「帯締め、ちょっとアレンジしたいけど、やりすぎたくない…」
そんなふうに感じたことはありませんか?
普段のコーディネートにちょっとした“遊び”を入れたい。
でも、「可愛すぎる」や「派手すぎる」印象にはしたくない。
そんな微妙なバランスに悩むこと、着物好きの方なら一度はあるはずです。
この記事では、帯締めの変わり結び・飾り結びについて、次のような方に向けて丁寧に解説していきます。
- 街歩きや観劇で、ほんの少しだけ華やぎを加えたい
- 帯留・三分紐の扱いには慣れてきたが、帯締めアレンジは未経験
- 基本を踏まえた上で、崩れにくく美しい変わり結びを身に付けたい
帯締めの役割や種類、そしてアレンジのコツやコーディネート例まで、実践テクニックを中心に網羅的に解説します。
さらに、見落としがちな「結びのボリューム感」や「シーンに応じた華やかさの調整」といった点にも目を向けました。
読み終えるころには、「自分らしい可愛さを表現できる帯締めアレンジ」が、きっと自然に身についているはずです。
帯締めの基本を押さえる:結び方選びと準備について

帯締めは、着物スタイルにおける実用性と装飾性を両立する大切な小物です。
帯が崩れないよう支える役割を持ちながら、装い全体の印象を決定づけるアクセントにもなります。
そんな帯締めを美しく、そして心地よく扱うためには、まず基本となる結び方や準備の整え方をしっかり理解しておくことが不可欠です。
変わり結びや飾り結びに挑戦する前に、まずは帯締めそのものの構造や種類、そして「本結び」をきちんと身につけておきましょう。
そうすることで、どんなアレンジでも崩れにくく、美しいシルエットが生まれます。
帯締めの役割と種類を知ろう
帯締めには、「帯をしっかり固定する」という実用面と、「全体の装いを引き締め、個性を演出する」という装飾面の2つの目的があります。
素材や組み方によって多彩な表情を見せる帯締めは、TPOやコーディネートに応じて適切に使い分けることが大切です。
主な種類には以下のようなものがあります。
- 丸組(まるぐみ):断面が丸く、しなやかで結びやすい。フォーマルにも使える万能型。
- 平組(ひらぐみ):断面が平たく、存在感がある。主にカジュアルな場面で活躍。
- 冠組(ゆるぎぐみ):密に組まれており、崩れにくく高級感がある。フォーマル向き。
- 洒落組(しゃれぐみ):複数の色糸を組み合わせたデザイン性の高いもの。観劇や街歩きにぴったり。
また、帯締めの幅や硬さも選ぶポイントになります。
飾り結びでは、やや張りのある帯締めを使うことで、形がきれいに保たれやすくなります。
本結び(こま結び)を確実にマスターする理由
変わり結びを美しく仕上げるためには、まず「本結び(こま結び)」を確実に習得することが必須です。
基本を怠ると、どれだけ見た目を工夫しても、時間が経つごとに崩れてしまいます。
加藤咲季さんの動画【帯締めのゆるまない結び方】でも、本結びをきちんと締めることで“ほどけにくく、形が崩れにくい”ことが強調されています。
ポイントは以下の3点です。
- 帯締めを左右同じ長さで持ち、バランスよく引く
- 交差させたあと、しっかりと「上→下→引く」の順で締める
- 締めた後に、帯の下で再度全体を整えて固定する
これらを押さえることで、変わり結びのアレンジが格段にしやすくなり、また「緩まない安心感」も得られます。
可愛いけどやりすぎない”変わり結び・飾り結びの選び方と実践

帯締めをほんの少しアレンジするだけで、全体の印象はぐっと洗練され、着姿に遊び心が加わります。
ただし、観劇や街歩きなどカジュアルシーンにおいては、「可愛いけれど上品」「華やかだけど落ち着きがある」ことが求められるため、アレンジのバランス感覚が重要です。
変わり結びにはさまざまな種類がありますが、大人の女性におすすめなのは、リボンや花を思わせる“ほどよい華やぎ”を演出できるアレンジです。
加藤咲季さんの動画でも、街着にふさわしい飾り結びとして実践例が複数紹介されており、そのなかでも自然に取り入れやすいものを中心に紹介していきます。
リボン結び・玉結び:コーデに“さりげない可愛さ”を加える
最も取り入れやすく、初心者でも挑戦しやすいのが「リボン結び」と「玉結び」です。
いずれも基本の本結びからの応用となるため、難易度はそれほど高くありません。
リボン結びは、帯締めを蝶結びのように整える結び方で、可憐な印象を演出します。
ただし、結び目の位置や大きさによっては“甘くなりすぎる”こともあるため、あえて小さめに結び、端の長さも整えておくことでバランスが取れます。
一方、玉結びは端を玉状に結ぶことで動きを出しながらも、シンプルな可愛らしさを表現できます。
飾りが多すぎると感じる方には、片側だけ玉にするアレンジもおすすめです。
この2種の結びは、動画【帯締めのゆるまない結び方】でも紹介されています。
結び方だけでなく、結んだ後の「整え方」や「締め直しのコツ」まで丁寧に解説されており、アレンジ初心者にとっても参考になる内容です。
四つ葉結び・ハート結び・花結び:印象的だけれど大人に似合うアレンジ
少し手の込んだ変わり結びに挑戦したい方には、「四つ葉結び」や「ハート結び」「花結び」といったアレンジもおすすめです。
これらは、帯締めを部分的に折り返し、輪やふくらみを作る技法で仕上げます。
四つ葉結びは、帯締めを十字に交差させて結ぶもので、まるで四つ葉のクローバーのような上品な華やかさを持ちます。
均整の取れた形を作るには、結び目の中心を意識して左右のバランスを丁寧に調整することがポイントです。
ハート結びは、輪の形をやや縦長に取り、左右にふくらみを持たせることでハートのようなシルエットを作ります。
甘すぎる印象を避けたいときは、細めの帯締めで控えめに仕上げるのがコツです。
花結びは、中心に複数の輪を寄せて“花”のようなふんわりとした印象を作ります。
帯揚げの色との組み合わせで、より季節感や個性が際立つため、イベントや写真撮影時にも映える結び方です。
結びの際のボリューム・位置・長さの調整で“ほど良く見せる”コツ
飾り結びを美しく見せるためには、結び方そのものよりも“見え方の調整”が重要になります。
まずボリュームについて。帯締めの結び目が大きすぎると、目線が集中しすぎてしまいコーディネート全体のバランスが崩れます。
逆に小さすぎると存在感が薄くなり、せっかくのアレンジが活かされません。
中指と親指で作れる範囲の輪を目安にすると、自然なサイズに仕上がります。
結び目の「位置」も意識しましょう。帯の中央からやや右寄りに持ってくることで、左右非対称の“粋”な雰囲気が生まれます。
この位置は、動作をした際に結びがずれにくいというメリットもあります。
最後に「端の長さ」。結び終えた帯締めの端は、左右揃えて下に自然に垂れるように整えましょう。
左右で5cm以上差があると、だらしない印象になるため、結ぶ前にあらかじめ中心を確認しておくことが大切です。
シーン別アレンジ&崩れにくい仕上げのコツ

着物でのお出かけは、場の雰囲気に合わせた装いがとても重要です。
帯締めの変わり結びも、ただ凝った結びをするのではなく、TPOに応じて華やかさや主張の度合いを調整することが求められます。
加藤咲季さんの動画では、実際に「観劇」「街歩き」「食事」といったカジュアルな外出シーンを想定しながら、結びの工夫やポイントが紹介されています。
ここでは、具体的なシーン別のアレンジ例と、崩れを防ぐテクニック、そして仕上げのひと工夫までを詳しく解説します。
観劇・食事・街歩きにぴったりな帯締め結びの工夫
観劇では、座っている時間が長くなるため、帯締めが体に食い込んだり、帯がズレたりすることがあります。
そこでおすすめなのが「玉結び」や「片リボン結び」といった、小さめで凹凸の少ない結び方です。
帯に余計な圧力がかからず、長時間座っていても快適です。
食事の席では、あまり前にボリュームのある結びがあると、テーブルや食器に触れてしまうことがあります。
このような場では、帯締めの結び目を帯の中心より少し上に位置させたり、結びの高さを抑えておくと安心です。
街歩きでは、程よい可愛らしさが好印象を与えます。
リボン結びや小さな花結びは、街並みに溶け込みながらも上品な華やかさを演出でき、写真映えもします。
動きのある場面が多いため、しっかりと締めた上で、形をキープしやすい素材の帯締めを選びましょう。
帯締めをしっかり固定する仕組み&失敗を防ぐポイント
帯締めが緩んだり、崩れたりする原因は主に「締めが甘い」「素材が柔らかすぎる」「摩擦が少ない」などが挙げられます。
加藤咲季さんは動画【帯締めのゆるまない結び方】の中で、「こま結びの手順を丁寧に行う」「左右均等に力をかける」「結んだ後は下で固定し直す」という3つのポイントを伝えています。
さらに補強策としておすすめなのが、「伊達締めの上からしっかり帯を乗せること」「帯揚げとの接点で重なりを意識すること」です。
こうすることで、帯締めの結びが浮いてしまうのを防ぐ効果があります。
素材選びもポイントです。滑りやすい帯締めは見た目は美しくても結びが緩みやすいため、初心者にはやや摩擦のある丸組や組み目の粗い平組の方が扱いやすいでしょう。
結び終わったあとのアレンジ小物・色合わせのヒント
帯締めを変わり結びにしたあと、小物とのコーディネートで一層おしゃれが引き立ちます。
加藤咲季さんのコーディネートでも、淡い帯締めには濃い色の帯留を、華やかな帯締めには小さめの帯留を合わせるといった「バランスの妙」が随所に見られます。
たとえば、リボン結びのときには、中心に小さな帯留を加えるだけで視線を集めるポイントが生まれます。
また、季節に応じた色味(春はラベンダー、秋は深緑など)を帯締めや帯揚げとリンクさせることで、全体に統一感と旬の空気をまとわせることができます。
もう一つの工夫は、帯締めの端の処理。
結び終わった端が長く残った場合には、あえて外側に曲げてふんわりと立体感を出すアレンジも有効です。
逆に、端を内側に巻き込んでスッキリと仕上げると、落ち着いた印象になります。
こうした細部の工夫が、「やりすぎ感のない、でも目を引く」帯締めアレンジを完成させます。
まとめ
帯締めの変わり結びや飾り結びは、ほんの少しの工夫で着姿全体を格段に洗練された印象に引き上げてくれます。
しかし、そのためには“基本を丁寧に”押さえることが何より重要です。
本記事では、まず帯締めの種類や役割、基本となる本結びを解説し、その上で「可愛いけどやりすぎない」アレンジを複数紹介しました。
特にリボン結びや玉結びは、日常の街歩きや観劇でも取り入れやすく、大人の品を保ちながら華やかさを添えるスタイルとしておすすめです。
さらに、帯締めが崩れにくくなる締め方や、アレンジ後の小物使いによる完成度の高め方も紹介しました。
帯締めは単なる“締め具”ではなく、自分らしさを演出する「余白」のような存在です。
加藤咲季さんの動画【帯締めのゆるまない結び方】でも語られているように、ひとつひとつの結びに意味と丁寧さを込めることで、帯締めは美しく機能し、装いに余裕と知性をもたらします。
帯締めの変わり結びは、奇をてらうものではありません。
自分のための少しの遊び心。
日常を彩る、さりげない表現。
今日の一歩が、あなたの着物スタイルをさらに豊かにしてくれるはずです。
着付師・着付講師。
一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。
美容師から転身し、24歳で教室を開講。
のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。
着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。
YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。
詳しく見る

この記事へのコメントはありません。