「着付けにどれくらい時間がかかるのか分からず、スケジュールが立てづらい」
「汗をかいてシミや着崩れが起きたらどうしよう」
「夏に快適に着るための素材や小物の選び方が知りたい」
夏のイベントや式典で着物を着る予定があると、どうしても気になるのが「暑さ」と「時間」です。
そんな悩みをお持ちの方に向けて、この記事では以下のポイントを分かりやすく解説します。
- 汗をかいても快適に過ごせる肌着・補正素材や制汗アイテムの選び方
- 自装・プロ依頼それぞれの所要時間とスケジュールの立て方
- 汗ジミ対策や、着用後のクリーニング・手入れ方法
夏の着物は、事前準備と時間配分、そしてちょっとした工夫次第で驚くほど快適に着こなせます。
この記事では、着付け師として豊富な知識をもつ加藤咲季さんの動画内容をもとに、信頼できる対策と実践的な方法をまとめました。
暑さに負けず、美しく着物を楽しむためのヒントをぜひチェックしてみてください。
Contents
暑い中で汗ジミ・崩れを防ぎながら時間内に着付けする方法

真夏の着物には、暑さ対策が欠かせません。
特に着付けの最中や、着た直後に汗をかくと、お太鼓が湿ったり、補正がずれて着崩れの原因になったりと、不安が尽きないものです。
しかし、正しい素材選びと小物の工夫、そして事前の対策を講じれば、汗をかいても快適で美しい着姿をキープできます。
この章では、加藤咲季さんの動画でも紹介されている夏場の着付けにおける実践的な汗対策をご紹介します。
吸汗性の高い肌着や通気性に優れた補正、冷却グッズの使い方などをお伝えします。
夏場に選ぶ肌襦袢・補正素材の工夫(吸汗/通気性)
夏に最も重要なのは、肌に直接触れる「肌着」と「補正」の素材選びです。
加藤咲季さんは動画の中で、「面の肌着は汗を吸うが厚いので、ユニクロのエアリズムなどを半袖で使うのが現実的」と紹介しています(※)。
肌着にはワンピース型やセパレート型など種類がありますが、吸汗性・速乾性のある化繊素材(ポリエステル系など)を選ぶことで、汗を素早く外へ逃がし、着物本体に汗が染み込むのを防ぐことができます。
なお、キャミソール型は避けるべきとされており、脇が開いた着物の構造上、露出しやすく不向きです。
補正もまた、通気性と軽さがカギです。
タオルを使う場合はなるべく薄手のものを選び、通気性の高いメッシュ系補正パッドも市販されています。
暑さに弱い方は「汗取りパッドつき補正下着」もおすすめです。
※参考動画:肌着の種類
冷却シート・制汗剤・日傘・扇子の活用テクニック
体温調整を助ける小物類も、夏の着物に欠かせないアイテムです。
加藤咲季さんは特に「外出時にパソコンなど荷物が多いと肩が崩れやすいので、荷物の量と体温調整のバランスを取ることが重要」と述べています(※)。
おすすめのアイテムは以下の通り。
- 首筋や背中に貼れる冷却シート:着物の構造上、貼る位置は背中心かうなじ下が効果的
- スプレータイプの制汗剤:肌着の上からでも使える無香タイプがベスト
- 扇子と日傘:持ち運びやすく、混雑する会場でも自分の空間を確保しやすい
- 吸汗インナーや汗取りパッド:着物に汗がつく前に吸収してくれる便利アイテム
なお、汗対策は着付け前に仕込んでおくことが重要です。
着付け中に冷却シートや制汗剤を使用すると、衣類や帯に移って逆に汚れの原因になることがあるため、前準備が成否を分けるポイントになります。
※参考動画:着物でのお出かけに必要なものとは?
着付けにかかる時間を正しく見積もるために知っておくべきこと

夏の着物支度では、暑さ対策と並んで重要なのが「所要時間の見積もり」です。
出発時間に間に合うよう逆算して準備するには、自分で着る場合とプロに依頼する場合の所要時間の違いを理解し、余裕をもってスケジュールを立てることが欠かせません。
特に式典やイベントのように時間に制限がある場面では、少しの遅れが大きな支障となることもあります。
ここでは、着物の種類別におおよその所要時間を整理し、さらに時間短縮の工夫や注意点を紹介します。
浴衣・訪問着など種類別の時間目安(自装 vs プロ)
着物の種類ごとに、着付けにかかる時間は大きく異なります。
また、自分で着るかプロに依頼するかによっても差があります。
以下は、加藤咲季さんの実体験と一般的な所要時間をもとにした目安です。
着物の種類 | 自装(初心者〜中級者) | プロ依頼 |
浴衣 | 30〜60分 | 約15〜20分 |
小紋 | 40〜60分 | 約20〜30分 |
訪問着 | 60〜90分 | 約30〜40分 |
留袖・振袖 | 90〜120分 | 約40〜60分 |
加藤咲季さんは動画の中で、「慣れてくれば30分で着られることもあるが、特に夏場は汗で手が滑ったり時間がかかることがあるため、通常より+10分以上を見込むと安心」と助言しています(※)
とくに浴衣は「軽装」と思われがちですが、帯を綺麗に結ぶのには意外と時間がかかります。
着慣れていない方は最低でも30分以上の余裕を確保しましょう。
※参考動画:肌着の着方
自装とプロ依頼の時間差と短縮のコツ(予行練習・作り帯など)
時間短縮を図るための工夫も、夏の着物支度では重要です。
自装の場合、時間が読みにくいため、以下のポイントを意識するとスムーズに進みます。
- 事前に1〜2回予行練習を行う
→ 着物と帯の癖を把握し、当日焦らず着られる - 帯結びに“作り帯”を活用する
→ 特に浴衣や名古屋帯では、既成の形を使用することで時間を約半分に短縮可能 - 補正はあらかじめ装着しておく
→ 着付け直前の補正準備を省くことで、体温上昇も防げる
また、プロに依頼する場合でも、予約時間ギリギリではなく「準備〜移動込みで1時間以上の余裕」を見込むことが理想です。
特に夏場は到着後に汗を拭き取る時間も必要となるため、時間に対する“読み”を丁寧に設計することが成功の鍵になります。
式典当日のスケジュール計算と逆算の実践法

着物を着る日の朝は、想像以上にやることが多く、想定外のハプニングも起こりがちです。
とくに夏は、気温や湿度によって支度の進み具合に差が出るため、「何時に着付けを終わらせて、何時に出発すれば安心か」を事前に逆算しておくことが欠かせません。
この章では、式典やイベント当日に焦らず準備を終えるための時間の組み立て方を解説します。
加藤咲季さんの実践から学べる「移動」「受付」「着付け予約」など各段階における時間配分の目安も含めて紹介します。
予約時間の決め方と受付・遅延への備え
まず最初に意識すべきは、式典の「受付時間」から逆算することです。
例えば受付が10:00〜10:30の場合、「10:00に着いた状態」を理想とするなら、最低でも以下の時間配分を考慮しておくと安心です。
項目 | 推奨時刻 |
会場到着 | 09:50 |
出発(移動含む) | 08:50(移動1時間想定) |
着付け完了(自装or予約終了) | 08:20 |
着付け開始 | 自装 07:00〜 / プロ依頼 07:40〜 |
加藤咲季さんも、「着物の日は思っている以上に準備に時間がかかる」と動画内で何度も繰り返しており、支度開始時間は“理想より30分前倒し”が基本と強調しています(※)。
また、夏は特に「着付け後に体を冷ます時間」や「汗を抑える時間」も必要です。
準備完了から出発までの間に10〜15分の休憩タイムを確保することで、帯のゆるみや不快感を防ぐことができます。
※参考動画:着物でのお出かけに必要なものとは?
移動時間・暑さピークを避けるタイミング調整術
着付け後に外出する際は、移動時間と気温の上昇タイミングにも注意が必要です。
真夏は朝7:00〜9:00のうちに着付けと移動を終えるのが理想とされています。
加藤咲季さんも、「荷物が多い日は化繊の着物や軽い装いを選び、日差しが強くなる前に移動を終えるようにしている」と話しています。
特にフォーマルな訪問着を着る場合、移動中に帯が崩れることもあるため、階段や混雑する駅での移動時間は長めに見積もっておくことが重要です。
以下のような工夫も有効です。
- 移動は涼しい車内や日陰を選ぶ(タクシー配車アプリなども活用)
- 下駄や草履は履きなれたものを使い、足の痛みを回避
- 駅や会場のトイレで“仕上げチェック”できる時間を確保
時間のゆとりがあるだけで、慌てて汗をかいたり、帯が緩んだりするリスクは大幅に下がります。
1日の成功は「逆算力」で決まるといっても過言ではありません。
汗ジミがついた後のケアやメンテナンス

どれだけ対策をしても、真夏に着物を着ていれば汗を完全に防ぐことはできません。
着用後には必ず「汗ジミやにおい」のケアをしておくことが、着物を長持ちさせる鍵になります。
特に絹素材やフォーマル着物は、目に見えない汗によるダメージが蓄積しやすく、放置すると数カ月後に黄ばみや変色として現れることもあります。
ここでは、加藤咲季さんの動画で紹介されたケア方法と、日常のお手入れから専門クリーニングの活用法までを具体的に解説します。
日々のお手入れ(陰干し・濡れタオル押し洗い)
着用後の最初の一手は、「しっかり干して湿気を抜く」ことです。
加藤咲季さんも動画内で、「着物は毎回洗わなくてもよく、ワンシーズンに1回が基本。それまではハンガーにかけて風を通すだけで十分」と説明しています(※)。
具体的なお手入れ手順は以下の通り。
- 着物ハンガーにかけて、直射日光を避けた陰干し(3〜4時間)
- 汗をかいたと思われる襟元や背中部分は、濡らして絞ったタオルで軽く押し拭き
- 湿気が抜けたら、軽くブラシをかけてから畳んで収納
この作業だけでも、汗の酸化やニオイの定着をかなり防ぐことができます。
特にフォーマル着物や絹の訪問着は、見えない皮脂や汗でも黄変するため、定期的な手入れが重要です。
※参考動画:着物を洗う頻度はどれくらい?
プロに任せる汗抜きクリーニングと料金目安
一度でも大量の汗をかいた場合や、すぐには再着用しない着物(訪問着・留袖など)は、専門店での汗抜きクリーニングを検討するのが安心です。
加藤咲季さんも「フォーマル着物で次の出番が未定な場合は、すぐにクリーニングに出すようにしている」と話しています(※)。
汗抜きクリーニングの一般的な料金相場は以下の通り。
- 浴衣・小紋:3,000円〜5,000円程度
- 訪問着・振袖:6,000円〜12,000円程度(シミ抜き別)
着物専門のしみ抜き職人がいる店舗を選ぶと、黄ばみや汗ジミの広がりを抑えつつ、繊維に負担をかけずにケアしてくれます。
なお、帯については「私は基本的に洗わない」と加藤咲季さんが語っており、帯は芯が劣化しやすいため、洗うより芯交換のタイミングで洗うという使い方が紹介されています(※)。
※参考動画:着物を洗う頻度はどれくらい?
まとめ
真夏の着物は、汗や暑さとの戦いと思われがちですが、素材選び・冷却アイテム・スケジュール設計を丁寧に行えば、快適で美しい着姿を保つことが可能です。
とくに、加藤咲季さんの動画で紹介されているような「肌着の工夫」「補正の通気性」「荷物量への配慮」などの細かな配慮が、当日の快適さを大きく左右します。
また、着付けにかかる時間は、自装とプロ依頼で大きく異なります。
夏場は汗をかくぶん、通常より時間がかかる前提で、少し多めに見積もっておくと安心です。
式典やイベント当日には「受付時間から逆算して」逆ピラミッド式にスケジュールを組み立て、予期せぬ暑さ・遅れにも対応できる余白を確保することが鍵となります。
さらに、汗をかいたあとのケアも大切です。
シーズン終了時には専門クリーニングを活用し、大切な着物を長く美しく保つメンテナンスを習慣づけましょう。
「夏だからこそ、着物を軽やかに楽しむ」——そのために必要なのは、高度な技術よりも、段取りと準備の積み重ねです。
この記事が、あなたの夏の着物時間をより快適で、心地よいものにする一助となれば幸いです。
この記事へのコメントはありません。