「明日、着物を着る予定だけど…何をどこまで前日に準備すればいいの?」
そう思いながら、不安な気持ちでこの記事を開いた方も多いはずです。
着物は洋服と違い、当日にすべてを整えようとすると、想像以上に時間がかかります。
半衿が付いていない、小物が足りない、シワが取れない。そんなトラブルは、前夜の準備不足が原因で起こります。
この記事では、着物初心者の方でも当日を落ち着いて迎えられるように、
- 前夜に必ず整えておくべきコーディネート準備
- 忘れ物や失敗を防ぐための具体的なチェックポイント
- 当日の動きがスムーズになる段取りの考え方
を、順番に解説していきます。
前夜にやるべきことを知っておくだけで、当日の安心感は大きく変わります。
「着物は大変そう」という不安を準備で解消していきましょう。
Contents
着物のコーディネートは「前夜準備」で成否が決まる

着物の着用がうまくいくかどうかは、当日の着付け技術よりも、実は前夜の準備でほぼ決まります。
なぜなら、着物は身にまとう工程が多く、必要なものも細かく分かれているからです。
当日に確認しながら準備を進めると、判断が追いつかず、時間にも心にも余裕がなくなります。
前夜の段階でコーディネートと必要なものをすべて整えておくことで、当日は「着るだけ」の状態を作ることができます。
これは初心者の方ほど重要な考え方です。
着物を着慣れていない場合、ひとつの抜けや迷いが、着崩れや大きなストレスにつながります。
ここではまず、当日準備で起こりやすい失敗と、前夜準備がもたらす安心について整理していきます。
当日に準備すると起きやすい失敗パターン
当日に着物の準備を始めると、最も多いのが「想定外の抜け」に気づくケースです。
代表的なのが、半衿が付いていないことに直前で気づくパターンです。
半衿はすぐに付けられるものではなく、縫うかテープを使う必要があります。
時間がない状態での対応は、仕上がりにも影響します。
次に多いのが、小物の不足です。
伊達締めが一本足りない、腰紐の本数が合わない、帯揚げと帯締めの組み合わせが決まらない……。
こうした迷いは、当日の判断力を大きく削ります。
焦って選んだ結果、全体のバランスが崩れることも珍しくありません。
さらに、着物や長襦袢のシワや湿気も見落とされがちです。
畳んだまま保管していた着物は、前日に広げておかないと折りジワが残りやすく、当日になってからでは対処が難しくなります。
これらの失敗に共通するのは、当日に「確認」と「準備」を同時に行おうとしている点です。
着物は、そのやり方自体がリスクになります。
前夜に準備することで得られる3つの安心
前夜に準備を終えておく最大のメリットは、時間の余裕です。
必要なものがすべてそろっている状態で朝を迎えられるため、着付けの一つひとつの動作に集中できます。
結果として、着崩れやミスも起こりにくくなります。
二つ目は、判断ミスを防げることです。
前夜であれば、帯や小物の組み合わせを落ち着いて見直せます。
鏡の前で全体を確認し、「何か違う」と感じた場合も、別の選択肢を考える時間があります。
当日では、この余裕はほとんどありません。
三つ目は、精神的な安心感です。
「もう準備は終わっている」という状態は、着物に不慣れな方ほど大きな支えになります。
朝からバタつかないだけで、着物を着る一日そのものが前向きなものになります。
前夜準備とは、作業を早めることではなく、不安を前もって取り除くことです。
この意識を持つだけで、着物との向き合い方が大きく変わります。
前夜に必ずやるべき「コーディネート準備」

前夜準備の中でも、最優先で行いたいのがコーディネートの確定です。
着物・帯・小物は、それぞれ単体で見ると問題がなくても、組み合わせたときに初めて違和感が出ることがあります。
当日その違和感に気づくと、修正する時間も代替案もなく、妥協したまま出かけることになりがちです。
前夜の段階でコーディネートを完成させておくことは、見た目を整えるためだけではありません。
当日の判断や作業を減らし、着付けそのものに集中できる環境を作るための準備です。
ここでは、特に重要な二つのポイントを解説します。
着物・長襦袢・帯は必ず一式そろえて確認する
前夜には、着物・長襦袢・帯・帯揚げ・帯締めを必ず一か所に集め、実際に組み合わせて確認します。
このとき重要なのは、頭の中で想像しないことです。
実物を並べて見ることで、色の強さや全体の印象のズレに気づけます。
よくある失敗が、帯だけ別の日に選んで満足してしまうケースです。
着物と合わせると、想像以上に重たく見えたり、逆に締まりがなく感じたりすることがあります。
帯揚げや帯締めも同様で、単体では使いやすく見えても、全体に入れると浮いてしまうことがあります。
また、式典や行事の場合は、格のバランスも確認が必要です。
着物は控えめなのに帯だけ華美、もしくはその逆という状態は、前夜に並べてみることで防げます。
コーディネート確認は、選び直す時間が取れる前夜にこそ行う意味があります。
半衿は前夜までに必ず付けておく理由
半衿は、前夜準備の中でも特に優先度が高い項目です。
なぜなら、当日に対応しようとすると最も時間と集中力を奪われる作業だからです。
縫い付ける場合はもちろん、テープを使う場合でも、位置を整えながら付けるには想像以上に手間がかかります。
半衿は顔まわりの印象を大きく左右します。
付け方が甘いと、着付けがどれだけ整っていても、全体が雑に見えてしまいます。
前夜であれば、襦袢を広げた状態で落ち着いて作業ができ、左右差やねじれにも気づきやすくなります。
半衿テープを使う場合の注意点や、向いていない半衿については、加藤咲季さんの動画【テープで貼ってはいけない半衿3選】でも詳しく解説しています。
前夜の準備として確認しておくと安心です。
半衿は「後でやろう」と思いやすい部分ですが、実際には後回しにするほどリスクが高くなります。
前夜のうちに確実に終わらせておくことが、当日の安定につながります。
前夜に行う「物理的な準備」チェックリスト

コーディネートが決まったら、次に行うのが物理的な準備です。
ここでいう物理的な準備とは、着物や小物の状態を整え、当日すぐに使える形にしておくことを指します。
見た目には問題なさそうでも、実際に身につけると不具合が出ることは珍しくありません。
前夜に一度すべてを広げ、触れて確認することで、当日のトラブルを大幅に減らせます。
ここでは、特に見落とされやすい二つのポイントをチェックしていきます。
着物と長襦袢は吊るしてシワと状態を確認
前夜には、着物と長襦袢を必ず畳んだ状態から出し、ハンガーに吊るします。
これはシワを取るためだけでなく、生地の状態を確認するためでもあります。
畳んだままでは、衿元や袖口の折り癖、湿気によるヨレに気づきにくいからです。
吊るした状態で全体を見ると、思っていた以上にシワが目立つことがあります。
当日になってから気づいても、アイロンや霧吹きに対応する時間が取れない場合が多く、妥協せざるを得なくなります。
前夜に吊るしておけば、自然にシワが落ちるケースも少なくありません。
また、長襦袢の衿元や袖口に汚れがないかも、このタイミングで確認します。
着付けが終わってから気づくと修正が難しいため、必ず事前にチェックしておくことが大切です。
着物は、着る前に広げて確認する習慣が安心につながります。
小物・肌着・補正類を一か所にまとめる
着物関連の忘れ物で最も多いのが、小物類です。
腰紐、伊達締め、帯板、帯枕、コーリンベルトなどは、普段別々に収納している方も多く、当日になって足りないことに気づくケースが後を絶ちません。
前夜のうちに、必要な小物をすべて一か所にまとめておきます。
このとき、実際に使う本数を意識することが重要です。
予備を含めて準備しておくことで、着付け中の不安を減らせます。
肌着や裾よけ、和装ブラなども同様に、当日着るものだけをセットにしておきます。
肌着の選び方については、加藤咲季さんの動画【肌着の種類】でも詳しく解説しています。
事前に確認しておくと準備がスムーズです。
補正用のタオルや手ぬぐいも、この段階で用意します。
補正は体型や着物によって必要量が変わるため、迷わず使えるように手の届く場所に置いておくことが大切です。
前夜に一式をまとめておくことで、当日は流れに沿って着付けを進められます。
当日をラクにするための前夜の段取り

前夜準備の仕上げとして行いたいのが、当日の動きを想定した段取りです。
ここまででコーディネートと物理的な準備が整っていても、当日の流れが整理されていないと、結局バタついてしまいます。
着物は工程が多いため、頭の中だけで段取りを考えるのは危険です。
前夜のうちに「どういう順番で着るか」「何をどこから使うか」を可視化しておくことで、当日は迷いなく手を動かせます。
ここでは、初心者の方ほど効果が高い二つの段取り方法を紹介します。
着る順番を想定して並べておく
前夜には、着付けの順番どおりに道具や衣類を並べておきます。
下から使う肌着、裾よけ、長襦袢、補正、着物、帯、小物という流れを意識して配置することがポイントです。
こうすることで、次に何を取ればいいかを考える時間がなくなります。
特に初心者の方は、着付け中に「次は何だったか」と手が止まりやすくなります。
その一瞬の迷いが、着崩れや時間超過につながります。
前夜に順番を作っておくことで、視覚的に流れを把握でき、着付けが格段にスムーズになります。
家族に手伝ってもらう場合も、この方法は有効です。
どれを渡してもらえばいいか説明しなくても済み、コミュニケーションの負担が減ります。
着物を着る日は、段取りそのものが成功の鍵になります。
持ち物・バッグの中身を前夜に完成させる
当日の持ち物も、前夜に必ず完成させておきます。
バッグの中身を朝に詰めようとすると、忘れ物が起きやすくなります。
最低限必要なのは、財布、ハンカチ、ティッシュ、スマートフォンなどの基本アイテムです。
着崩れが不安な方は、予備の腰紐やクリップ、細めの紐を一本入れておくと安心です。
ただし、必要以上に荷物を増やすと、バッグが重くなり、動きにくくなります。
何を持つかよりも、何を持たなくていいかを考える視点も大切です。
着物でのお出かけに必要な持ち物については、加藤咲季さんの動画【着物でのお出かけに必要なものとは?】でも具体例を交えて解説しています。
前夜の確認として参考になります。
バッグの中身が完成したら、玄関や出かける動線上に置いておきます。
朝になって探す工程をなくすことが、落ち着いたスタートにつながります。
まとめ
着物のコーディネートと準備は、当日ではなく前夜に行うことで完成度が大きく変わります。
半衿を付け、コーディネートを確定し、着物を吊るし、小物をまとめ、段取りを整える。
この一連の流れを前日に済ませておくことで、当日は着ることに集中できます。
前夜の準備は、時間をかける必要はありません。
ポイントを押さえれば、30分ほどで十分です。
その30分が、忘れ物や焦りを防ぎ、着姿と気持ちの両方を安定させてくれます。
着物は、丁寧に向き合えば決して難しいものではありません。
前夜の準備を習慣にすることで、着物を着る一日を安心して迎えられるようになります。
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。
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