「着物の衿元って、なんでいつも写真でシワが目立つんだろう……」
街歩きや式典、観劇などの特別な日に着物を着たとき、写真を見返してがっかりした経験はありませんか?
特に重ね衿(あわせ衿)にシワがあると、全体がだらしなく見えてしまい、せっかくの装いが台無しになってしまいます。
レンタルや美容室で着付けてもらったとしても、出先で崩れた衿を自分で直せないと不安ですよね。
この記事では、次の3点を中心に解説します。
- 衿元のシワが起きる原因と、写真映えする衿のつくり方
- 着付け中にできるシワ防止の基本と実践テクニック
- 外出先でも自分で直せる応急処置の方法
さらに、加藤咲季さんの着付けテクニックも紹介しながら、「一日中シワのない衿元」を目指せる内容にまとめました。
自装でも、美容室着付けでも「自分で直せる」力がつけば、写真も人目も怖くありません。
本記事を通して、着物をもっと自信を持って楽しめるようになりましょう。
Contents
衿元のシワが起きる原因と、写真で見栄えが変わる理由

着物を着たとき、最も目立つ場所のひとつが「衿元」です。
特に重ね衿を使う場合、複数の生地が重なるため、わずかなズレや緩みでもシワとして目立ってしまいます。
写真を撮ったときに「なんとなくだらしなく見える」「顔まわりがぼんやりしてしまう」と感じた経験があるなら、それは衿のシワや左右のズレが原因かもしれません。
衿元のシワは、着付けの段階からすでに仕込みの差が出るポイントです。
衿芯の差し込みが甘い、長襦袢と着物の衿がずれている、中心線が取れていないなど、細かなミスが積み重なって発生します。
また、時間が経過するにつれて体の動きや姿勢の変化により、最初はきれいだった衿も徐々に崩れてくるのです。
重要なのは、こうしたシワは「防げる」ものだということ。
あらかじめ原因を知り、対策をしておくことで、写真にも人目にも自信を持てる衿元がつくれます。
衿シワの主な発生要因
衿元にシワが出る一番の原因は、「長襦袢」と「着物」の衿ラインがずれていることです。
長襦袢をきちんと整えても、その上に重ねる着物の衿がズレていれば、二重構造の衿元はたちまち歪んで見えてしまいます。
このずれは、着付けの段階で衿を引く力が左右で均等でない、または衿芯の位置が合っていないことで起きることが多いです。
衿芯の差し込み方も重要なポイントです。
差し込みが浅いと衿にハリが出ず、時間とともにシワが現れます。
逆に、深く差しすぎたり、固い芯を使いすぎても、動いたときに芯の反発で形が崩れることがあります。
また、衿元の中心線をしっかり取らず、なんとなく「左右対称に見える」だけで合わせてしまうと、徐々に一方が緩み、写真に写ったときに違和感が出ます。
さらに、重ね衿を加えると、その分厚みが増して衿まわりのバランスが崩れやすくなります。
重ね衿が斜めにずれていたり、下の半衿と段差ができていると、その境目にシワが寄る原因になります。
このように、衿シワの原因は一つではなく、複数の要因が重なって生じます。
だからこそ、基本の手順を丁寧に行うことが美しい仕上がりの第一歩となるのです。
重ね衿の構造と重ねの深さが見栄えに与える影響
重ね衿は、着物の衿元にもう一段階色や奥行きを加えるための装飾であり、顔まわりを華やかに見せる効果があります。
しかし、その一方で厚みが増すため、正しく配置されていないとシワやずれの原因になります。
特に初心者に多いのが、重ね衿の「差し込みが浅い」「左右のバランスが不均等」「下の半衿と段差がある」といった状態で仕上げてしまうケースです。
重ね衿は「中心線に対して左右対称に配置する」ことが大前提です。
また、見せる幅を均一にすることも重要で、片側だけ幅が広いと、写真に写った際に極端に片寄って見えます。
さらに、奥に差し込みすぎて重ね衿が隠れてしまっても意味がありませんし、逆に浅すぎると着ているうちにずれてしまい、衿元に不自然な段差やシワが生じます。
重ね衿の理想的な見え方は「半衿の白」と「重ね衿の色」がバランスよく二重になって見える状態です。
これには、着付け前の仕込み段階での仮留めや、安全ピンでの軽い固定も有効です。
美容室で着付けてもらう場合も、この位置がずれていたら早めに気づいて調整する意識が大切です。
衿元は顔まわりの印象を左右する最重要ポイント。
重ね衿の構造を理解しておくことで、写真映えも格段にアップします。
あわせ衿の基本ステップとシワを避ける準備

衿元にシワをつくらないためには、着付けの「前準備」が最重要です。
特に重ね衿を使う場合、着物の衿に対して重ねるだけではなく、長襦袢、半衿、そして重ね衿の3層が重なることになります。
これらをバランスよく配置し、ずれないように仕込んでおくことで、着ている間のシワや崩れを防げます。
衿芯をきちんと差し込むことも、見栄えに大きく影響します。
衿芯は長襦袢の衿に通して形を整えるための芯材で、柔らかすぎても硬すぎても安定感が出ません。
差し込む深さと位置が重要で、浅すぎると衿がフニャッと崩れ、深すぎると動いたときに芯が飛び出したり、着心地が悪くなることもあります。
また、着付けの際に最初に決めるべきなのが「中心線」です。
左右の衿幅を均等にし、顔まわりに自然なラインが出るように整えることで、時間が経っても崩れにくくなります。
中心を取る手順を正しく踏めば、重ね衿の見える幅や位置も整い、全体のバランスが美しく仕上がります。
衿芯の入れ方と選び方
衿芯は、着物の衿元をすっきりと整え、美しいカーブを保つために欠かせない道具です。
適切に使えば一日中崩れにくい衿元を維持できますが、選び方や差し込み方を誤ると、逆にシワや着崩れの原因になってしまいます。
まず素材について。
衿芯には、ナイロン製の柔らかいタイプから、ポリエチレン製の硬めのもの、メッシュ状で通気性のよいものまで様々な種類があります。
重ね衿や厚みのある生地を使う場合は、あえて少し薄手の柔らかい衿芯を選ぶと、重ねによる厚みを抑えやすくなります。
初心者には扱いやすく、形状記憶しやすい中程度の硬さのものがおすすめです。
入れ方については、衿芯を長襦袢の衿の内側(布の間)に通すのが基本ですが、その際「左右の端までしっかり入れる」「中心がズレないように調整する」ことが重要です。
芯が途中で止まっていたり、波打って入っていると、そのままシワの原因になります。
入れる深さは、芯の端が衿から1cmほど内側に収まる程度が目安。飛び出し防止のために、軽く折り返しておくと安心です。
また、差し込んだあとに一度衿を整え、衿芯が波打っていないか、全体が均一なラインになっているかを確認することで、着付け後のシワをぐっと減らすことができます。
中心合わせを崩さない手順
衿元の美しさを保つために欠かせないのが、「中心線」の正しい合わせ方です。
中心がずれていると、左右の衿幅が不均等になり、片側が浮いたり重なったりして、シワができやすくなります。
写真を撮ったときに「顔が傾いて見える」「衿が片方しか見えない」といった印象につながるのもこの中心ずれが原因です。
まず長襦袢を着た段階で、半衿の白い部分が左右均等に出ているかを確認します。
このとき、顔の中心と半衿のラインがまっすぐ揃っていることが重要です。
その上から着物を羽織る際も、左右の衿を同時に引いていくことで、力加減に差が出ないようにします。
一方の手で固定しながら、もう一方で調整するのがポイントです。
重ね衿を使用する場合は、半衿・重ね衿・着物の衿が三層構造になるため、各ラインの見せる幅がすべて等しくなるように調整します。
ここで仮止めピンを使って仮留めし、鏡で真正面から確認する工程を入れると、仕上がりに大きな差が出ます。
着付けの最後に帯を締める前にも、もう一度中心線と衿のバランスを確認しておくことで、外出中の崩れを未然に防ぐことができます。
最初のこの「中心取り」が正確であればあるほど、着姿の美しさは長時間キープできるのです。
着付け中にできる「しわ回避 テクニック」

衿合わせを丁寧に準備しても、実際に着付けを進めていくなかで手順が雑になってしまうと、衿元にシワが出てしまいます。
着付け中の動きや力のかけ方が適切でないと、せっかく整えたラインが崩れてしまい、時間が経つごとに左右差やたるみが目立ってきます。
特に重ね衿は厚みがあるぶん、少しの力加減で形が変わりやすく、慎重な操作が求められます。
ここでは、着付けの途中で衿元を崩さず、シワを回避するための具体的な手の使い方や体の使い方を紹介します。
初心者でも取り入れやすく、何度か繰り返せば自然に身につく動作ばかりです。
美容室で着付けてもらう場合でも、動いてシワができた際に自分でサッと直せる力がつけば、安心感も増します。
自装でも他装でも応用が利く方法をご紹介しますので、ぜひ取り入れてみてください。
衿を押さえながら進める手の動き
着付け中に衿元のシワを防ぐには、「手の動かし方」を工夫するのが最も効果的です。
特に、衿を体に沿わせて密着させる動きが重要で、これを怠ると隙間ができて時間とともにたるみやシワが生じます。
ポイントは、胸元から脇に向かって斜め下へと手のひら全体で「なで下ろすように」衿を押さえることです。
着物を重ねたあとに衿を押さえる際、片手で固定し、もう一方の手で脇の方向へ引きながら軽く張りを持たせることで、余分な空気やたるみを逃がすことができます。
この「手を添える」「衿をなでる」という一見地味な所作が、完成度に大きな違いを生むのです。
また、手のひらだけでなく、指先で衿の縁を軽く引くように整えると、段差や左右の高さのズレも同時に修正できます。
時間が経って衿元が緩んできたときも、同じ要領で軽くなで下ろすだけでシワが目立たなくなります。
衿元の美しさは、こうした丁寧な手の動きの積み重ねによって支えられています。
慣れるまでは鏡を見ながら練習するのがおすすめです。
脇や背中に集まるシワの流し方
衿元のシワは、実は背中や脇の「たるみ」が原因となっていることがよくあります。
着物や長襦袢は一枚布でできているため、背中や肩の余った布が前方に引っ張られることで、衿元にしわが寄ってしまうのです。
これを防ぐためには、背中や脇に向かってシワを「流す」動作が必要です。
加藤咲季さんは、背中心から左右へと手のひら全体で布をなでるように押し流す方法を紹介しています。
肩甲骨あたりから手を当てて、脇下の方向へ向けてゆっくりと布を移動させると、背中にたまったシワがきれいに分散され、前に響かなくなります。
このとき、手のひらを浮かせずに、布と体の間の空気を押し出すような気持ちでなでると、シワが戻りにくくなります。
帯を締める前にこの動作を入れておくことで、着付け後の安定感も大きく変わってきます。
また、衣紋を抜いた後の空間を整える意味でも、背中の布を整理するのは非常に有効です。
脇や背中に余計な緩みがあると、それがやがて衿元の崩れにつながっていきます。
日常の着付けでも、出先で衿元が緩んできたと感じたら、背中を軽く押さえて整える習慣をつけるだけで、着姿にぐっと差が出ます。
着崩れたときの応急処置テクと、外出時の備え

どんなに丁寧に着付けても、長時間の外出や移動で衿元が崩れてしまうことはあります。
特に食事の前後や階段の上り下り、子どもと一緒のシーンでは、前屈みになる動作が多く、気づかないうちにシワやズレが生じます。
そのとき「直したいけど、どこを触ればいいかわからない」と慌ててしまう方も少なくありません。
応急処置に大切なのは、「触る前に観察する」ことです。
鏡やスマホのカメラで衿元の状態を確認し、どちらの衿が緩んでいるか、左右非対称になっていないかをチェックします。
多くの場合、衿の片側が開いていたり、重ね衿が斜めになっていたりと、原因は限定的です。
加藤咲季さんは、出先でも自分でできるシンプルな手直し方法を提案しています。
たとえば、衿の内側に手を差し入れて衿芯を軽く押さえる、もしくは半衿と着物の間に親指を入れて内側からなでるように整えると、衿のラインが再びピンと張ります。
また、外出時に備えてミニ安全ピンや薄手のハンカチを持っておくと、衿の内側で簡易固定ができ、応急処置に役立ちます。
喫茶店や化粧室の鏡を活用し、落ち着いて整える習慣をつけることで、衿元のトラブルも怖くなくなります。
まとめ
衿元のシワは、見た目の印象を大きく左右するだけでなく、写真写りや場の雰囲気にも影響する大切な要素です。
とくに重ね衿を取り入れた装いでは、構造が複雑になるぶん、崩れやすさも増します。
しかし、シワの発生は避けられないものではありません。
大切なのは、「準備・着付け中の手順・応急処置」の三段階を意識しておくこと。
着る前の中心合わせや衿芯の挿入で基礎を整え、着付け中には手の動きでシワを逃がし、万が一の崩れには外出先で自分で直す術を持っておく。
この流れを習慣づければ、どんな場面でも衿元に自信が持てます。
日常でも特別な日でも、「きれいな衿元」はあなたの印象を一段引き上げてくれるはず。
ぜひ今回のテクニックを取り入れて、着物をもっと楽しんでください。
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。
詳しく見る

この記事へのコメントはありません。