「七五三の母親の着物って、どこまで気をつけるべき?」
「訪問着がいいって聞くけど、小紋じゃだめなの?」
「親子でバランスを取りたいけど、どうすれば写真映えするの?」
そんな風に、七五三が近づくにつれ、母親の装いについて悩み始める方は多いのではないでしょうか。
子どもの衣装は決まり、撮影やお参りの日程も決まり始めると、次に気になるのは「親としての着物の選び方」。
でも実際には、訪問着・付け下げ・色無地・江戸小紋と選択肢はあっても、何をどう選べばいいのか曖昧なまま不安を抱える人が多いのが現実です。
この記事では、以下の3点について丁寧に解説していきます。
- 母親の着物選びにおいて、何を基準にするべきか
- 子どもや家族とのバランスをとる色・柄・小物の選び方
- 撮影やお参り当日に困らない準備・着崩れ対策の工夫
さらに、加藤咲季さんのYouTube動画で紹介されている“写真映えとマナーの両立”という視点を踏まえ、初心者の方でも自信を持って選べる着物コーディネートの考え方をお伝えします。
この記事を読めば、「マナーも大事にしつつ、きちんと写真映えもする親子コーデ」の実践イメージがきっと見えてくるはずです。
Contents
母親の着物、なぜ「訪問着/付け下げ/色無地」なのか?

七五三で母親が着物を選ぶ際、「訪問着・付け下げ・色無地」が基本とされるのはなぜでしょうか。
この3つは、親としての立場を尊重しつつ、華やかさと控えめさを両立できるアイテムとされています。
特に撮影や参拝といったフォーマル要素を含む行事では、写真の中で浮きすぎず、かといって地味すぎず、上品にまとまる選択肢が求められます。
加藤咲季さんの動画でも、「七五三は子どもが主役。母親の着物はあくまで脇役として、上品に背景を彩る存在であってほしい」と解説しています。
そのため、格のある着物の中でも控えめな柄付けや落ち着いた色味のものが選ばれやすい傾向があります。
では、それぞれの着物の違いや、なぜ小紋は避けた方がよいと言われるのかについて見ていきましょう。
訪問着・付け下げ・色無地、それぞれの格と特徴
訪問着は、裾から肩にかけて柄が続く「絵羽模様」が特徴の着物で、最も華やかかつ格のある選択肢です。
七五三や結婚式などフォーマルな場面に対応しやすく、上品な柄であれば母親としての装いに最適です。
加藤咲季さんも「訪問着は格も華やかさもあるので、七五三にふさわしい」と解説しています。
付け下げは、柄の配置が訪問着に似ていながらも縫い目をまたがず、もう少し控えめな印象になります。
格は訪問着に準じますが、柄が少なめな分、落ち着いた雰囲気があり「子どもを引き立てる装い」として非常に重宝されます。
色無地は、柄が一切なく一色で染められた着物です。
紋を入れれば正式な場にも対応でき、控えめながらも格のある着物として知られています。
シンプルで合わせやすく、帯や小物で華やかさを調整できるのも魅力です。
なぜ小紋・江戸小紋は選びにくいのか(許容範囲も含む)
小紋は全体に細かい柄が入っているカジュアルな着物で、七五三のようなフォーマルシーンには基本的に不向きとされています。
特に友禅染めや可愛らしい柄の小紋は、街着・お出かけ着としては良くても、式典や記念写真の場にはカジュアルすぎる印象を与えてしまいます。
ただし、例外として「江戸小紋」は別扱いされることがあります。
江戸小紋は一見無地に見えるほど細かい柄が特徴で、紋を入れることで色無地と同格になるとされます。
加藤咲季さんも「紋付きの江戸小紋なら許容範囲」との述べており、色無地に近い選択肢として活用可能です。
まとめると、小紋は「カジュアルすぎてNG」ではなく、「柄の選び方・紋の有無によって格が変わる」という認識を持つことが大切です。
咲季さんは「格が曖昧なときほど、着姿の美しさ・小物使いで補うのが肝心」とも型っており、着物そのものだけでなく、全体のコーディネートで調和を目指すことが求められます。
色・柄・紋の選び方 ~親子・家族でバランスをとるコツ~

七五三の母親の着物選びで最も悩むのが「色や柄の選び方」ではないでしょうか。
自分らしい装いをしたい気持ちがある一方で、主役はあくまで子ども。
派手すぎても地味すぎても浮いてしまう。そんなジレンマに直面する方は少なくありません。
加藤咲季さんも、「写真映えする親子コーデには、色のトーンや重なり方に工夫が必要」と語っています。
ただ目立たないようにするのではなく、写真に映るバランスを意識することが大切です。
また、親子だけでなく、父親や祖父母との調和まで考えると、着物の色・柄・紋の選び方には「全体を整える視点」が求められます。
ここでは、色のバランスの取り方と、柄や紋の選び方のポイントを詳しく解説していきます。
淡色グラデーション vs 反対色アクセント、どちらを選ぶか?
親子コーデで王道とされるのが「淡色グラデーション」。
たとえば、子どもがピンク系の被布や振袖を着る場合、母親はベージュ・グレージュ・薄ラベンダーなどの柔らかな色を選ぶことで、視覚的な一体感が生まれます。
咲季さんの考え方でも、「母親がほんのり色味をのせる程度にすることで、子どもの華やかさが引き立つ」と語られており、淡色同士の重ね方には「光を反射させる工夫」が含まれています。
実際、屋外撮影では色が白飛びしやすいため、肌色との馴染みも考慮した選び方が重要になります。
一方で、あえて「反対色アクセント」を取り入れる方法もあります。
たとえば、子どもが赤系の衣装なら、母親が深緑や藍色などの補色を使うことで、写真に立体感が出るという利点があります。
ただしこの方法は色選びに慎重さが必要です。
咲季さんは、「補色を使う場合は、帯や小物で“なじませる”バランス感覚が求められる」と強調しており、全体のトーンが揃っているかを必ず鏡で確認することを勧めています。
最終的にどちらを選ぶかは、子どもの衣装・撮影場所・自分の肌映りとの兼ね合いになります。
共通するのは、母親が目立ちすぎず、かつ写真に収まりよく映る色調を意識するということです。
吉祥モチーフ・季節柄・紋の入れ方で失敗しない選び方
柄選びでは「吉祥文様」や「季節柄」が好まれる傾向にあります。
たとえば、鶴・松・桜・菊・熨斗などは慶事にふさわしく、どの世代にも安心して着用できます。
特に七五三という子どもの健やかな成長を祝う行事では、意味を持つ柄を選ぶことが装いのメッセージにもなります。
ただし、柄の配置には注意が必要です。
咲季さんは「母親の着物は、柄が控えめで腰より下に集まるデザインが美しく映える」と述べています。
写真においても、肩や胸元に柄が多いと主張が強く見えるため、訪問着を選ぶ際には裾寄りの絵羽柄を意識するのがベストです。
また、「紋の有無」も悩ましいポイントです。
格式を高めたい場合は一つ紋(背中心に一つ)を入れるのが一般的ですが、現在では紋なしで着用する人も増えており、レンタル着物でも紋付きが少ない傾向があります。
写真が目的であれば、視覚的なバランスを優先して構いません。
小物・帯・足元までのトータルコーデ術

着物の印象は、色柄の選び方だけでなく、小物や帯の合わせ方でも大きく変わります。
特に七五三のような行事では、写真に写ったときの完成度が求められるため、細部にまで配慮が必要です。
加藤咲季さんも、「帯や草履、バッグなどは、着物の延長線上ではなく“全体のコーディネートの要”として考えるべき」と語っています。
つまり、着物が決まった後で適当に揃えるのではなく、最初から全体のトーン設計に含めて考える必要があるということです。
ここでは、帯と足元・小物の具体的な合わせ方について解説していきます。
帯の格・素材・結び方の選択肢
母親の装いにおいて帯は、着姿を引き締め、格を決定づける重要なアイテムです。
訪問着や付け下げに合わせる帯として一般的なのは、「袋帯」や「名古屋帯(フォーマル用)」が挙げられます。
地紋が入った金銀系や、淡い色味に上品な織りのある帯が、七五三にふさわしいとされています。
加藤咲季さんは「格の高い着物には、それにふさわしい帯を合わせることで、全体が自然に整って見える」と話しています。
逆に言えば、格に差がある帯を使うと、着物が浮いたり、写真映えが損なわれたりする原因になります。
帯結びについては、一般的に「二重太鼓」が推奨されます。
派手すぎず上品、後ろ姿も美しく写真に収まりやすいという理由からです。
咲季さんも「撮影日や参拝では、崩れにくく安定感のある結び方を選んでほしい」とアドバイスしています。
特にお子さまの着付け・介助で動く場面が多いため、結びが崩れにくいことは大きなメリットです。
帯の色選びにおいては、着物と同系色でまとめると落ち着いた印象に、対照色で組み合わせるとメリハリのある装いになります。
いずれにせよ、主役の子どもの衣装とのバランスを意識して決めると良いでしょう。
草履・バッグ・帯揚げ・帯締めの色・素材合わせ方
小物類は見落とされがちですが、着物コーディネートを完成させるうえで非常に重要な役割を果たします。
加藤咲季さんも「小物こそ、着物初心者の方にとってコーデの鍵になる部分」と話しており、特に帯揚げ・帯締めの色合わせは、装い全体の調和に直結すると指摘しています。
帯揚げは、淡いピンクやグレー、生成りなどの「薄くて馴染む色」が使いやすく、フォーマルな場に向いています。
柄が入っている場合も、主張しすぎない程度のものを選ぶと安心です。
動画でも「ピンクやグレーの淡色帯揚げが最も着回しが利く」と紹介されており、特に淡グラデーションの着物に合いやすいとされています(※)。
帯締めは、少しアクセントをつけたい場合に選ばれるアイテムです。
金銀糸が織り込まれたものや、控えめな差し色になる色を選ぶことで、全体の雰囲気に華やかさが加わります。
注意点として、帯締めと帯揚げを「同じ色味でまとめすぎない」こと。
適度にコントラストをつけることで、立体感のあるコーディネートになります。
草履とバッグについては、セット商品を活用するのが安心です。
最近では、初心者向けにクッション性の高い草履や、履きやすい鼻緒が工夫されたものも出ています。
加藤さんは「草履は鼻緒が太めで柔らかいものを。バッグは小さすぎない実用的なサイズが便利」と語っています。
お子さまの荷物を持ったり、長時間移動したりする場面もあるため、見た目だけでなく実用性も意識しましょう。
※参考動画:帯揚げの使える色・使えない色
現場で使える準備と運用ノウハウ

七五三当日は、ただ着物を着るだけでは終わりません。
朝の支度から神社までの移動、撮影、家族との時間、そして帰宅まで、母親は常に動きながら子どもをサポートする役割を担います。
その中で「着崩れ」「疲労」「子どもとの兼ね合い」に悩む方は少なくありません。
着物の美しさを保つには、その場での振る舞いや事前準備が重要です。
ここでは、当日のスケジュールと着崩れ対策、さらに移動や子ども対応との両立方法について具体的に解説します。
着付けスケジュールと着崩れ対策
まず大切なのは、当日のスケジュール設計です。
お子さまの支度も含めると、朝はかなり慌ただしくなります。
理想的には、母親の着付けは子どもよりも後に行うことが望ましいですが、現実的には「先に着ておいて、最後に手直しする」という手順が多く取られます。
咲季さんは「着付け後は、最低限の動きにとどめるのが崩れ防止の基本」と語っています。
特に腰回りと襟元は、動作で緩みやすいため、気になる方は腰紐を1本予備で持参するか、簡易的な補正アイテム(タオルやクリップ)を携帯しておくと安心です。
背中の紐が見えてしまうトラブルには、動画内で紹介されている「腰紐を低い位置で結ぶ」「背中にタオルを差し込んで土台を作る」といった具体策が有効です(※)。
また、草履や帯の位置を頻繁に直す癖がある方は、鏡を使って確認するよりも、写真を撮って後で確認する方が効果的です。
撮影前の10秒確認が、美しい写真を残すコツになります。
※参考動画:背中の紐が見えてしまうときの対処法
移動中・撮影中のケア/子どもの対応との両立
移動時や撮影中は、どうしても動きが多くなり、着崩れや疲労のリスクが高まります。
特に子どもを抱きかかえたり、手を引いたりする場面では、袖や裾の扱いが難しくなりがちです。
加藤咲季さんは「お母さんの立ち姿・座り方が、写真の印象を大きく左右する」と述べており、動作一つひとつに気を配ることの大切さを説いています。
正座や立ち姿のポイントとして、「かかとを軽く内側に寄せる」「肩甲骨を下げて胸を張る」といった姿勢改善法が紹介されています。
これにより、猫背にならず、着物の襟元も崩れにくくなるのです。
また、外出時のバッグには「腰紐・クリップ・手ぬぐい」などの最低限のケア用品を入れておくことを推奨しています。
とくに手ぬぐいは、帯の中に忍ばせておけば、トイレ時にも使えて便利です。
子どもと一緒に動くことを前提にする場合、ポリエステルの化繊着物や、履き慣れた草履を選ぶのも一つの対策です。
咲季さんは「動きが多い日は高級着物を避け、洗える素材で気楽に過ごす」といった使い分けを実践しており、状況に応じた着物選びがストレスを軽減すると語っています。
父・祖父母との家族トーンを揃える戦略

七五三は親子だけでなく、家族全体で記念撮影をするケースが多くあります。
そのときに気になるのが、「家族の服装バランスがチグハグにならないか」という点です。
母子でうまくコーディネートできていても、父親がカジュアルすぎたり、祖父母の装いと色がぶつかったりすると、せっかくの写真もまとまりのない印象になってしまいます。
ここでは、父親・祖父母・兄姉との服装バランスをどう調整すればよいか、具体的なコツを見ていきましょう。
父親の服装(和装・洋装)とのコーデ調整法
父親の服装については、和装でも洋装でも構いませんが、「母親の着物との格のバランス」を意識することがポイントです。
たとえば、母親が訪問着で正式な装いをしているのに、父親がポロシャツやチノパンではバランスが取れません。
最低限、ジャケットやスーツを着用することでフォーマル感が出て、写真映えも格段に良くなります。
咲季さんは「和装にこだわらずとも、全体の空気感を揃えれば問題ない」とされており、ネクタイやシャツの色を母子の着物とリンクさせる工夫が紹介されています。
たとえば、子どもが赤系、母親が薄ピンク系の着物であれば、父親はベージュ系のネクタイを使うと、全体が柔らかい印象にまとまります。
また、足元も意外と目立つポイントです。
参拝先が砂利道や階段の多い神社である場合、黒や茶系の革靴で統一感を持たせると、足元だけ浮いてしまうことがありません。
服装全体を一度フルで着用して、鏡やスマホで撮影してチェックすることもおすすめです。
祖父母・兄姉との色調リンク/アクセントの置き方
祖父母や兄姉も一緒に撮影する場合は、着物・洋服問わず「色のトーンを合わせること」が最も簡単で効果的な方法です。
たとえば、家族全体を暖色系でまとめる、あるいはグレー・ベージュなどの中間色で統一すると、画面に統一感が出て美しく映えます。
加藤咲季さんは、「家族でリンクコーデを組むときは、誰か一人だけが“強い色”を持ち、その周囲を淡い色で包む構成にすると安定する」と説明しています。
つまり、主役である子どもが赤や紫などの華やかな色を着るなら、母親や祖母は淡色、父親や祖父は中間色や落ち着いたトーンを選ぶと、全体が自然にまとまるという考え方です。
また、祖父母が着物を着る場合は、落ち着いた色無地や色留袖などで格を合わせつつ、帯や羽織でほんの少し色を入れると華やかさが出ます。
洋装であっても、ネクタイやスカーフなどの小物で色を取り入れることで、写真全体に調和が生まれます。
兄姉がいる場合は、年齢や性別によって服装が変わってきますが、子ども同士の色が被らないようにすることがコツです。
男児であれば、弟が羽織袴なら兄はシンプルなスーツに。
女児であれば、姉妹で異なる色味を選んで差別化し、
どちらかを淡く、どちらかをやや濃い色にするなど、コントラストで役割を分けるとよいでしょう。
まとめ(要点&実践チェックリスト)
七五三という大切な節目の日に、母親としてどんな着物を選び、どう家族と調和させるか。
その答えは「子どもを引き立てる品格ある脇役でありながら、自分らしさも大切にする装い」にあります。
訪問着・付け下げ・色無地などのフォーマル着物を基本に、色や柄は子どもとのバランスを意識して選びます。
小物や帯、足元に至るまで丁寧に整えることで、写真に映る姿は一段と美しくなります。
そして何より、当日の準備と振る舞いが、着姿の完成度を大きく左右します。
最後に、七五三当日のための実践チェックリストをまとめます。
七五三着物コーデチェックリスト
- 着物は「訪問着/付け下げ/色無地/江戸小紋(紋付き)」のいずれか
- 色は子どもの衣装とトーンを合わせる(淡色or補色)
- 柄は腰下中心、吉祥文様や季節感のある控えめなデザイン
- 帯は格を合わせた二重太鼓、帯揚げ・帯締めは落ち着いた差し色
- 草履とバッグは実用性と色調で選ぶ
- 当日の準備は「予備腰紐・クリップ・手ぬぐい」を持参
- 家族全体のトーンを確認(父・祖父母とのバランス)
- 写真を撮る前に全身をスマホで確認して微調整
着物の知識がまだ浅くても、この流れを押さえておけば、安心して七五三の当日を迎えられるはずです。
子どもの成長を祝う一日を、美しい家族の装いとともに心から楽しんでください。
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。
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