「羽織の袖丈って、どれが正解なの?裄や身丈とどう違うの?」
羽織を選ぶとき、商品ページに並ぶ「裄」「袖丈」「羽織丈(身丈)」の数字を前に、どこを基準にすればいいのか迷っていませんか?
プレタ(既製品)や中古、仕立てを検討中でも、限られた情報の中で自分に合う羽織を選ぶのは意外と難しいものです。
この記事では、以下のようなお悩みにお答えします。
- 裄・袖丈・羽織丈、それぞれの寸法はどう違うのか?
- 「標準袖丈49cm前後」と言われる理由と自分に合うかどうか
- 商品ページで確認すべきポイントと優先すべき寸法は何か?
最初に覚えておきたいのは、「裄」「袖丈」「羽織丈」は見た目だけでなく動きやすさにも影響するということ。
ほんの数センチの違いで、印象が大きく変わります。
特に羽織は着物とのバランスが重要です。
この記事では、数字を読むだけで迷わず選べるように、寸法の基本から優先順位、着物とのバランス、選び方の実例まで丁寧に解説します。
それでは、まずは羽織に登場する「裄・袖丈・羽織丈」の意味から確認していきましょう。
Contents
羽織のサイズ選びはここから始める

羽織のサイズを選ぶうえで最初に知っておきたいのが、表示される各寸法の「意味」と「見た目への影響」です。
特に「裄」「袖丈」「羽織丈(身丈)」は、着姿の印象を大きく左右します。
それぞれの寸法は独立しているように見えて、実は連動してバランスを取っているものです。
サイズ表を見たときに、ただ数字の大小を見るだけでは十分とは言えません。
着物と同様、羽織も「どこから測っているのか」「どこに着地するのが理想か」を知っておくことで、数字の意味がクリアになります。
まずは、裄・袖丈・羽織丈、それぞれの定義と違いから整理していきましょう。
裄(ゆき)・袖丈・身丈(羽織丈)の基本と違い
羽織に限らず、和装の寸法を理解するには「どこからどこまでを測るのか」を正しく知ることが大切です。
ここでは裄・袖丈・身丈(羽織丈)の3つについて、具体的に説明します。
裄(ゆき)は「背中心(うなじの下あたり)から肩を通り、手首のくるぶしあたりまでの長さ」です。
腕の長さに合わせて設定されるため、体格差が最も出やすい寸法です。
裄が短いと手首が見えすぎてしまい、見た目のバランスを損ないます。
袖丈は「袖の上下の長さ」、つまり腕を通す部分の縦の長さを指します。
羽織では一般的に、着物よりも短めに作られていることが多く、特にプレタや既製品では「49cm前後(約1尺3寸)」が標準とされています。
この袖丈の長さが、着物の袖との重なり方に影響します。
身丈(羽織丈)は、背中心のうなじ下から羽織の裾までの長さです。
羽織のスタイルによって適切な長さは異なりますが、ヒップが隠れる程度の長さが一般的です。
長すぎると動きにくくなり、短すぎるとカジュアルすぎる印象になります。
数字を見るときの注意点
羽織のサイズ表や商品ページに記載された寸法を見ても、「実際に羽織ったときどうなるか」がイメージしにくいという声は少なくありません。
その理由の一つが、寸法の表記方法と採寸基準の違いです。
まず注意したいのが、「プレタ(既製品)」と「仕立て済み・中古品」で寸法の意味が異なる場合があることです。
プレタは、メーカーが平均的な体型を想定してサイズ設計しており、商品ページには「対応身長◯cm〜◯cm」といった目安が記載されていることが多くあります。
一方で、中古品や仕立て品は一点ものが多く、実際の採寸値がそのまま記載されているため、体型との照らし合わせが欠かせません。
また、同じ商品でも「cm」と「寸(尺貫法)」が混在することがあります。
たとえば「袖丈49cm」は「1尺3寸」に相当しますが、数値だけを見て混乱しないよう、単位が何であるかをしっかり確認する必要があります。
特に中古市場や呉服店では「尺」で表記されるケースが多いため、換算の目安を覚えておくと安心です。
さらに、寸法は「縫い代」や「肩幅とのバランス」によっても印象が変わります。
たとえば裄が同じでも、肩幅が広い人と狭い人では袖の出方が異なり、実際の見た目には差が出ます。
したがって、単なる数値の比較だけでなく、自分の体型や持っている着物のサイズと照らし合わせて考えることが重要です。
数字だけで失敗させない「優先順位」

羽織を選ぶとき、すべての寸法が完璧に合うというのはまれです。
特にプレタや中古の既製品では、自分の体型にぴったりの羽織を探すのは簡単ではありません。
そのため、どの寸法を優先するかを決めておくことで、迷いを減らし、失敗のリスクを最小限に抑えることができます。
着物と異なり、羽織は「重ねて着るもの」だからこそ、袖が出すぎたり、短すぎたりすると非常に目立ちます。
逆に裄や袖丈が少々違っていても、着こなし方によってある程度カバーできることもあります。
この章では、最も優先すべき寸法、迷ったときの考え方について解説します。
裄を最優先に考える理由
羽織選びで最も重視すべき寸法は「裄」です。
裄が短すぎると、腕を動かしたときに下の着物の袖がはみ出し、だらしない印象を与えてしまいます。
逆に長すぎると手元が隠れすぎて、着姿が重く見えたり、不自然になったりします。
裄は「肩幅」と「袖の長さ(袖幅)」の合計で構成されており、体格によって最も個人差が出やすい部分でもあります。
たとえば同じ裄でも、肩幅が広い人は袖が短くなり、肩幅が狭い人は袖が長く感じられます。
これにより、同じ数値でも着用者によって印象が変わってしまうのです。
また、裄の合わない羽織は動きにくくなることもあります。
羽織は脱ぎ着の多いアイテムであり、手を通す・抜く動作のたびに引っかかりを感じるようではストレスになります。
したがって、見た目だけでなく着心地の観点からも、裄を最優先に考えるべきです。
加藤咲季さんの動画でも、短い裄を補う方法として「襟合わせを少しずらす」「半襟を多めに見せる」などの調整方法が紹介されています(※)。
着付けである程度調整できるとはいえ、羽織の場合は裄が足りないと袖口が目立つため、裄だけは極力合ったものを選ぶことが理想です。
※参考動画:着方だけで裄を長くする方法
袖丈はなぜ“標準49cm前後”と言われるのか
羽織の袖丈には、「49cm前後」または「1尺3寸程度」が標準とされることが多くあります。
これは、現代女性の平均的な着物寸法に合わせたバランスを考慮したもので、プレタや中古品の多くがこのサイズに設計されています。
なぜこの長さが好まれるかというと、着物の袖丈との「重なり」のバランスが取りやすいためです。
羽織は着物の上に重ねて着るため、羽織の袖が着物より長いと見た目に違和感が出てしまいます。
逆に、短すぎると着物の袖がはみ出しすぎてしまい、だらしなく見えてしまいます。
また、袖丈が短めのほうが、羽織紐を結んだときに腕の動きがスムーズになります。
袖が長いと腕を動かすたびに羽織がもたつき、日常動作に影響を与えることがあります。
そうした実用性も含めて、49cm前後が「ちょうどいい」とされる理由です。
着物の袖丈が1尺3寸(約49cm)であることが多いことも、この基準を支えています。
つまり、標準的な着物と羽織を合わせたときに、羽織の袖丈が同じか少し短い程度が最も自然に見えるということです。
加藤咲季さんの動画内では、「羽織の袖丈が短めでも不自然ではなく、動きやすさを優先しても問題ない」と述べられています(※)。
日常着やカジュアルな場面では、標準袖丈が無理なく使えます。
※参考動画:羽織のスマートな脱ぎ方とたたみ方
羽織と着物のバランス完全ガイド

羽織は単体で着るものではなく、あくまでも着物に重ねて着る上着です。
そのため、下に着ている着物とのサイズバランスが整っていないと、どんなに素敵な羽織でも着姿がちぐはぐな印象になってしまいます。
特に「袖丈」や「裄」は、着物との差が見た目にはっきり現れやすい部分です。
羽織は着物の上に重なるものなので、わずかな寸法の違いが目につきやすく、だらしない印象になったり、逆に不自然に見えたりすることがあります。
ここでは、羽織の袖丈と着物の袖丈の関係、そして裄や羽織丈とのバランスについて、具体的に見ていきましょう。
羽織の袖丈と着物の袖丈の関係
羽織の袖丈は、着物の袖丈よりもやや短めに作るのが基本とされています。
これは、羽織の袖から着物の袖がほんの少し見えることで、奥行きのある美しい重なりが生まれるためです。
特にカジュアルな場面では、袖口から着物の柄がちらりと覗くことで、軽やかさや季節感を演出できます。
ただし、この「見せる量」が多すぎると注意が必要です。
羽織の袖丈が短すぎると、着物の袖がはみ出しているように見えてしまい、着崩れのような印象になることがあります。
そのため、羽織の袖丈は、着物よりも1〜2cm程度短いか、同じ長さに揃えるのが目安です。
加藤咲季さんの動画でも、羽織の袖が長すぎたり短すぎたりすることで、脱ぎ着がしづらくなったり、着物の袖がもたついてしまう場面があると指摘されています(※)。
適切な袖丈であれば、動きやすく、見た目もすっきり整います。
また、袖の振り(脇の開き)の部分が着物と羽織で合っていないと、見た目の違和感がさらに強くなります。
特に中古やプレタ品を選ぶ際には、着物の袖丈と合わせたサイズかどうかを確認するようにしましょう。
※参考動画:羽織のスマートな脱ぎ方とたたみ方
裄と身丈のバランスを実例で
裄と羽織丈(身丈)のバランスも、着姿の印象を左右する重要なポイントです。
羽織の裄は、着物と同じか、ほんの少し長めの設定が理想とされています。
これは、羽織を羽織ったときに着物の袖がきちんと収まり、袖先や振り口からのはみ出しを防ぐためです。
たとえば、身長160cm・標準体型の方で、着物の裄が66cm前後の場合、羽織の裄は67〜68cm程度がちょうど良い目安になります。
袖丈が49cmで着物と同じ、またはやや短めであれば、袖の重なりも自然になります。
裄が短すぎる羽織は、着物の袖口から腕が出てしまい、実用性・見た目ともにバランスを欠くことになります。
身丈(羽織丈)は、ヒップが隠れる程度の長さが基本です。
たとえば、150cm台の方で羽織丈が80cm以上あると、膝あたりまでかかってしまい、重たい印象になります。
逆に短すぎるとフォーマル感が失われ、全体にまとまりのない印象になります。
加藤咲季さんは、羽織を着た状態で「裄」「袖丈」「丈」のバランスが整っていれば、シンプルなスタイルでも洗練された着姿になるとしています。
また、羽織丈は長すぎると動作がしづらくなるため、日常使いではあまり長くしすぎない方が良いとも説明されています(※)。
自分の着物寸法が分かっていれば、それに合わせた羽織の裄と羽織丈を意識するだけで、着姿全体のバランスが自然と整います。
数字の意味を理解しながら、自分にとっての「ちょうどよさ」を見つけていきましょう。
※参考動画:羽織のスマートな脱ぎ方とたたみ方
プレタ/中古/仕立て別の選び方

羽織を選ぶ場面は人それぞれです。
プレタの新品を購入する人もいれば、中古の一点物を探す人、あるいは自分の寸法に合わせて仕立てたいと考える人もいます。
どの方法を選ぶにしても、見るべき数字や注意点には違いがあります。
この章では、購入形態ごとにどんなポイントを優先すべきかを整理し、自分に合った羽織を失敗なく選べるように解説します。
プレタ羽織のサイズ表の読み方
プレタ羽織とは、あらかじめ決まったサイズで量産された既製品のことです。
メーカーやブランドによって多少の違いはあるものの、一般的には「S・M・L・LL」などのサイズ表記、または対応身長をもとに分類されています。
たとえば、あるブランドでは「Mサイズ=裄67cm・袖丈49cm・羽織丈83cm」といった表記がされていることがあります。
この場合、「裄67cm」は着物の裄が66cm前後の人、「羽織丈83cm」は身長155〜160cm台の人にちょうど良い長さと想定されています。
サイズ表には必ず「対応身長」や「ヌード寸法」が記載されていますが、自分の着物寸法と照らし合わせて判断することが大切です。
特に注意したいのが「裄」の長さです。
プレタでは大きめに作られていることも多いため、裄が短めの人は肩線がずれて不格好になりやすい傾向があります。
加藤咲季さんの教えでも、「既製品は裄がやや長めの設計になっていることが多く、自分の着物とのバランスを見て購入するのがポイント」と解説されています(※)。
また、袖丈や羽織丈は多少の誤差があっても着こなしでカバーしやすいです。
裄が合っているかどうかを優先して確認するのがプレタ羽織の選び方の基本です。
※参考動画:着方だけで裄を長くする方法
中古羽織で注意したい数字
中古の羽織は一点ものが多く、プレタ品とは異なり「実寸」のみが表記されている場合がほとんどです。
裄・袖丈・羽織丈がそのまま採寸された数値として提示されているため、購入前に自分の着物の寸法としっかり照らし合わせて確認する必要があります。
特に注意すべきは、裄と袖丈のバランスです。
中古品では、昔の仕立て基準に基づいて作られていることが多く、現代の平均サイズよりも全体的に小さめな傾向があります。
たとえば、裄が63cmや袖丈が47cmといった寸法の羽織も多く見られ、標準体型の方にはやや短く感じられる可能性があります。
また、中古品の場合「肩当て」や「袖丸みの角度」など、仕立ての細部によっても着姿の印象が変わります。
採寸方法が統一されていないショップもあるため、可能であれば「どこからどこまでを測った数値か」を確認するのがおすすめです。
加藤咲季さんは、「裄や袖丈が短い場合は、着方や襟合わせを工夫して違和感を減らすことはできるが、羽織は外に出るアイテムなので、数字の誤差が大きいと目立ちやすい」としています(※)。
そのため、中古羽織を選ぶ際は「着物より袖丈が少し短く、裄は着物と同じか少し長め」を基準にすると、バランスが取りやすくなります。
実寸と自分の感覚をすり合わせながら、写真だけで判断せず、可能であれば実物確認や返品可のショップを選ぶと安心です。
※参考動画:着方だけで裄を長くする方法
まとめ
羽織のサイズ選びで迷ったときは、「どの数字が自分にとって重要か」を整理してから判断するのが確実です。
すべての寸法が完璧に合う羽織を探すのは難しいからこそ、優先順位を明確にしておくことが大切です。
まず、最も重視すべきは裄です。裄が短いと着物の袖がはみ出してしまい、着崩れのような印象になります。
羽織の裄は着物と同じか、1〜2cm長めを目安に選びましょう。
次に袖丈。
羽織の袖丈は着物よりも少し短めにするのが基本で、標準は49cm前後。
袖から着物の柄がほんのり見えるくらいが、動きやすさと美しさを両立できるバランスです。
羽織丈(身丈)は、ヒップが隠れる程度を基準にしつつ、身長や体型に応じて調整を。
長すぎると重たい印象に、短すぎるとカジュアルすぎる印象になります。
加藤咲季さんの動画では、着方である程度の調整が可能なことも紹介されていますが、それでも羽織は外見に直結するアイテムです。
だからこそ、数字の意味を理解し、用途や着物との相性をふまえて選ぶことが重要です。
プレタなら裄を、仕立てなら全体のバランスを、中古なら実寸との照らし合わせを重視しましょう。
寸法を味方につければ、羽織選びはもっとスムーズに、失敗も少なくなります。
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。
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