です。
大切なのは、結婚式当日に「これでよかったのだろうか」と不安を残さないこと。
家族の方針と専門的な確認の両方を早めに済ませておくことが、安心して留袖を着るための準備につながります。
まとめ
留袖は、紋数の高さだけでなく、新郎新婦との関係・黒留袖か色留袖か・両家の装い・式の格式を合わせて選ぶことが大切です。
新郎新婦の母親なら五つ紋の黒留袖が代表的ですが、姉妹や祖母、伯母・叔母などは、立場に応じて色留袖やほかの礼装も選択肢になります。
色留袖は紋数で格式を調整できるため、「何紋が一番よいか」ではなく、自分に必要な礼装の格で考えましょう。
手持ちなら仕立てや状態も早めに確認し、レンタルでは続柄や親族の装いを伝えると選びやすくなります。
迷ったときは、両家の意向や地域・家族・式場の慣習も確認しましょう。
自分の立場に合う一着が決まれば、装いへの迷いも減り、大切な一日を穏やかな気持ちで迎えられます。
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。
詳しく見る

この記事へのコメントはありません。