産後の体型変化で着物のサイズ再確認は必要?手持ち着物の寸法・試着チェック 

「着物は多少体型が変わっても着られると聞いたけれど、出産前に仕立てた訪問着をそのまま着ても大丈夫?」

産後は、身長が変わっていなくても、バストや腹部、腰まわり、ヒップの形が以前と異なることがあります。

着物は洋服より体型に合わせやすい一方、変化の大きさによっては、前の重なりが浅くなる、おはしょりが整わない、裾が開くといった問題が起こります。

確認したいのは、次の3点です。

  • 身体と着物のどの寸法を測り直すか
  • 試着時にどこを見ればよいか
  • 着付け・お直し・レンタルをどう選ぶか

大切なのは、妊娠前の体重ではなく、現在の身体で実際に着て確かめること。

長襦袢や帯まで含めて試着し、抱っこや着席などの動作も確認すると、本番での着崩れや動きにくさを防げます。

この記事では、産後に再確認したい寸法と試着のポイント、手持ちの着物を着るための判断基準を順番に解説します。

Contents

産後は「着物なら体型が変わっても着られる」と決めつけずサイズを再確認する

着物は前身頃を重ねて着るため、洋服よりも体型に合わせやすい衣服です。

おはしょりの量や身頃の重なりを調整すれば、多少の寸法差には対応できます。

ただし、出産前に自分のサイズで仕立てた一枚でも、現在の身体に合うとは限りません。

身長が変わっていなくても、バストや腹部、腰まわり、ヒップの変化によって、以前と同じ着付けでは整いにくくなる場合があります。

まずは「身体に巻けるか」ではなく、無理なく動けて着姿も整うかという基準で確認しましょう。

着物は体型に融通が利くが調整できる範囲には限界がある

着物には、前身頃の重なりやおはしょりの量を変えながら、その人の身体に沿わせられる特徴があります。

数センチ程度の違いであれば、腰紐の位置や衿合わせなど、着付け方を工夫することで整えられるケースも少なくありません。

一方、調整できる範囲を超えている着物は、着ること自体はできても、美しく快適な状態を保ちにくくなります。

身丈が足りなければおはしょりが十分に取れず、裄が短ければ手首が大きく見えてしまいます。

横幅が不足している場合は前の重なりが浅くなり、歩いたときや椅子に座ったときに裾が開きやすくなります。

反対に、寸法が大き過ぎても安心とは限りません。余った生地を身体の脇やおはしょりに収める必要があり、初心者には処理が難しくなります。

これは、背中や腰まわりに生地がたまり、着膨れして見えることもあるためです。

着物の基本的なサイズ確認では、まず身丈と裄を見ます。

体型によっては横幅も重要になるので、「身長に合っているから着られる」と一つの数値だけで判断しないことが大切です。

この内容は、動画でも詳しく解説しています。

産後のバスト・腹部・腰まわり・ヒップの変化は身幅に影響する

産後のサイズ再確認で特に注意したいのが、着物の横幅です。

身長や腕の長さが出産前と同じでも、バスト、腹部、腰まわり、ヒップの形が変わると、身頃の重なり方も以前とは異なります。

たとえば腹部やヒップに厚みが出ると、前身頃に使われる生地の量が増えます。

以前は十分に重なっていた上前と下前が浅くなり、裾が開きやすくなることもあるでしょう。

バストの変化は、衿元の重なりや胸まわりの余裕に関係します。着物だけでなく、長襦袢の衿合わせや身幅も確認が必要です。

ここで基準にしたいのは、妊娠前の体重ではありません。

同じ体重に戻っていても、身体の厚みや丸みが以前と同じとは限らないためです。

反対に体重が増えていても、手持ちの着物に十分な身幅があり、無理なく着られるケースはあります。

細身の方やふくよかな方は、身丈と裄だけでなく横幅もしっかり確認しましょう(※)。

数値に慣れていない段階では、実際に試着し、脇の縫い目や背中心の位置まで見る方法が確実です。

※参考動画:リサイクル着物で気をつけるポイントとは?その2

サイズが合わないまま着ると着崩れや動きにくさにつながる

着物のサイズが現在の身体に合っていないと、着付けを終えた直後は整っていても、動くうちに崩れが表れやすくなります。

上前と下前の重なりが少なければ、歩行や着席によって裾が開く原因になります。

胸まわりに余裕がない状態では、抱っこや腕の上げ下げをしたときに衿元が引かれ、苦しさを感じる場合もあるでしょう。

横幅が合っているかを確認する手掛かりの一つが、背中心です。着物の幅が身体に対して大き過ぎたり足りなかったりすると、帯から下の背中心が左右にずれることがあります。

ただし、下半身の背中心がずれたからといって、着用できないわけではありません。

また、裾が広がる原因をすべて身幅不足と決めつけないことも重要です。

腰のくびれに対して補正が足りていないと、帯の下から裾が広がり、すぼまりにくくなる場合があります。

身体と着物の間にある段差を適切に整えることで、着姿が改善するケースもあります(※)。

サイズを再確認する目的は、単に着物を身体に巻けるか判断することではありません。

前の重なりに余裕があるか、苦しさを感じないか、子どもを抱いても裾や衿元が崩れないかまで確かめる必要があります。

着用前に一度通して試着すれば、着付けで調整できる問題と、お直しを検討すべき寸法差を分けやすくなります。

※参考動画:裾がすぼまらないなら◯◯をしましょう!

手持ちの着物を着る前に再確認したい身体寸法と着物寸法

出産前に仕立てた着物が現在も合うか確かめるには、身体と衣裳の両方を確認します。

仕立てた当時の寸法表が残っていても、そこに記載されているのは過去の身体を基準にした数字です。

また、身長が変わっていなくても、バストや腹部、腰まわりの厚みが異なれば、身頃の重なり方にも差が出ます。

最初から細かな寸法をすべて完璧に測ろうとせず、着姿に影響しやすい部分から順番に見ていきましょう。

身長・裄・バスト・腹部・ヒップの現在寸法を測る

身体の採寸では、身長だけでなく、裄、バスト、腹部、ヒップを確認します。

厚手の服を避け、薄い肌着を着た状態で、メジャーを締め付けず床と水平に当ててください。

息を止めたり、お腹をへこませたりせず、普段どおりの姿勢で測ることがポイントです。

裄は、首の後ろにある付け根付近から肩を通り、手首のくるぶしまでの長さです。

腕を真横へまっすぐ伸ばすのではなく、自然に斜め下へ下ろした状態で測ります。

一人ではメジャーがずれやすいため、家族に手伝ってもらうか、着付け師や専門店で採寸してもらうと正確です。

バストは胸の最も高い位置、腹部はおへそ周辺だけに限定せず、前後左右を見て最も張っている部分を測りましょう。

ヒップも同様に、お尻の一番高い場所を一周します。

産後は腹部がヒップより大きくなることもあるため、横幅を判断するときは身体の中で最も太い部分を基準にします。

ヒップだけを測って安心すると、前身頃の重なりが足りなくなる場合があるからです。

なお、体重はサイズを判断する直接の基準になりません。

同じ体重でも、胸やお腹、腰の厚みは人によって異なります。

妊娠前の数字に戻ったかではなく、現在の身体を測ることが再確認の出発点です。

着物と長襦袢の身丈・裄・前幅・後幅を確認する

手持ちの着物では、最初に身丈と裄を確認します。

身丈は肩山から裾までの縦の長さ、裄は背中心から肩を通って袖口までの寸法です。

動画では、身丈の分かりやすい基準を身長とほぼ同じ長さとし、前後5センチ程度を一つの目安として解説しています(※)。

ただし、腕の長さや肩の形には個人差があるため、裄は身長だけで決められません。

また、産後の体型変化で特に見ておきたいのが、前幅と後幅です。

前幅は前身頃の裾側の幅、後幅は後身頃の裾側を測った寸法を指します。

着物を平らな場所に置き、生地を無理に引っ張らず、仕立ての線に沿って測りましょう。

リサイクル着物などでは手作業による採寸誤差も生じるため、数字は絶対値ではなく確認材料として扱います。

長襦袢も一緒に出し、裄と袖丈を確認しましょう。長襦袢の裄や袖丈が着物より長過ぎると、袖口や振りから襦袢が見えます。

反対に差が大き過ぎる場合も、袖の中で生地が安定しません。

着物と長襦袢は別々に判断せず、実際に重ねた状態で袖口や振りを確認することが大切です。

長襦袢の裄と袖丈は、着物よりわずかに短く仕立てる方法が一般的ですが、仕立て方にも違いがあるため、手持ちの組み合わせをそのまま重ねて見るほうが確実です。

※参考動画:はじめての人も見てほしい着物のサイズ

数字だけで判断せず試着と専門店の採寸を組み合わせる

寸法表で大きな問題が見つからなくても、最終判断は試着で行います。

身体の丸みや肩の傾斜、補正の量までは、身長やヒップの数値だけで表せないためです。

特に横幅は、前幅と後幅の数字を見慣れていない初心者ほど判断しにくくなります。

動画では、自分にちょうどよい着物があれば、その横幅を測って比較する方法を解説しています(※)。

基準になる一枚がない場合は、数字だけで決めず、実際に試着することが大切です。

着物を着たときに、身頃の縫い目が身体の両脇付近に収まっているか、背中心が極端に横へ移動していないかを見てみましょう。

身丈と裄が合っていても、横幅が広過ぎたり狭過ぎたりするケースがあるためです。

試着では、着物を身体に当てるだけで終わらせません。

肌着、補正、長襦袢、着物を身に着け、可能であれば帯まで締めます。

前身頃が無理なく重なるか、おはしょりを整えられるか、袖口から長襦袢が出ないかを確認しましょう。

そのうえで椅子に座り、腕を前へ伸ばし、子どもを抱く姿勢も試します。

自宅で寸法を測っても合否を判断できない場合は、着物と長襦袢を専門店や着付け師へ持参するのが賢明です。

現在の身体を採寸したうえで実物を見てもらえば、着付けで調整できる範囲なのか、寸法直しが必要なのかを分けやすくなります。

数字、自宅での試着、専門家の確認を組み合わせることで、着用当日の失敗を防げます。

※参考動画:リサイクル着物で気をつけるポイントとは?その2

産後の試着で確認する「サイズが合っていないサイン」

着物の寸法が現在の身体に合っているかは、数字だけでは判断できません。

同じ前幅や後幅でも、バスト、腹部、ヒップの張り方によって身頃の重なり方が変わるためです。

試着するときは、肌着と補正、長襦袢、着物を順番に着用し、できれば帯まで締めるのがおすすめです。

そのうえで正面だけでなく、脇や後ろ、おはしょり、袖口、裾の状態を確認します。

鏡の前で立った姿が整っていても、椅子に座る、腕を伸ばす、子どもを抱くといった動作によって、寸法不足や補正の問題が表れることもあります。

見た目と動きやすさの両方から判断しましょう。

身幅は前の重なり・脇線・背中心・座った姿勢で確認する

身幅を確認するときは、前身頃が重なっているかだけを見るのではなく、脇の縫い目と背中心の位置まで確かめます。

上前を身体に巻いたとき、前が閉じていても、重なりが浅ければ歩行や着席によって裾が開きやすくなります。

立った状態では問題がなくても、椅子に座った瞬間に膝や太ももが見えそうになる場合は、横幅に余裕がないサインです。

脇の縫い目は、左右の身体の脇付近に収まっているかを確認しましょう。

着物の横幅が大き過ぎると縫い目が前後へ移動し、余った生地を処理しにくくなります。

反対に幅が足りなければ、前身頃を重ねるために生地が引かれ、背中心も本来の位置からずれていきます。

動画では、横幅が合っている着物は、左右の縫い目が身体の両脇付近に来ると解説しています(※)。

数字に慣れていない段階では、この位置を試着時の目安にすると判断しやすくなります。

背中心については、帯より下が左右へずれていても、直ちに着用できない状態ではありません。

横幅が身体に合わない着物では、下半身の背中心を中央に保てないことがあります。

一方、帯より上の背中心がずれると、衿元まで引かれて着崩れにつながるため、上半身は中央に合わせてください。

最後に、立つ、座る、数歩歩くという順番で動作を確認します。

座ったときに前が大きく開く、腰まわりが強く引かれる、立ち上がるたびに裾を直す必要があるなら、着付けだけで無理に収めず、専門家に身幅を見てもらいましょう。

※参考動画:リサイクル着物で気をつけるポイントとは?その2

身丈はおはしょりの量と裾の上がり方で確認する

身丈が足りているかは、おはしょりを作れるか、裾を適切な高さに合わせられるかで判断します。

裾を床すれすれに決めたとき、腰紐の上に着物が十分残らず、おはしょりを出せない場合は、身丈が短い状態です。

おはしょりがわずかに出ても、帯の下に収めようとすると途切れる、左右で長さが大きく違う、動くたびに消えるといった状態なら、余裕が十分とはいえません。

身丈が短い着物は、腰紐を通常より高いウエスト位置で締め、おはしょりを作らず対丈で着る方法もあります。

ただし、ウエスト周辺には内臓があるため、紐の位置によっては苦しさが出やすくなります。

さらに、おはしょりがない着方では下腹部の形が表れやすく、産後の腹部が気になる方には負担となることもあるはず。

着ることができるかだけでなく、行事の間を無理なく過ごせるかまで考える必要があります。

試着では、最初に裾を適切な位置へ合わせてから腰紐を締め、おはしょりの量を見ましょう。

おはしょりを出すために裾を極端に短くすると、歩いたときに足首が見え過ぎます。

反対に裾を長くし過ぎれば、草履で踏んだり、子どもを抱いた状態でつまずいたりする原因になります。

多少短い着物は、裾をやや短めに決める、腰紐を低くする、紐の結び目を背中側へ移すといった工夫で、おはしょりを整えられる場合があります。 

ただし、着用予定が長時間に及ぶときは、その着方で苦しくないか、着席後もおはしょりが保たれるかまで確認しておきましょう。

裄は袖口と手首の位置をフォーマル度も含めて確認する

裄は、腕を自然に斜め下へ下ろした状態で、袖口と手首の位置を見て確認します。

腕を身体の横へ下ろしたとき、袖口が手首から大きく離れて腕が目立つ場合は、裄が短いサインです。

反対に袖が手の甲へ深くかかるほど長いと、手を使いにくくなり、食事や子どもの世話をするときに袖口を汚しやすくなります。

長襦袢との関係も重要です。着物より長襦袢の裄が長ければ、袖口から襦袢が飛び出します。

立った姿では収まっていても、腕を前へ伸ばしたときに白い袖が大きく見えるケースがあるため、抱っこの姿勢やバッグを持つ動作まで試すと良いです。

振りの位置が合わず、生地が袖の中でもたつく場合も、着物と長襦袢の寸法差を見直す必要があります。

お宮参り、七五三、入園・卒園式、結婚式などでは、正面だけでなく斜めや横から写真を撮られます。

裄が極端に短いと腕の露出が目立ち、全体のバランスが崩れます。

寸法差が小さい場合は、すぐに裄直しを決めるのではなく、着付けによる調整も可能です。

動画では、首と衿の横に少し空間を作る、耳の横で着物と長襦袢の衿位置をずらす、広衿の折り返しを浅くするという方法で、裄を約3センチ長く見せる着方を解説しています(※)。

まずは通常の着方と調整後を比べ、手首まわりがどの程度変わるか確認しましょう。

ただし、衿の位置を変える方法では半衿が多く見えるため、全体の着姿もチェックしてみってください。

着付けで整えても袖口が手首から大きく離れる場合や、長襦袢とのずれが解消しないときは、裄直しを検討する段階です。

※参考動画:着方だけで裄を長くする方法

裾の広がりや帯の下がりは補正不足が原因の場合もある

試着したときに裾が広がっていても、すぐに「身幅が足りない」と判断する必要はありません。

裾の開きや帯の下がりは、腰まわりの補正が不足しているときにも起こります。

身体にくびれが残った状態で着物を巻くと、帯の位置だけが細くなり、その下にある生地が腰のラインに沿って外側へ広がります。

その結果、裾をすぼめて着付けても、時間がたつにつれて下半身が広がりやすくなるのです。

動画では、腰のくびれをタオルなどで補い、帯から腰にかけての段差を少なくすると、生地が内側へ入りやすくなることを解説しています(※)。

産後は妊娠前と比べて腰やヒップの形が変わることがあるため、以前と同じ位置・同じ量の補正が適切とは限りません。

試着のたびに現在の身体を見て、必要な場所へ入れることが大切です。

補正を加えたあとは、下前のつま先が十分に上がっているか、腰紐が緩んでいないかも確認してください。

下前が低いと裾がフレアスカートのように広がり、腰紐が緩ければ決めた裾が落ちてきます。

帯が後ろへ下がり、背中側の紐が見える場合も、腰のくびれが影響していることがあります。

補正によって帯の土台を整えると、後ろ下がりを防ぎやすくなります。

身幅不足、着付け方、補正量は別々の問題として考え、補正を変えた状態でもう一度試着してみてください。

それでも前の重なりが浅い、裾が大きく開く、動作によって強く引かれる場合は、着物の寸法そのものを再確認しましょう。

※参考動画:裾がすぼまらないなら◯◯をしましょう!

着付けで調整するか、お直し・レンタルにするか判断する

試着で寸法差が見つかっても、すぐに仕立て直しが必要とは限りません。

衿の合わせ方や腰紐の位置、補正量を変えるだけで整う場合もあります。

一方、前身頃の重なりが足りない、動くと裾が開く、着用中に苦しさが続く状態を無理に着付けで収めるのは避けましょう。

判断するときは、着られるかどうかだけでなく、行事の間を快適に過ごせるか、写真に残る着姿が整うか、今後も繰り返し着用するかまで考えます。

着付け、お直し、レンタルにはそれぞれ適した状況があるため、寸法差と着用予定を照らし合わせて選んでみてください。

小さな寸法差で動きに問題がなければ着付けで調整する

着付けによる調整が向いているのは、寸法差が小さく、試着後に歩行や着席をしても苦しさや大きな着崩れが出ない場合です。

裄がわずかに短い、おはしょりが少し整えにくい、身幅が大きくて余分な生地が出るといった悩みは、着方を変えることで改善できる余地があります。

裄が短い場合は、首と衿の横に空間を作り、着物の生地を肩から袖側へ動かす方法があります。

動画では、衿元の作り方を変えることで裄が約3センチ長く見えた例を解説しています(※)。

ただし、同じ方法で必ず同じ長さを出せるわけではありません。

肩の形や着物の寸法によって仕上がりが変わるため、調整前後の写真を撮り、袖口と手首の位置を比べましょう。

調整後は、腕を前へ伸ばして長襦袢が袖口から出ないかも確認します。

衿を動かした結果、半衿の見える量や衣紋の抜け方が変わる点にも注意が必要です。

袖だけを見て判断せず、正面、横、後ろから全体のバランスを確かめてください。

着付けで対応してよいか迷ったときは、前身頃に十分な重なりがあり、抱っこや着席をしても裾が大きく開かず、呼吸や食事を妨げないかを基準にします。

着姿を保つために紐を強く締め続けなければならない状態は、調整の範囲を超えています。

着用時間が長い行事ほど、見た目より動きやすさを優先しましょう。

※参考動画:着方だけで裄を長くする方法

繰り返し着る着物は縫い代を確認してお直しを検討する

訪問着や色無地など、今後も七五三、入学式、結婚式で繰り返し着る予定がある一枚は、お直しを検討する価値があります。

毎回複雑な調整をしなければ整わない状態では、着付けを担当する人によって仕上がりに差が出やすくなるためです。

裄や身幅を現在の身体に近づければ、準備の負担が軽くなり、着用中の安定感も高まります。

ただし、希望する寸法まで必ず広げられるわけではありません。

裄や身幅を出せる長さは、縫い目の内側に残っている縫い代によって決まります。

生地の余裕が少なければ、必要な寸法を確保できません。

また、長期間表に出ていた部分と縫い込まれていた場所で色の差が生じていると、縫い目を移した跡が目立つことがあります。

動画でも、裄を直す際は中に残っている生地の量を確認し、呉服店などへ相談する方法を解説しています(※)。

古い着物では表地の日焼けによって色差が出る場合があるため、縫い代だけでなく生地の状態も見てもらいましょう。

相談時は着物だけでなく、合わせる長襦袢も持参してください。

着物の裄を長くした結果、長襦袢との寸法が合わなくなる場合があります。

現在の身体寸法、着用予定日、希望する仕上がりを伝えたうえで、直せる範囲と納期、費用を確認しましょう。

見積もりだけでも日数を要する店舗があるため、着用日が決まってからではなく、手持ちの着物を出した段階で相談を始めることが重要です。

※参考動画:短い裄はどこまで許されるの?

着用日が近い場合や体型が変化中ならレンタルも比較する

お直しには、着物の状態確認、見積もり、加工という工程があります。

お宮参りや七五三までの期間が短い場合は、手持ちの一枚だけに絞らず、レンタルも同時に調べましょう。

希望する寸法まで直せないと分かってから探し始めると、行事の季節や好みの色柄によっては選択肢が限られます。

産後の身体が変化している途中で、今後もサイズが変わる予定がある場合にもレンタルは有効です。

現在の寸法に合わせて大きなお直しをしても、次に着るときに再調整が必要になる可能性があります。

まず今回の行事はレンタルを選び、体型が落ち着いた段階で手持ちの着物を直す方法なら、急いで仕立てを変更する必要がありません。

レンタルを選ぶ際は、洋服の号数だけで決めず、身長、裄、ヒップを確認します。

腹部がヒップより大きい場合は、最も太い部分の寸法も店舗へ伝えましょう。

バストの変化が大きい方は、その数値も共有すると、身幅に余裕のある一枚を案内してもらいやすくなります。

レンタル店によって対応寸法が異なるため、「着られるサイズはありますか」ではなく、現在の数値を伝えて確認することが大切です。

また、可能であれば事前試着を行い、前身頃の重なり、袖口、着席時の裾を確認してみてください。

配送型のサービスでは、対応身長や裄、ヒップの表記に加え、長襦袢や小物などのセット内容も確認します。

手持ちの着物を直す費用とレンタル料金だけを比べるのではなく、着用回数、準備期間、現在の身体に合う安心感まで含めて判断しましょう。

お宮参りや七五三の直前に慌てないための確認スケジュール

産後に手持ちの着物を着る場合は、行事の直前ではなく、着用日が決まった段階から準備を始めます。

久しぶりに出した訪問着や色無地は、寸法だけでなく、長襦袢との組み合わせ、シミやしわ、小物の不足も確認しなければなりません。

試着後にお直しが必要だと分かれば、見積もりや加工にも日数がかかります。

育児中は予定どおりに準備時間を取れないこともあるため、試着、お直しの相談、レンタルの比較を順番待ちにせず、並行して進めることが大切です。

着用日が決まったら手持ちの一式を出して通しで試着する

お宮参りや七五三、入園・卒園式などの日程が決まったら、最初に着物一式を出します。

着物だけを羽織ってサイズを判断せず、肌着、補正用品、長襦袢、帯、帯揚げ、帯締めまでそろえてください。

草履やバッグも同時に出しておけば、劣化や不足に早く気づけます。

まずは着物と長襦袢を広げ、目立つシミ、カビ、変色、強いしわがないか確認します。

長期間たたんだまま保管していた場合、衿や袖口、裾に汚れが残っていることもあります。

長襦袢には半衿が付いているか、着物と袖丈や裄が合っているかも見ておきましょう。

次に、本番で使う補正を入れ、帯まで締めて通しで試着します。

着物だけを巻いた状態では問題がなくても、帯を締めると胸や腹部に苦しさが出たり、おはしょりを整えにくくなったりするためです。

自分で着付けをしない場合は、着付けを依頼する人に早めに見てもらうと、寸法差と着付け上の問題を分けやすくなります。

試着後は、足りない小物をその場で書き出しましょう。

着崩れが心配な場合、動画では外出時に腰紐と着物クリップを一本ずつ持つ方法を解説しています(※)。

手ぬぐいも、食事や子どもの世話をするときに使いやすいアイテムです。

一度の試着で結論を出せない場合は、前後左右の写真を撮り、脱いだあとに見返しましょう。

鏡では確認しにくい背中心、帯の傾き、裾の広がりも把握できます。

※参考動画:着物でのお出かけに必要なものとは?

お直しの見積もりとレンタル候補を並行して確認する

試着で裄や身幅に問題が見つかったら、まず専門店へ相談します。

ただし、お直しの結果を待ってからレンタルを探し始めるのではなく、両方を同時に進めてください。

縫い代が足りない、生地に色差がある、希望日までに仕上がらないといった理由で、予定していた寸法へ直せない場合があるためです。

専門店には、着物と長襦袢を一緒に持参します。

現在の身体寸法、着用予定日、どの行事で使うか、今後も着る予定があるかを伝えましょう。

裄や身幅を出せる範囲、長襦袢も直す必要があるか、仕上がり後の寸法、費用、受け取り日を確認します。

見積もりを依頼しただけで加工が始まるとは限らないため、正式な依頼方法も聞いておくと手続きが滞りません。

レンタルでは、同じ訪問着でも対応する身長やヒップ、裄が異なります。

産後は腹部がヒップより張っていることもあるので、最も太い部分の寸法を伝えましょう。

配送型のサービスを利用する場合は、着物だけでなく、長襦袢、帯、補正用品、草履、バッグが含まれているかも確認します。

手持ちの着物に思い入れがあり、今後も繰り返し着るなら、お直しを優先する選択が適しています。

一方、着用日が近い、体型が変化している途中、希望寸法まで広げられない場合は、今回はレンタルを利用し、後日ゆっくり直す方法が現実的です。

抱っこ・着席・腕の上げ下げまで試して動きやすさを見る

通しで着付けたあとは、鏡の前に立つだけで終わらせず、本番で行う動きを試します。

産後の行事では、子どもを抱く、荷物を持つ、椅子に座る、立ち上がる、階段を移動するといった動作が続きます。

静止した着姿が整っていても、身体を動かした瞬間に身幅不足や苦しさが表れることがあります。

最初に、両腕を前へ伸ばし、子どもを抱く姿勢を取ります。

その後、衿元が強く引かれないか、脇や背中がつっぱらないか、長襦袢が袖口から大きく出ないかを確認します。

実際に抱っこできる場合は、短時間だけ試し、帯や胸元に無理な圧迫がかからないかも見ておきましょう。

次に、椅子へ浅く腰掛けます。

座ったときに上前が大きく開く、太もも周辺の生地が引かれる、裾が上がり過ぎる場合は、身幅や裾合わせの再確認が必要です。

立ち上がったあとも前身頃が元の位置に戻るか、おはしょりが乱れていないかを見ます。

バッグの持ち方も試しておきましょう。

ショルダーバッグは衿元を崩しやすく、生地を傷める原因にもなるため、ハンドバッグがおすすめです。

子どもの荷物が多い場合は、家族に持ってもらう、サブバッグを手持ちにするなど、肩へ負担をかけない方法を決めておくと安心です。

最後に、草履を履いた状態で数分歩きます。玄関の段差や階段も試し、裾を踏まないか、足元が苦しくないかを確かめます。

試着後すぐに問題がなくても、時間がたつと紐や帯の圧迫を強く感じることがあります。

可能であれば少し着たまま過ごし、呼吸、着席、抱っこの動作を繰り返しましょう。

本番前の確認で重視したいのは、完璧に動いても着崩れないことではありません。

多少の乱れを自分で整えられ、行事の間を苦痛なく過ごせる状態が基準です。

動くたびに裾が開く、衿が大きくずれる、痛みや息苦しさが出る場合は、着付け方法や着物の選択を見直してみてください。

まとめ

出産前に仕立てた着物でも、産後の体型変化によって、身幅や衿元、おはしょりの整い方が変わることがあります。

「着物は多少サイズが違っても着られる」と判断せず、現在の身体寸法と試着時の着姿を確認することが大切です。

試着では帯まで締め、前身頃の重なり、裾、袖口を確認します。

さらに、抱っこや着席、腕の上げ下げも試し、苦しさや着崩れが出ないか確かめてください。

小さな寸法差は着付けや補正で整えられますが、動くたびに裾が開く場合や、強く締めなければ形を保てない場合は、お直しやレンタルも検討します。

着用日が決まったら早めに着物一式を出し、今の身体に合う方法を選びましょう。

事前に確認しておけば、お宮参りや七五三などの大切な一日を、無理なく安心して過ごせます。

加藤咲季
監修:加藤咲季
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。

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