袷(あわせ)の春秋で着るメリット・デメリット完全ガイド|行事・写真・快適さで失敗しない選び方

「袷の着物って春や秋に着ても大丈夫なの?」

「入学式や七五三の時期、袷は暑すぎたり寒すぎたりしないかな?」

「見た目は格があって素敵だけど、実際に動くとどうなんだろう?」

こんな疑問を感じていませんか。

春秋に袷を着るとき、多くの方が知りたいのは次の3点です。

  • 袷のメリットとデメリットを、春と秋それぞれで比較したい
  • 入学式・卒業式・七五三など、行事に合うかどうかを知りたい
  • 暑さ寒さの調整や、快適に着るための工夫を知りたい

この記事では、袷を春秋に着る際のメリット・デメリットを整理し、TPOや気温の変化に応じた選び方を解説します。

写真映えや重厚感を大切にしながらも、快適さを保つ工夫まで具体的に紹介するので、失敗せずに袷を楽しむヒントが得られます。

袷とは何か?春秋に着る袷の基本

袷(あわせ)は裏地のついた着物のことを指し、最も一般的な仕立てです。

春と秋に多く選ばれるのは、寒さ対策とフォーマル性を両立できるからです。

表地と裏地が重なることで生地がしっかりし、見た目にも重厚感や格を感じさせます。

入学式や七五三などの行事シーズンに袷がよく着られるのも、こうした背景があります。

ただし暦通りに着るだけでなく、気温や会場環境に応じて調整することが大切です。

袷の仕立て構造――裏地・八掛・裾回しなどの役割

袷の特徴は、表地に加えて裏地(胴裏や八掛)を縫い合わせる仕立てです。

胴裏は着物の内側全体を覆い、着心地や保温性を左右します。

八掛は裾に付けられる裏地で、歩くときにちらりと見えるため色選びが重要です。

また裾回しは生地の補強と装飾を兼ねており、袷ならではの華やかさを演出します。

裏地があることで温かさや重厚感が増す一方、気温が高い時期には暑さを感じやすい点も理解しておきましょう。

暦と実際の気候――いつからいつまで「春」「秋」とみなすか

従来は暦の上で、袷は10月から5月までが目安とされてきました。

しかし現代では温暖化の影響で季節感がずれることが多く、暦通りにすると暑さや寒さで快適に過ごせない場面もあります。

春は4月でも汗ばむ日があり、秋も10月に残暑が続く年があります。

そのため実際には「気温20℃前後を境に袷を選ぶかどうか判断する」方が現実的です。

室内行事や写真撮影を控える場合は見た目の格を優先し、屋外や移動が多い場合は体感を基準に調整することが勧められます。

春に袷を着るメリットと注意点

春は卒業式や入学式、七五三の前撮りなど、格式のある行事が多い季節です。

そのため、格調のある袷を選ぶ方が多く見られます。

裏地があることで暖かさを確保でき、肌寒い日にも安心です。

また、袷は見た目に重厚感があり、写真撮影でも落ち着いた雰囲気に仕上がります。

ただし、春は寒暖差が激しく、気温が高い日は汗ばむこともあります。

快適さと見た目の両立を意識した調整が必要です。

春に袷を選ぶメリット ― 暖かさ・重厚感・写真での映え

春は朝晩が冷える日が多く、袷なら保温性があるため快適に過ごせます。

裏地によって体温が逃げにくく、長時間の式典でも寒さを感じにくいのが大きな利点です。

さらに袷はフォーマル度が高いため、卒業式や入学式など公的な場面にふさわしく、立ち姿や着席時のシルエットも整いやすくなります。

写真撮影でも布地の重なりによる陰影が生まれ、落ち着きのある上品な印象を与えてくれます。

特に記念撮影では「格のある一枚」として安心感があります。

春の袷で気をつけるデメリット ― 気温上昇・汗・重さ・動きやすさ

春は日中の気温が急に上がることがあり、裏地付きの袷は蒸し暑く感じることがあります。

特に体育館やホールなど空調が効きにくい会場では、汗で着崩れしやすくなるのが難点です。

また、袷は単衣に比べて布地が二重のため重さがあり、移動や長時間の着用では疲れやすい傾向があります。

汗対策としては、吸湿性の高い肌着や長襦袢を選ぶことが効果的です。

さらに、帯まわりや裾に余分な湿気がこもらないよう、着付け時にタオル補正を控えめにするなどの工夫が必要です。

秋に袷を着るメリットと注意点

秋は七五三や結婚式など、華やかな行事が多い時期です。

夏を過ぎて空気が乾き、落ち着いた色合いや厚みのある袷が映える季節でもあります。

袷は冷え込みが強まる朝晩に心強く、また布地の重なりが季節感と調和し、見た目にも品格を与えます。

ただし昼夜の寒暖差が大きいため、着心地を左右する調整が欠かせません。

特に日中に移動が多い場合は、袷の暖かさが負担になることもあります。

秋に袷を着るメリット ― 季節感・重ねのコントラスト・冷え対策

秋は袷の魅力が最も生きる季節といえます。

裏地による重厚感が季節の雰囲気と一致し、落ち着いた色柄との組み合わせで大人らしい印象を作れます。

また、八掛の色が裾からのぞくと、歩くたびに美しいコントラストが生まれます。

朝晩の冷えにも対応できるため、外での移動や神社での参拝でも安心です。

さらに秋は湿気が少ないため、袷特有の布の厚みが心地よく感じられることも多く、式典や会食の場で自信を持って過ごせます。

秋の袷のデメリット ― 昼と夜の寒暖差・湿度/雨・持ち歩きの荷物

一方で秋の袷は、日中の気温が高い日には暑さを感じやすいのが難点です。

特に9月下旬から10月初旬は残暑が続くことも多く、裏地がある袷では蒸し暑さに悩まされます。

また秋は天候が変わりやすく、雨の日は裾に湿気や泥はねがつきやすいため注意が必要です。

予備の裾よけや雨草履を持参すると安心です。

さらに、外出先で脱ぎ着ができないため、体感温度を調整できる小物やストールを用意しておくと快適さを保てます。

袷を秋に着る際は「行事にふさわしい格」と「快適さ」のバランスを意識しましょう。

具体的な行事・TPOでの選び方 ― 春秋の袷の使い分け

春秋は入学式や卒業式、七五三、結婚式など格式のある行事が集中する時期です。

袷はフォーマル性が高いため、こうした場にふさわしい着物として選ばれます。

ただし会場の環境や移動の多さによっては、快適性に差が出ることもあります。

ここでは場面ごとに適した袷の選び方を整理し、安心して着こなすための視点を解説します。

行事・セレモニー時の袷の選び方 ― 格のある着物・帯・色柄選び

入学式や卒業式では、落ち着いた色合いの袷が最も安心です。

たとえば淡い色の訪問着や色無地に袷仕立てを選ぶと、上品さと重厚感を両立できます。

帯は袋帯や格のある名古屋帯を合わせることで、式典にふさわしい装いになります。

また、七五三や結婚式参列では華やかさが求められるため、友人の立場なら明るめの訪問着、親族としての立場なら控えめで格のある柄を選ぶのが安心です。

袷は裏地があるため立ち姿が整いやすく、写真にもきれいに映えるという利点もあります。

普段使いや撮影を含む「見られる時間」が長い日の袷の工夫 ― 快適さ・動きやすさ・写真写り

普段のお出かけや長時間の撮影では、袷の重さや暑さが気になることもあります。

そのため快適に着る工夫が欠かせません。

たとえば、長襦袢を薄手にする、補正を控えめにするなどで体温を調整できます。

さらに、インナーに吸湿性の高い素材を選べば汗対策にもなります。

見た目の面では、袷は布の厚みがある分、シルエットが整いやすく写真写りが良いのが魅力です。

動きやすさを意識するなら、帯結びをコンパクトに仕上げたり、裾さばきの良い草履を選ぶこともポイントです。

「格」と「快適さ」を両立することで、長時間でも自信を持って過ごせます。

快適性を上げるコツ・調整方法

袷は重厚感や格の高さが魅力ですが、気温や湿度によっては暑さや重さを感じやすい仕立てでもあります。

春秋に安心して着るためには、インナーや小物を活用した体温調整が欠かせません。

ここでは着心地を改善する工夫を具体的に紹介します。

インナー・長襦袢・素材選びで体温調整する方法

袷を快適に着る第一歩は、直接肌に触れるインナーの選び方です。

汗を吸いやすい綿素材や、通気性の良い和装用下着を選ぶと蒸れを防げます。

春の暖かい日や秋の残暑には、長襦袢を絽や麻などの薄手素材に替えると、見た目の格を保ちながら涼しさを確保できます。

逆に冷え込みが強い日は、あえて厚めの襦袢やウール素材を合わせると安心です。

小物一つで体感温度が変わるため、季節や天候に合わせて組み合わせを工夫するのが効果的です。

重さ・着崩れ対策・持ち運び・屋外・屋内での風の通し方

袷は裏地がある分、単衣に比べて重く着崩れしやすい傾向があります。

補正用のタオルを必要以上に入れないことで重さを軽減し、帯や腰紐を適度に締めることで動きやすさを保てます。

屋内外での温度差に備えて、羽織やショールを持参すると調整が容易です。

特に移動が多い日は、軽量な草履やバッグを選び全体の負担を減らすのも有効です。

また、着付けの際に裾まわりや衿元に適度な空間を作ると風が通り、熱のこもりを和らげられます。

こうした小さな工夫の積み重ねが、袷を快適に楽しむ秘訣になります。

まとめ

袷は春と秋にふさわしい着物として、行事から日常のお出かけまで幅広く活躍します。

裏地があることで暖かさや重厚感を備え、写真映えや格式を求められる場面で安心して選べます。

一方で、気温の上昇や長時間の移動では暑さや重さを感じやすいため、インナーや長襦袢の素材選び、補正や小物による調整が欠かせません。

春には式典や撮影での格を優先しつつ、汗対策を取り入れること。秋には季節感を楽しみながらも寒暖差に備えること。

この二つを意識すれば、袷の魅力を存分に生かしながら快適に過ごせます。

行事の場では品格を、日常では快適さを、それぞれバランスよく取り入れることが、春秋に袷を着る最大のポイントです。

加藤咲季
監修:加藤咲季
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。

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