「譲り受けた着物を着てみたら、なんだか大きい……」
「サイズオーバーの着物は直し可能か知りたい」
「直しにお金をかける価値があるのか分からない」
母親や祖母から受け継いだ着物やリサイクル着物は、自分の体型にぴったり合うとは限りません。
身丈が長い、身幅が広い、裄丈が余るなどの違和感があると、このまま着てよいのか迷ってしまうものです。
この記事では、
- サイズオーバーの着物は直し可能なのか
- 身丈・身幅・裄丈はどこまで着付けで調整できるのか
- 寸法直しの費用相場と判断基準
を分かりやすく解説します。
実は、大きい着物だからといって必ず仕立て直しが必要になるわけではありません。
着付けで対応できる場合もあれば、一部だけの寸法直しで快適に着られることもあります。
また、直せる着物でも費用をかける価値があるとは限らないことも。
この記事では、サイズオーバーの着物との上手な付き合い方を、初心者の方にも分かりやすくご紹介します。
Contents
サイズオーバーの着物は直し可能か?まず知っておきたい基本

着物が自分には大きいと感じたとき、「直しに出さなければ着られないのでは」と不安になる方は少なくありません。
しかし、サイズオーバーの着物は必ずしも寸法直しが必要とは限りません。
着物は洋服と違い、体にぴったり合わせて着るものではなく、着付けによってある程度の寸法差を調整できる特徴があります。
そのため、譲り受けた着物やリサイクル着物でも、実際に着てみると問題なく着られるケースが多くあります。
一方で、身丈・身幅・裄丈のどこが大きいのかによって対処法は異なります。
まずはサイズオーバーの着物がどのような状態を指すのか、そして本当に直しが必要なのかを確認することが大切です。
着物は洋服よりサイズ調整しやすい
洋服の場合、肩幅や袖丈が合わないと着心地や見た目に大きな影響が出ます。
しかし着物は一枚の布を体に沿わせて着るため、多少の寸法差であれば着付けで調整できます。
特に身丈は許容範囲が広く、長めの着物でもおはしょりの中に余分な長さを収めることで対応できます。
そのため、母親や祖母から譲られた着物でも、身長差が多少ある程度なら問題なく着用できることも珍しくありません。
また、着物には縫い込みと呼ばれる生地の余りが残されていることが多く、必要に応じて寸法を調整できる場合があります。
こうした仕立ての特徴も、洋服よりサイズ対応の幅が広い理由の一つです。
まずは「大きいから着られない」と考えるのではなく、どの部分がどの程度大きいのかを確認することが重要になります。
サイズオーバーでも着られるケースは多い
サイズオーバーの着物と聞くと、すぐに仕立て直しを想像する方もいます。
しかし実際には、直しをしなくても着られるケースは少なくありません。
たとえば身丈が長い場合は、おはしょりで調整できることが多いため、見た目に大きな問題が出ないことがあります。
裄丈についても、多少長い程度であれば着姿のバランスを損なわずに着用できます。
反対に注意したいのが身幅です。
身幅が広すぎると脇やおはしょり周辺に余分な布がたまりやすくなり、着崩れやすくなることがあります。
ただし、これも寸法差によっては着付けでカバーできる場合があります。
大切なのは、寸法表だけで判断しないことです。
実際に着てみると気にならないケースも多いため、まずは着姿を確認してから直しを検討しましょう。
直しを検討する前に確認したいポイント
サイズオーバーの着物を直すかどうか判断する前に、確認しておきたいポイントがあります。
まず確認したいのは、どの寸法が大きいのかということです。
身丈なのか、身幅なのか、裄丈なのかによって対処法は大きく変わります。
次に、どの程度寸法が合っていないのかを確認します。
数センチ程度の差であれば着付けで対応できる場合もありますが、大幅にサイズが違う場合は寸法直しを検討した方が着やすくなります。
また、その着物にどれくらいの価値を感じているかも重要です。
譲り受けた思い出のある着物なのか、気軽に購入したリサイクル着物なのかによっても、直しにかける費用の考え方は変わります。
サイズオーバーの着物は直し可能かという疑問に対する答えは、多くの場合「可能」です。
ただし、本当に直すべきかどうかは着物の状態や用途によって異なります。
まずは着付けで対応できるかを確認し、そのうえで必要な箇所だけを直すことが失敗しない判断につながります。
サイズオーバーの着物は着付けだけで対応できる?

サイズオーバーの着物を見つけたとき、「まず寸法直しに出さなければ着られないのでは」と考える方もいるでしょう。
しかし、着物は洋服よりもサイズの許容範囲が広く、着付けによって調整できる部分が少なくありません。
実際に譲り受けた着物やリサイクル着物を楽しんでいる方の多くは、自分の寸法にぴったり合った着物を着ているわけではありません。
それでも着姿に大きな問題がないのは、着物が着付けによって形を整える衣服だからです。
もちろん、すべてのサイズオーバーを着付けだけで解決できるわけではありません。
身丈・身幅・裄丈では事情が異なり、直しが必要になるケースもあります。
まずはどこまで着付けで対応できるのかを知り、そのうえで必要な場合だけ寸法直しを検討することが大切です。
身丈が長い場合はおはしょりで調整しやすい
サイズオーバーの着物の中でも、比較的対応しやすいのが身丈が長いケースです。
着物はおはしょりを作って着るため、ある程度の長さの余裕があっても着付けの中で調整できます。
実際、自分の身長より高い人向けに仕立てられた着物であっても、おはしょりの処理によって問題なく着られることは珍しくありません。
もちろん限度はありますが、数センチ程度長い場合であれば、すぐに身丈直しが必要になるケースは少ないです。
特に譲り受けた着物の場合、「大きいから着られない」と思い込んでしまうことがあります。
しかし実際に着てみると、おはしょりの中に収まってしまい、見た目にはほとんど違和感がないこともあります。
まずは着付けをした状態で確認し、おはしょりが極端にもたつくかどうかを判断基準にすると分かりやすいです。
裄丈が長い場合は許容されることが多い
裄丈が長い着物も、身丈と同様に比較的許容されやすいサイズオーバーです。
裄丈とは首の付け根から手首付近までの長さを指します。
多少長い場合は袖口が手の甲に近づく程度で済むため、着姿に大きな違和感が出ないこともあります。
反対に、裄が短い場合は手首が大きく見えてしまうため気になる方が多く、加藤咲季さんの動画でも、着付けによって裄を長く見せる工夫が紹介されています(※)。
このことからも分かるように、裄丈は多少の寸法差であれば見せ方によって印象が変わる部分です。
サイズオーバーだからといって、すぐに裄直しが必要になるとは限りません。
ただし、袖口が手を覆うほど長い場合や、動作の邪魔になるほど余る場合は寸法直しを検討してみましょう。
※参考動画:着方だけで裄を長くする方法
身幅が広い場合は着付けだけでは難しいこともある
身丈や裄丈に比べて、着付けだけでの調整が難しいのが身幅です。
身幅とは着物の横方向の寸法のことで、前幅や後幅が含まれます。
この部分が大きすぎると、余った布がおはしょり周辺や脇にたまりやすくなり、着姿がすっきり見えなくなります。
また、生地が余りすぎることで着崩れの原因になることもあります。
着付けである程度整理することはできますが、身幅が大幅に大きい場合は限界があります。
特に細身体型の方が、体格の良い人向けに仕立てられた着物を着る場合は注意が必要です。
おはしょりが膨らんだり、腰回りに厚みが出たりして、着物本来の美しいシルエットが作りにくくなります。
そのため、サイズオーバーの着物の中でも、身幅の問題は比較的寸法直しを検討する価値が高い部分といえます。
まずは実際に着てみて、余った布がどの程度出るのかを確認し、着付けで解決できない場合に身幅直しを検討してみましょう。
身丈がサイズオーバーの場合の対処法と直しの目安

サイズオーバーの着物の中でも、最も相談が多いのが身丈の問題です。
譲り受けた着物やリサイクル着物は、自分より背の高い人向けに仕立てられていることも多く、「裾が長すぎる」「おはしょりが余りすぎる」と感じることがあります。
しかし、身丈は着物の寸法の中でも比較的調整しやすい部分です。
そのため、身丈が長いからといって、すぐに寸法直しが必要になるわけではありません。
まずは着付けで対応できる範囲を確認し、それでも着にくさや見た目の違和感がある場合に直しを検討するのがおすすめです。
ここでは、身丈がサイズオーバーの場合の対処法や、直しが必要になる目安、費用相場について解説します。
身丈が長い着物はどこまで着付けで対応できるか
身丈が長い着物は、おはしょりで長さを調整できるため、比較的対応しやすいサイズオーバーです。
おはしょりとは、着物の余った長さを腰部分で折り返して作る部分のことです。
着物はもともと身長差を吸収できるような構造になっているため、数センチ程度の差であれば問題なく着られるケースがほとんどです。
実際に譲り受けた着物を着てみると、「寸法表ではかなり長そうに見えたのに、着てみたら気にならなかった」ということも少なくありません。
また、帯を締めるとおはしょりの一部は隠れるため、多少余裕があっても着姿に大きな影響が出ないことがあります。
そのため、まずは実際に着付けをしてみることが大切です。
寸法表だけで判断して直しに出してしまうと、本来必要のない費用をかけてしまう可能性があります。
身丈直しが必要になるケース
一方で、着付けだけでは対応しきれないケースもあります。
たとえば、おはしょりが極端に厚くなってしまう場合です。
腰回りに布がたまりすぎると、見た目がもたつくだけでなく、帯周りが膨らんで着崩れの原因になることがあります。
また、身長差が大きい場合も注意が必要です。
例を挙げると、身長170cm前後の人向けに仕立てられた着物を150cm台前半の人が着る場合などは、おはしょりだけでは処理しきれないことがあります。
さらに、初心者の方はおはしょりをきれいに整えること自体が難しいため、余りが多い着物ほど着付けの難易度が上がります。
何度着てもおはしょりがごわつく、腰回りが膨らむ、着崩れやすいという場合は、身丈直しを検討する価値があります。
身丈直しの費用相場
身丈直しの費用は、どのような方法で直すかによって変わります。
比較的簡単な寸法直しであれば、一般的な相場はおおよそ1万円〜2万円程度です。
ただし、着物の状態によっては一度解いて仕立て直しを行う必要があります。
その場合は料金が高くなり、数万円以上かかることもあります。
また、古い着物では縫い跡や色ヤケが出ることがあり、追加の加工が必要になるケースもあります。
費用だけで判断するのではなく、その着物にどれくらいの価値を感じているかも考慮することが大切です。
母親や祖母から譲られた思い出の着物であれば、多少費用がかかっても直す価値は十分にあります。
一方で、比較的安価なリサイクル着物の場合は、購入価格と直し代のバランスを見ながら判断するとよいでしょう。
身丈はサイズオーバーでも着付けで対応しやすい部分です。
まずは着てみて、本当に不便を感じる場合に直しを検討することが失敗しないコツです。
身幅がサイズオーバーの場合の対処法と直しの目安

身丈と並んで悩みの原因になりやすいのが身幅です。
特に母親や祖母から譲られた着物の場合、自分より体格の大きな人向けに仕立てられていることがあり、「全体的にぶかぶかする」「おはしょり周りがすっきりしない」と感じることがあります。
身幅は着物の横方向の寸法を指し、前幅や後幅が含まれます。
サイズオーバーの着物でも身丈は着付けで調整しやすい一方、身幅は見た目や着心地への影響が大きく、寸法差が大きいほど着付けだけでは対応しにくくなります。
そのため、身幅が広い着物は「どこまで着付けで対応できるか」と「どの時点で直しを検討するか」を見極めることが大切です。
身幅が広いと起こりやすい着姿の悩み
身幅が広すぎる着物を着ると、余った布が腰回りや脇にたまりやすくなります。
特に細身体型の方の場合、本来体に沿うはずの部分に余裕ができすぎてしまい、おはしょりが膨らんだり、帯周りが厚くなったりすることがあります。
また、脇線が本来の位置からずれてしまい、全体のシルエットが崩れて見えることもあります。
着付けの途中では整っているように見えても、歩いたり座ったりするうちに余った布が動き、着崩れにつながるケースも少なくありません。
着物は適度なゆとりが必要な衣服ですが、余裕がありすぎると逆に着付けが難しくなります。
サイズオーバーの身幅は見た目だけでなく、着やすさにも影響するため注意が必要です。
身幅直しが必要になるケース
身幅が多少広い程度であれば、着付けによってある程度調整できます。
しかし、前身頃が大きく重なりすぎる場合や、おはしょり周辺が常にもたつく場合は、寸法直しを検討した方が快適に着られることがあります。
特に、何度着付けをしても腰回りが厚く見える、帯の下に余分な布がたまる、脇線が大きく後ろへ回ってしまうといった場合は、身幅が体型に対して大きすぎる可能性があります。
また、着付け初心者の場合は余った布をきれいに処理することが難しく、着崩れの原因になりやすい傾向があります。
着物を着るたびに苦労するのであれば、身幅直しによって着付けそのものが楽になることもあります。
着付けで工夫しても改善しない場合は、無理に我慢するより専門家へ相談した方がよいでしょう。
身幅直しの費用相場
身幅直しの費用は、直す範囲や着物の状態によって異なります。
一般的には1万円〜3万円程度が目安とされています。
ただし、縫い込みの状況や柄合わせの関係によっては作業が複雑になり、さらに費用がかかる場合もあります。
また、古い着物では縫い目の跡が日焼けや色ヤケによって残っていることがあります。
以前の仕立て寸法の跡が見えてしまうと、単純な寸法直しだけでは対応できないケースもあります。
費用を考える際は、着物そのものの価値も重要です。
思い出のある着物や今後長く着る予定のある着物であれば、身幅直しによって着やすさが大きく向上する可能性があります。
一方で、比較的安価なリサイクル着物の場合は、購入価格より直し代の方が高くなることもあります。
まずは見積もりを取り、着物の価値と費用のバランスを確認したうえで判断するのがおすすめです。
裄丈がサイズオーバーの場合の対処法と直しの目安

サイズオーバーの着物で見落とされがちなのが裄丈です。
身丈や身幅ほど目立つ寸法ではありませんが、長すぎる場合は着姿の印象や動きやすさに影響することがあります。
裄丈とは、首の付け根から肩を通り、袖口までの長さを指します。
一般的には手首のくるぶし付近に袖口が来るとバランスが良いとされていますが、多少長い程度であれば問題なく着用できるケースも少なくありません。
また、裄丈は身丈や身幅と比べると着姿への影響が比較的小さいため、サイズオーバーだからといってすぐに直しが必要になるわけではありません。
まずは実際に着てみて、見た目や着心地に問題があるかを確認することが大切です。
裄丈が長いとどんな影響がある?
裄丈が長い着物を着ると、袖口が本来より手の先まで下がります。
数センチ程度であれば気にならないこともありますが、長すぎる場合は手元が隠れすぎて重たい印象になったり、袖口が物に触れやすくなったりすることがあります。
また、家事や食事の際に袖口が邪魔になりやすくなることもあります。
特に普段着として着物を楽しみたい方にとっては、動作のしやすさに関わる部分です。
ただし、裄丈は多少長い方が上品に見えるとされることもあります。
そのため、見た目の好みや用途によって判断が分かれる寸法でもあります。
身丈や身幅のように着崩れの原因になりやすい部分ではないため、まずは実際の着姿を確認してから直しを検討するとよいでしょう。
裄丈直しが必要になるケース
裄丈直しを検討した方がよいのは、長さが気になるだけでなく、日常動作に支障が出ている場合です。
たとえば、袖口が手の甲を大きく覆ってしまう、物を持つたびに袖が邪魔になる、着物全体が大きく見えてしまうといったケースです。
また、フォーマルな場で着用する着物の場合は、全体の寸法バランスが重要になります。
袖口の位置が極端に長いと、着姿の美しさに影響することもあります。
一方で、数センチ程度の差であれば無理に直す必要はありません。
実際には着る人以外は気付かない程度の違いであることも多く、費用をかけて直す優先順位は高くないケースもあります。
まずは鏡で全身のバランスを確認し、違和感があるかどうかを判断すると失敗が少なくなります。
裄丈直しの費用相場
裄丈直しの費用は比較的分かりやすく、一般的には5,000円〜15,000円程度が目安です。
ただし、どれくらい短くするかによって作業内容は変わります。
また、縫い込みの状態によっては簡単に直せる場合もあれば、希望する寸法まで調整できないこともあります。
古い着物の場合は、以前の縫い目の跡や色ヤケが現れることもあるため、事前に確認してもらうことが重要です。
裄丈直しは身幅直しや仕立て直しに比べると比較的費用を抑えやすい傾向があります。
しかし、着姿に大きな問題がないのであれば、そのまま着用した方が経済的な場合もあります。
特に譲り受けた着物やリサイクル着物では、まず着付けや着こなしで対応できないかを確認し、本当に必要な場合のみ直しを検討するのがおすすめです。
サイズオーバーの着物を小さくする際の注意点

サイズオーバーの着物は寸法直しによって着やすくなることがあります。
しかし、「直し可能」と聞いて安心するのは少し早いかもしれません。
着物は一度仕立てられた後に長年保管されていることも多く、譲り受けた着物やリサイクル着物では、仕立て直しに伴う注意点があります。
特に古い着物は、縫い跡や色ヤケなどが表面化することがあり、必ずしも希望どおりの仕上がりになるとは限りません。
また、寸法を小さくすることで柄の見え方が変わるケースもあります。
そのため、費用だけでなく仕上がりのリスクも理解したうえで直しを検討することが大切です。
ここでは、サイズオーバーの着物を小さくする際に知っておきたい代表的な注意点を紹介します。
縫い跡やスジが残ることがある
着物を小さくする際に最もよくあるトラブルの一つが、縫い跡やスジです。
着物は縫い込まれた状態で長期間保管されることが多いため、以前の縫い目部分に折り跡が残っていることがあります。
寸法を変更して縫い直すと、その跡が表面に現れる場合があります。
特に古い着物や長年たんすに保管されていた着物では起こりやすい現象です。
生地によっては仕上げ加工で目立たなくできることもありますが、完全に消えないケースもあります。
また、絹の着物は光の当たり方によってスジが見えやすくなることもあります。
見積もりの段階で、どの程度リスクがあるのかを確認しておくと安心です。
大切な着物ほど「新品のような仕上がり」を期待してしまいがちですが、仕立て直しには限界があることも理解しておきましょう。
柄合わせが変わることがある
寸法を小さくすると、柄の位置が変わることがあります。
特に訪問着や付下げなどの絵羽模様の着物では注意が必要です。
本来は着たときに美しくつながるよう計算されている柄が、寸法変更によってずれてしまう場合があります。
また、小紋や紬であっても、柄の見える位置が変わることで着姿の印象が変化することがあります。
もちろん、和裁士や悉皆店はできる限り自然に見えるよう調整してくれます。
しかし、元の仕立て寸法から大きく変更する場合は、柄への影響を完全に避けることは難しくなります。
特に格式の高い着物やお気に入りの柄の着物は、事前に相談しながら進めることが大切です。
希望寸法まで直せない場合もある
サイズオーバーの着物は直し可能なケースが多いものの、必ずしも希望どおりの寸法まで調整できるとは限りません。
理由の一つは、生地の縫い込み量に限界があるためです。
また、以前に寸法直しが行われている着物では、すでに調整できる余裕が少なくなっている場合もあります。
さらに、古い着物では生地の劣化が進んでいることがあり、大幅な寸法変更に耐えられないケースもあります。
そのため、「何センチでも小さくできる」と考えるのではなく、現在の状態を確認したうえで判断することが重要です。
信頼できる呉服店や悉皆店、和裁士であれば、仕上がりの見込みやリスクについて事前に説明してくれます。
直しに出す前には必ず相談し、納得したうえで依頼するようにしましょう。
サイズオーバーの着物は直すべき?費用をかける価値の判断基準

サイズオーバーの着物が直し可能だと分かっても、「本当に直すべきなのか」で悩む方は少なくありません。
寸法直しには費用がかかりますし、着物によっては購入価格より直し代の方が高くなることもあります。
そのため、「直せるかどうか」だけでなく、「直す価値があるかどうか」を考えることが大切です。
特に譲り受けた着物やリサイクル着物は、それぞれ価値の考え方が異なります。
思い出や品質を重視するのか、費用対効果を重視するのかによって判断は変わってきます。
ここでは、サイズオーバーの着物に費用をかけるべきか迷ったときの判断基準を紹介します。
譲り受けた着物の場合
母親や祖母、親族から譲り受けた着物は、単純な金額だけでは判断できない価値があります。
たとえ寸法直しに数万円かかったとしても、思い出のある着物を自分のサイズで着られるようになることに大きな意味を感じる方も多いはず。
また、昔の着物には現在では手に入りにくい上質な絹や染め、手仕事が使われていることがあります。
見た目だけでは分からなくても、専門家が見ると高い価値を持つ着物だったというケースも珍しくありません。
そのため、譲り受けた着物はまず呉服店や悉皆店に相談し、品質や状態を確認してもらうのがおすすめです。
着物そのものの価値と家族の思い出の両方を考慮したうえで判断すると、後悔のない選択につながります。
リサイクル着物の場合
リサイクル着物は費用対効果を重視して考えることが大切です。
たとえば、数千円で購入した着物に数万円の寸法直しを行うと、結果的に仕立て済みの着物を新たに購入した方が安かったというケースもあります。
もちろん、お気に入りの柄や希少な着物であれば話は別です。
しかし、「安く買えたから直そう」と考えると、予想以上に費用がかかることがあります。
特に身幅直しや仕立て直しは比較的高額になりやすいため注意が必要です。
リサイクル着物の場合は、まず着付けで対応できるか確認し、どうしても着にくい部分だけを直すという考え方がおすすめです。
必要最低限の直しに絞ることで、費用を抑えながら着物を楽しめます。
仕立て直し費用と着物の価値を比較する
直しを検討するときは、費用と着物の価値を冷静に比較することも重要です。
たとえば、裄丈だけの調整で快適に着られるのであれば、比較的少ない費用で悩みを解決できます。
一方で、大幅な身幅直しや仕立て直しが必要な場合は、数万円単位の費用がかかることもあります。
そのときに考えたいのが、「今後どれくらい着る予定があるか」という点です。
年に何度も着る予定があるなら、着やすい寸法に直す価値は十分あります。
反対に、一度着るかどうか分からない着物であれば、費用をかけても活用できない可能性があります。
また、寸法が合う別の着物を探した方が合理的な場合もあります。
大切なのは、直しができるから直すのではなく、自分にとって必要かどうかで判断することです。
着る頻度、思い入れ、着物の品質、費用のバランスを総合的に考えることで、納得のいく選択ができるようになります。
サイズオーバー着物の直しはどこに相談する?

サイズオーバーの着物を直そうと思ったとき、多くの方が悩むのが「どこに相談すればいいのか」という点です。
着物の寸法直しは洋服のお直しとは異なり、専門的な知識や技術が必要になります。
そのため、依頼先によって対応できる内容や料金、相談のしやすさに違いがあります。
代表的な相談先としては、呉服店、悉皆店(しっかいてん)、和裁士があります。
それぞれにメリットと特徴があるため、自分の目的や着物の状態に合わせて選ぶことが大切です。
また、いきなり依頼先を決めるのではなく、まずは現在の寸法で着られるかどうかを相談してみるのもおすすめです。
専門家に見てもらうことで、思っていたほど大掛かりな直しが必要なかったというケースもあります。
ここでは、それぞれの相談先の特徴を見ていきましょう。
呉服店
着物初心者にとって最も相談しやすいのが呉服店です。
呉服店は着物全般を扱っているため、寸法直しだけでなく、着物の状態や価値についても相談できます。
また、多くの呉服店は提携している悉皆店や和裁士がいるため、自分で依頼先を探す必要がありません。
特に譲り受けた着物の場合は、まず呉服店で見てもらうと安心です。
生地の状態や仕立て直しの必要性、費用の目安などを総合的に教えてもらえることがあります。
一方で、実際の作業は外部へ依頼することが多いため、中間手数料が含まれる場合があります。
それでも、「何をどう直せばよいのか分からない」という方にとっては、最初の相談先として利用しやすいでしょう。
悉皆店
着物のメンテナンスや加工を専門に扱うのが悉皆店です。
悉皆店では、寸法直しだけでなく、シミ抜き、洗い張り、仕立て直しなど幅広い相談ができます。
そのため、サイズオーバーの着物だけでなく、保管状態や汚れが気になる着物にも対応できます。
また、寸法直しの経験が豊富なため、「どこまで直せるか」「縫い跡が出る可能性はあるか」といった具体的な説明を受けやすいのも特徴です。
古い着物や譲り受けた着物の場合は、寸法だけでなく生地の状態も重要になります。
そうした総合的な判断を求めるなら、悉皆店は有力な相談先です。
近年はオンラインで見積もりを受け付けている店舗も増えているため、近くに専門店がない方でも相談しやすくなっています。
和裁士
寸法直しを専門的な視点で相談したい場合は、和裁士へ直接依頼する方法もあります。
和裁士は実際に着物を仕立てたり直したりする職人です。
そのため、技術的な部分について詳しく相談できるのが大きなメリットです。
たとえば、「身幅を何センチ詰められるか」「希望寸法まで直せるか」といった具体的な内容について、直接判断してもらえることがあります。
また、中間業者を介さないため、場合によっては費用を抑えられることもあります。
ただし、和裁士によっては一般のお客様からの直接依頼を受けていないこともあります。
また、着物初心者には専門用語が多く感じられる場合もあるため、相談のしやすさという点では呉服店や悉皆店の方が向いていることもあります。
まずは気軽に相談したいなら呉服店、着物全体の状態も含めて見てもらいたいなら悉皆店へ。
技術的な相談を重視するなら、和裁士というように考えると選びやすいでしょう。
まとめ
サイズオーバーの着物は、多くの場合で直しが可能です。
ただし、身丈・身幅・裄丈のどこが大きいのかによって、適切な対処法は異なります。
身丈はおはしょりで調整できることが多く、裄丈も多少長い程度ならそのまま着られるケースがあります。
一方で、身幅は着姿や着心地に影響しやすいため、寸法直しを検討した方がよい場合もあります。
また、直しができるからといって必ず直す必要はありません。
譲り受けた着物なら思い出や品質、リサイクル着物なら費用対効果を考慮することが大切です。
加藤咲季さんの動画【着方だけで裄を長くする方法】でも紹介されているように、寸法が合わない着物でも、まずは着付けで対応できるかを確認することが重要です。
サイズオーバーの着物はすぐに直しに出すのではなく、まず着てみることから始めましょう。
そのうえで必要な箇所だけを直せば、費用を抑えながら長く着物を楽しめます。
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。
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