子供用七五三の身丈計測ガイド|自宅で正確に採寸する方法と調整のコツ

「子供用の“身丈”って、どこをどう測ればいいの?」
「七五三の着物、サイズ選びを間違えたら動きづらくて可哀想かも…」
「お下がり着物を使いたいけれど、今の体に合ってるのか不安」

そんな不安を抱えながら、七五三の準備を進めていませんか?

初めて子どもに着物を着せるご家庭では、採寸やサイズ調整がとてもハードル高く感じられるものです。特に身丈(みたけ)という言葉を聞いても、「どこを測るの?」「長いとどうなるの?」と戸惑う声も少なくありません。

この記事では、以下の3点を中心に丁寧に解説します。

  • 自宅でできる子供用着物の「身丈」の正しい測り方
  • 測った寸法をもとに、着物や袴のサイズをどう選べばいいか
  • 身丈が合わない場合に、自分でできる調整方法(肩上げ・腰上げ)

さらに、ネットレンタルやお下がりを活用したいご家庭向けに、サイズ選びでの注意点や、よくある失敗例まで幅広くカバーします。

ただ寸法を測るだけでなく、「見た目が良くて、動きやすい」七五三にするためのコツまでしっかりお伝えします。

着物に慣れていないお子さまにも負担のない、安心で華やかな1日を迎えられるよう、ぜひ参考にしてください。

Contents

子供の「身丈(着丈)」とは何か?〜七五三で重要な理由

七五三の着物選びで「身丈(みたけ)」という言葉を初めて目にする方も多いかもしれません。

これは、着物の縦の長さを示す用語で、着物を着たときにどこまで裾が下りるかに関わる、非常に重要な採寸項目です。

特に子供の着物では、身丈がそのまま「裾の長さ=足さばきのしやすさ」や「着姿の整い」に直結します。

たとえば、身丈が長すぎると裾を引きずってしまい、転倒や着崩れの原因になります。

一方で短すぎれば、歩くたびに足元が覗いてしまい、見栄えが悪くなるだけでなく、防寒性も損なわれます。

また、七五三は多くの場合、写真撮影や神社参拝、食事会といったシーンを1日でこなすことになります。

見た目の美しさはもちろん、子どもが動きやすくて快適に過ごせることが、サイズ選びでは非常に大切です。

「身丈」の役割と意味を正しく理解しておくことで、後の採寸や調整もスムーズになります。

ここからは、具体的にどのように身丈を測るのか、また似た言葉との違いなども確認していきましょう。

身丈の定義と着物の「身丈(きたけ)」との関係

身丈とは、着物を肩から足元まで縦方向に測った長さのことを指します。

成人用でも子供用でも基本的な意味は同じですが、七五三の場合は「肩上げ・腰上げ」という調整が前提となるため、若干ニュアンスが異なります。

大人の着物では、身丈が「着る人の身長」とほぼ一致するのが理想とされます。

ところが、子供用の着物では成長を見越してあえて大きめに作られており、実際に着用する際には体に合わせて“上げ”を施すことが前提です。

そのため、採寸の時点でピッタリの身丈を求めるのではなく、「どれくらい大きいか」「どこを上げて調整するか」を見極めるための基準として身丈を計測します。

この違いを理解しておくと、後述する肩上げや腰上げの作業が一層スムーズに感じられるでしょう。

なぜ身丈を正しく測ることが大切か(裾の扱い・歩きやすさ・見た目のバランス)

身丈を正しく把握していないと、当日に大きなトラブルにつながることがあります。

裾が長すぎる場合、歩くたびに踏んでしまい、着崩れや転倒の原因になります。

逆に短すぎると、せっかくの晴れ着が“ツンツルテン”に見えてしまい、写真映えもしません。

さらに、七五三はお詣りや撮影、会食など多様なシーンを含みます。

途中で草履を脱いで靴を履き替える場面もあるでしょう。そうした日常の動作の中でも裾を踏まず、

ストレスなく動ける長さに整えるためには、初めの採寸がとても重要です。

また、適切な身丈は着姿の美しさにも直結します。

裾がまっすぐに落ち、腰紐や帯の位置も安定することで、全体のバランスが整います。

とくに写真館での撮影では、立ち姿や座り姿をきれいに見せるうえで、身丈の調整が着姿を左右します。

こうした理由から、子どもの身丈をただ「なんとなく」で決めるのではなく、しっかりと測った上で着付けの調整を行うことが、七五三を素敵な思い出にするための第一歩になります。

自宅でできる正確な身丈の測り方

初めての七五三準備では「プロに頼まないと採寸できないのでは?」と不安に思う方も少なくありません。

しかし、基本的な測り方さえ押さえておけば、自宅でも十分に正確な身丈を計測できます。

特別な道具は必要ありません。メジャーが1本あればOKです。

むしろ自宅でリラックスした状態の方が、子どもも自然な姿勢で採寸に応じやすく、実際の着用感に近いサイズが測れます。

この章では、身丈を測る前の準備から、具体的な手順、測った寸法をどう着物サイズと照らし合わせれば良いかまで、順を追って解説します。

採寸前の準備とポイント(姿勢・靴/かかと位置/呼吸など)

正確な身丈を測るためには、まずは環境を整えることが大切です。

以下のポイントを意識して準備しましょう。

まず、測る場所は平らな床があるところを選び、できれば子どもが壁に背をつけてまっすぐ立てるようにします。

次に、足元は靴や靴下を脱ぎ、素足または足袋で立たせます。かかとを軽くそろえ、左右に体重が偏らないよう注意します。

姿勢も非常に重要です。

猫背や反り腰になっていると正確な数値が出ません。

視線は正面に向け、肩を軽く下ろしてリラックスした状態を作ってあげましょう。

加えて、呼吸を止めず、自然な息づかいのままで立ってもらうことで、普段の体のラインに近い形で採寸が可能になります。

測る側の大人は、メモ用紙とメジャーを用意しておき、サッと計測してあげることもポイントです。

時間をかけすぎると子どもが動いてしまい、誤差の原因になります。

首の“ぐりぐり”からくるぶしまでを測る手順とコツ

子供の身丈を測る際は、以下の方法が基本です。

まず、首の後ろにある骨の出っ張り、いわゆる“ぐりぐり”と呼ばれる第7頸椎をスタート地点とします。

そこからメジャーを真っ直ぐにおろし、くるぶしの少し上あたりまでの長さを測ります。

くるぶしの真上ではなく、草履を履いて裾が自然に落ちる位置を想定して、地面から2~3cm程度上の位置で測るのが理想です。

特に三歳児は足元が不安定なことも多く、少し短めに仕上げると歩きやすさにもつながります。

また、測る時にメジャーが体のカーブに沿って湾曲しないよう、背中に添わせて真下へ落とすようにします。

複数の家族で手分けして測定と記録を分担すると、よりスムーズに正確に測れます。

七歳の女の子の場合は、腰骨あたりで帯を締めることを想定し、腰上げを考慮してやや長めに測るのが一般的です。

一方、五歳男児で羽織袴を着せる場合は、袴丈とのバランスを取るため、多少の余裕を見ておくと安心です。

測った身丈をどう着物サイズにあてはめるかの見方

実際に計測した身丈を、どのように着物サイズに落とし込むかも重要なポイントです。

まず、レンタル着物やお下がりを使う場合は「仕立て上がりサイズ」と照らし合わせて確認します。

多くのサイトでは「身丈◯cm対応」と表記されており、そこに測った数値が含まれていれば適正と判断できます。

ただし、表示されている“身丈”が「上げ前」か「上げ後」かは要確認です。

子供用着物は肩上げ・腰上げが施されている前提で表示されていることが多く、特にネットレンタルでは注意が必要です。

表示サイズと実寸が一致していても、上げを施した結果として適合している場合があるため、必ず「仕上がり寸法」の記載をチェックしましょう。

また、兄弟姉妹や親戚から譲り受けた着物の場合は、採寸結果と実物を比較し、肩上げ・腰上げによる調整の余地がどれくらいあるかを確認します。

この点については、次の章で詳しく解説していきます。

身丈以外に測るべき寸法とその使い道

身丈は着物の縦の長さを示す重要な寸法ですが、七五三の衣装を快適に、かつ美しく着せるには、他にもいくつか押さえておきたい寸法があります。

とくに裄丈(ゆきたけ)や袴丈などは、着心地や動きやすさに直結するため、身丈と同じくらい丁寧に計測したい項目です。

これらの寸法をしっかり把握しておくことで、ネットレンタルのサイズ選びにも自信を持って対応できますし、お下がりの活用や肩上げ・腰上げの判断にも役立ちます。

この章では、それぞれの測り方と使い道を具体的に解説していきます。

裄(ゆき・裄丈)の測り方と適正サイズ

裄とは、首の後ろの付け根から、肩を通って手首のくるぶしまでの長さを指します。

着物の袖がどこまで覆うかを決める重要な基準であり、短すぎると腕が見えすぎてしまい、長すぎると手が袖に埋もれてしまいます。

裄の測り方は、まず子どもに両腕を自然に下ろして立たせます。

片方の手でメジャーの端を首の後ろ(第7頸椎あたり)に当て、肩の山を通って手首のぐりぐり(小指側の出っ張った骨)までを測ります。

腕を上げた状態や曲げた状態ではなく、日常の姿勢で計測するのがポイントです。

着物は直線裁ちで仕立てられているため、裄丈の調整は意外と難しく、肩上げで調節することが前提となります。

裄が長すぎる場合は肩上げを深くし、短めの着物を選ぶ場合は、肩上げを浅くするなどの工夫が必要です。

採寸段階で正確な裄を知っておくことで、調整の幅が把握でき、安心してサイズを選べるようになります。

男の子なら袴丈(紐下丈・股下換算)も測る必要性

五歳の男の子に袴を着せる場合、袴丈の計測も欠かせません。

袴丈は、着物と違って「足の動きやすさ」に大きく影響します。

長すぎれば地面に裾を引きずってしまい、短すぎれば足元が落ち着かず、見た目にも不自然になります。

袴丈の基準は「腰骨(へそのやや下)からくるぶしまで」。

メジャーを腰の位置に当て、まっすぐにおろして足のくるぶし手前まで測ります。

最近では「股下の長さ×1.3」や「身長の約0.45〜0.5倍」といった目安もありますが、個人差が大きいため、実寸を測っておく方が確実です。

また、レンタルサイトなどでは「紐下丈」と表記されていることも多く、この「紐下丈=袴本体の長さ」に対し、子どもの腰の位置が高めか低めかで調整が必要になります。

加えて、子ども用袴はスナップで多少の丈調整が可能なものもあるため、着せる前提での調整可能範囲も確認しておくと安心です。

身幅・袖丈など、補助寸法の確認

身丈や裄丈、袴丈ほど重要ではないものの、補助的な寸法として「身幅」や「袖丈」も把握しておくと役立つ場面があります。

身幅とは、着物を着たときに体をどれだけ包み込むかを示す横幅の長さです。

体が小柄なお子さんに対して大きすぎる着物を着せると、左右の布が重なりすぎて動きにくくなったり、帯が不安定になったりすることがあります。

一方、袖丈は肩の縫い目から袖の端までの長さで、袖の垂れ具合に関わります。

特に七歳女児の振袖は袖丈が長めのものが多いため、採寸しておくと着崩れや歩きづらさのリスクを把握しやすくなります。

補助寸法は、レンタルで選ぶときに「袖丈◯cm」「対応身幅◯cm」といった表記と照合し、過不足がないかを見極めるための参考になります。

また、お下がり利用の際にも、元の持ち主とお子さまの体格差を把握するうえで有効です。

肩上げ・腰上げで身丈を調整する方法と注意点

子供用の着物は、成長を前提に大きめに仕立てられていることが多く、そのままでは裾が長すぎたり袖が手を隠してしまったりすることがあります。

そうした場合に活用されるのが「肩上げ」と「腰上げ」です。

これらは着物を解いたり切ったりせずに、縫い留めて丈や裄を調整する技法で、特に七五三やお宮参り、節句の着物などで広く用いられています。

見た目にも自然で、仕立て直しと比べて圧倒的に簡単なため、自宅での対応も可能です。

この章では、肩上げ・腰上げの意味や手順、注意点をわかりやすく紹介していきます。

肩上げの基本手順と許容範囲

肩上げとは、袖の付け根部分を縫い留めて、裄丈(ゆきたけ)を短く調整する方法です。

肩山から袖にかけて少しつまみ縫いすることで、子どもの肩幅に合うようにします。

やり方は非常にシンプルで、着物を裏返し、肩の縫い目部分を中心に3〜5cmほど折り返し、両肩同じ長さで縫い留めます。

縫い目は波縫いで十分ですが、仕上がりの美しさを意識するなら、玉止めを表に出さないようにします。

目安として、三歳の女児であれば3〜5cm、七歳では5〜7cm程度の肩上げをするのが一般的です。

実際の裄丈との差を見て調整するため、採寸が正確であることが大前提となります。

また、肩上げを浅くすれば見た目が大人っぽくなり、深めにすると幼く見えるという視覚的な特徴もあります。

着物の雰囲気や当日の撮影スタイルに応じて、印象をコントロールする手段としても活用できます。

腰上げ(裾つまみ)のやり方とバランス調整

腰上げは、着物の丈を短く調整するために、腰回りで生地を折り返して縫い留める方法です。

身丈が長い場合に、裾が地面につかないよう整えるための技術で、見た目も可愛らしく仕上がります。

具体的な手順としては、着物を子どもに着せた状態、または実寸と照らし合わせて、裾が地面から2〜3cm上に来るように折り返します。

そして、腰骨よりやや高めの位置に布をたたんで、左右の脇あたりで縫い留めます。

腰上げの深さは、身丈と実寸との差に応じて調整します。三歳児であれば10〜15cm程度、七歳児では5〜10cm程度の上げ幅が一般的です。

ただし、上げすぎると裾が上がりすぎて不格好に見えるため、鏡でバランスを確認しながら調整するのが大切です。

腰上げは動きやすさにも大きく影響します。

特に活発なお子さんは、裾が長すぎると引っかかって転倒する可能性があるため、安全面からも慎重な調整が必要です。

家庭でできる簡易な調整(紐位置・折返し・丈調整など)

肩上げ・腰上げが面倒に感じる場合でも、家庭で簡単にできる応急的な調整方法があります。

たとえば、紐の位置を調整するだけでも、ある程度の丈感を整えることが可能です。

帯や腰紐を高めに締めることで、着物の裾を自然に持ち上げることができます。

特に腰上げが間に合わなかった場合でも、腰紐を少し高めの位置に当てて裾を内側にたるませることで、短く見せる工夫ができます。

また、着物の内側にタオルやガーゼを仕込んで、腰回りのボリュームを調整することで、裾の持ち上がりを安定させる方法もあります。

これにより、歩いたときの着崩れも予防できます。

さらに、折返しを仮止めするための両面テープや安全ピンを使えば、針を使わずに調整することも可能です。

ただし、当日の動きに備えて強度や見栄えには十分配慮してください。

これらの方法は、急ぎの場面や仮合わせの段階でも使えるため、1着の着物を兄弟姉妹で使い回す場合などにも活用できます。

レンタル・お下がり利用時の身丈確認と調整ポイント

七五三の衣装を準備する際、レンタルやお下がりを活用したいと考えるご家庭も多いはずです。

費用を抑えられるうえ、好みのデザインが選べたり、家族の思い出が詰まった着物を使えたりする点は大きな魅力です。

しかし、そうした既製の着物を使う場合は「サイズが合っているか」の確認が欠かせません。

特に身丈が合わないと、当日の動きにくさや着崩れの原因になります。

この章では、レンタル衣装やお下がりを使用する際に、身丈をどうチェックし、どんな点に注意すれば良いのかを整理していきます。

レンタル衣装の身丈表示をどう読み解くか

インターネットで七五三の着物をレンタルする場合、商品ページに「対応身長」「身丈」「裄丈」などの表記があります。

しかし、表示のされ方はショップによってまちまちで、読み違えるとサイズ選びを誤ってしまいます。

まず注意したいのは、「仕立て上がりサイズ」なのか「対応身長ベースの目安」なのかを見極めることです。

たとえば「身丈90cm」と書かれていても、それが肩上げや腰上げを加味した仕上がり寸法なのか、未調整のままの長さなのかによって選ぶべきサイズが異なります。

次に、記載されている対応身長に対して、自分の子どもの実寸がどこに当てはまるかを確認します。

着物は丈が多少合わなくても調整可能な衣装ではありますが、裾が地面を引きずるほど長いものは避けましょう。

また、レンタル店によっては「肩上げ済み」「腰上げ済み」と記載されていることもあります。

その場合、届いてすぐに着られるように整えられている可能性が高いですが、微調整が必要なケースもあるため、届いたら一度試着してみることが大切です。

表示身丈と子どもの身丈ズレがある場合の選び方基準

レンタル着物で「対応身丈」とお子さまの実寸に多少のズレがあった場合、どの程度までなら許容範囲か悩む方も多いでしょう。

基本的には、身丈が多少長めでも、腰上げや紐位置の調整によって対処できます。

ただし、10cm以上の差がある場合は、裾の引きずりや着崩れのリスクが高くなるため、調整が難しい可能性があります。

逆に、短めの着物は補正が難しく、特に七歳女児の振袖の場合は、見た目のバランスにも大きく影響します。そのため、多少長めを選び、腰上げで整える方が安心です。

レンタル店によっては、実際に身丈や裄丈の調整を依頼できる場合もあります。

また、試着用サンプルを送ってもらえるサービスを提供している店舗もあるので、可能であれば事前にフィッティングしておくと安心です。

着物は「多少大きめでも調整ができる」という特性を持っていますが、あくまで調整の範囲内での選択にとどめることが重要です。

お子さまの動きやすさや安全性を第一に考えて、無理のないサイズを選びましょう。

お下がりを使う時に気をつけたい寸法チェックポイント

家族や親戚から譲り受けた着物を使う場合、サイズの確認が特に重要です。

以前着ていた子どもと現在のお子さまの身長・体格が違うため、着せてみて初めて「意外と小さかった」「思ったより長すぎた」と気づくケースも少なくありません。

まず確認したいのは、身丈と裄丈です。

採寸した実寸と着物の仕立てサイズを比較し、肩上げや腰上げでどれくらい調整が可能かを見極めます。

肩上げがすでに縫い込まれている場合は、糸を解くことで調整幅を広げられるかもしれません。

次に、帯や小物の有無もチェックしておきましょう。

お下がりの着物は、帯や帯揚げなどが揃っていないことも多いため、不足がある場合はレンタルや購入で補う必要があります。

また、着物の状態にも注意が必要です。

長期間保管されていた場合、シミや黄ばみ、カビ臭などが発生していることもあります。

クリーニングに出す余裕があるかも含め、スケジュールにはゆとりを持って準備することが大切です。

さらに、昔の着物は現在の平均体型とは異なるサイズ感で作られていることもあり、身幅が合わないというケースもあります。

丈だけでなく、袖ぐりや身幅なども一緒に確認しておくと、当日のトラブルを防げます。

失敗しないサイズ選びのコツとよくある質問

七五三の準備で「サイズ選び」は多くのご家庭がつまずくポイントです。

身丈や裄丈を測っても、表記とのズレや調整の必要性に戸惑うこともありますし、試着ができないレンタルの場合は特に不安が大きくなります。

ですが、いくつかの基本的な考え方を押さえておくだけで、サイズ選びの失敗は大きく減らせます。

ここでは、初心者でも安心して着物を選べるように、具体的なコツやよくある疑問への答えをまとめました。

少し大きめを選ぶ?ぴったり?正解の目安とは

「成長を見越して大きめを選んだほうがいいの?」「当日の着付けを考えたらぴったりが良い?」と悩む方も多いですが、七五三においては“やや大きめを選び、調整する”のが基本的な考え方です。

特に着物は、肩上げ・腰上げなどで丈や幅を簡単に調整できるため、多少の余裕があるほうが融通が利きます。

裾が長ければ腰上げで持ち上げられますし、裄丈も肩上げで合わせることが可能です。

一方で、身丈が短すぎる場合は調整が難しく、歩くたびに裾が上がってしまい、見た目にも落ち着かなくなってしまいます。

短すぎる着物は“取り返しがつかない”という点でリスクが高いのです。

また、撮影とお詣りの2回使う場合、前撮りと本番の間に成長する可能性もあるため、なおさら余裕のあるサイズを選ぶのが安心です。

ただし、大きすぎて調整しきれないほどのサイズは避けましょう。身丈でいえば、実寸よりも5〜10cm程度の余裕までが目安です。

試着できないレンタルで失敗を防ぐチェック項目

試着ができないネットレンタルを利用する場合でも、事前の確認を徹底すればサイズ選びの失敗を防げます。以下のチェック項目を意識しましょう。

まず、商品ページに記載された「仕上がりサイズ(身丈・裄丈など)」と、自分で測った寸法を照らし合わせることが第一です。

このとき、子どもの実寸と着物のサイズが“ぴったり”である必要はなく、“調整可能な範囲にあるか”を確認しましょう。

次に、「肩上げ済み」「腰上げ済み」の表示があるかを確認します。

これらが施されている場合、届いてすぐに着られる可能性がありますが、手直しが必要なこともあるので、事前に縫い目の確認ができると安心です。

さらに、返品やサイズ交換の対応が可能かどうか、サポートの充実度も重要な判断材料です。

レンタル業者の中には、試着用のサンプルを送ってくれるサービスや、チャットで相談できる窓口を用意しているところもあります。

もし不安がある場合は、レンタル開始日よりも早めに届くように設定し、自宅で実際に着せてみるのも良い方法です。

万が一合わなかった場合にも、余裕をもって対処できるからです。

「おはしょりが出ない」など実際の失敗例と対策

七五三でよくあるトラブルの一つが、「おはしょりが出ない」ケースです。

これは、身丈が短すぎた結果、帯の下におはしょり(着物のたるみ部分)が作れなくなってしまう現象です。

この問題は、特に七歳の女児に多く見られます。

振袖は帯で固定するため、おはしょりがないと腰紐が見えてしまい、着崩れしやすくなったり、見た目が不格好になったりします。

このトラブルを防ぐには、採寸の段階で身丈に5〜10cmの余裕を持たせ、腰上げで調整できるようにしておくことが重要です。

どうしてもおはしょりが出ない場合は、肌襦袢や長襦袢でたるみを作るなどの工夫も有効です。

また、当日に「歩きづらい」「着崩れてしまった」といった声もよくありますが、これらは多くの場合、裾や裄が合っていないことが原因です。

とくに袖が手の甲を覆いすぎていると物が持ちにくく、着崩れの原因にもなります。

こうした失敗例は、すべて事前の採寸と調整で予防可能です。

焦って本番を迎えることがないように、余裕をもった準備を心がけましょう。

まとめ

七五三の着物選びで最も重要なのは、子どもの体に合ったサイズを正しく選ぶことです。

その中心となるのが「身丈」の採寸であり、ここを基準に他の寸法や調整を考えていくことで、見た目にも美しく、快適に過ごせる着姿が実現します。

まずは自宅で、子どもの自然な姿勢のもと、首の後ろからくるぶしまでを丁寧に測りましょう。

その上で、裄丈や袴丈などの寸法も確認し、調整の余地を踏まえてサイズ選びを進めることが大切です。

レンタルを検討する際は、表記サイズの意味を正確に読み解き、試着やサポート体制の有無も含めて慎重に選ぶと安心です。

お下がりを活用する場合は、肩上げや腰上げの調整幅を見極め、必要に応じて補正を行いましょう。

少し大きめの着物を選び、肩や腰で丁寧に調整してあげることが、子どもにとって快適で安全な着付けにつながります。

採寸から調整、そして着付け本番まで、焦らず順を追って準備を進めていきましょう。

加藤咲季
監修:加藤咲季
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。

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