「一人で着る着物、トラブルが不安…」
「着付けって難しそう」
「一人で着たら、どこかで着崩れるんじゃ…」
そんな不安を感じていませんか?
教室に通わず、自宅で一人で練習して着物で外出する——そんな憧れも、正しい知識とちょっとした工夫があれば実現できます。
とはいえ、初心者の方が一人で着付けをする際には、次のような悩みがつきものです。
そこでこの記事では、一人で着付けを成功させるために必要な以下のポイントを、段階的に解説します。
- 着付け中や外出中に、襟元や帯が緩んでしまう
- 正しい順序や道具の使い方がわからず混乱する
- 自宅で練習する際に何から始めればよいかわからない
また、「自分のペースで練習しながら、着物をもっと自由に楽しみたい」という思いにも応えられるよう、自宅練習のステップや心構えについても具体的に紹介します。
一人で着付けができるようになれば、着物はもっと身近な存在になります。
自信をもってお出かけできるように、今日から少しずつ取り入れてみましょう。
事前準備と小物の整え方(必要物・環境づくり)

着崩れを防ぐ着付けの第一歩は、「何を使うか」と「どんな場所で着るか」を整えることです。
初心者ほど、道具の準備不足や環境の不備がミスの原因になります。
着物に慣れていないうちは、できる限り快適で整理された空間で練習することが、成功率を高めるカギです。
正しい道具選びと、着付けがしやすい室内の環境づくりは、外出中のトラブルを未然に防ぐ最初の一歩。
ここでは、加藤咲季さんのアドバイスをもとに、初心者向けの事前準備を解説します。
必要な着付け小物一覧(腰紐・伊達締め・帯板ほか)
最低限そろえておきたい着付け小物は、以下の通りです。
- 肌着・裾よけ:通気性の良い綿素材やエアリズムのような半袖タイプがおすすめ(※)
- 和装ブラ or スポーツブラ:ワイヤーなしで体をフラットに整えるブラを選ぶ
- 腰紐(2〜3本):長襦袢・着物・帯結びの固定に使う
- 伊達締め(1〜2本):襟元や帯下を平らに整える
- 帯板:帯の前面に入れ、シワや緩みを防止
- 帯枕:お太鼓結びを安定させる
- クリップ or 洗濯ばさみ:仮止め用としてあると便利(外出時にも推奨)
- 鏡(できれば全身鏡):全体のバランスを見るため必須
これらのアイテムを一式そろえておくことで、着付けの過程での混乱や手直しが減り、作業もスムーズに進みます。
※参考動画:肌着の種類
練習しやすい環境づくり(鏡配置、床面や台の準備、温度管理)
着付けは、立ったりしゃがんだり、腕を大きく動かしたりと、意外と全身を使う作業です。
そのため、室内環境も着付けの完成度に影響します。
まず鏡は、全身が映る姿見が理想です。
前面だけでなく「横姿」や「後ろ姿」を確認できることで、帯やおはしょりのゆがみを早期に発見できます。
床面は滑りにくく、着物を置いても汚れない清潔な場所を選びます。
もし床が冷たい、または滑りやすい場合は、薄いヨガマットや畳マットを敷くとよいでしょう。
座る・しゃがむ姿勢の練習にも便利です。
また、冬場は室温を高めに設定しておくのがおすすめ。
手先が冷えると紐の操作が鈍くなり、帯がうまく締まりません。
夏は扇風機や冷房を活用しつつ、汗対策として汗取りシートやタオルも手元に置いておくと安心です。
着付け手順と着崩れ防止のポイント

着物の着付けは、ただ順番どおりに着るだけでは安定しません。
特に一人で着る場合は、ポイントごとの「締める・整える・確認する」の小さな積み重ねが、外出中も崩れない着姿へとつながります。
加藤咲季さんも、動画でたびたび「腰紐の位置」や「帯の締め方」「脇の整え方」など、具体的なコツを丁寧に解説しています。
ここでは、初心者でも理解しやすいように、長襦袢〜帯までの手順とともに、各ステップで着崩れを防ぐテクニックを紹介します。
長襦袢から着物を着るまでの基本ステップ
着付けの第一段階は「長襦袢を正しく着ること」です。
ここで襟の位置や裾のバランスが崩れると、後の着物・帯も安定しません。
- 長襦袢を羽織る前に、肌着のシワを整える
とくに背中や脇の部分にシワが残っていると、襟の浮きや帯のズレにつながります。長襦袢の前に、しっかり確認を。 - 背中心を合わせて、襟はのどのくぼみが見えるくらい抜く
襟抜きが浅すぎると首が短く見え、着姿が重たく見えてしまいます。鏡を使って後ろ襟を「指2本」分抜くのが目安。 - 腰紐をしっかり締め、結び目はウエストの横に寄せる
正面に結ぶとお腹が出て見える原因になるため、やや脇へずらすのがコツです。加藤咲季さんも動画でこの調整の重要性を強調しています。 - 着物を羽織り、背中心を襦袢と重ねるように調整
着物の丈を決める際、裾合わせは「くるぶしが隠れる程度」に。前幅を整えるときは、「右手で右前、左手で左前」を意識すると乱れにくくなります。 - 腰紐と伊達締めを使って、前後の襟元をピタッと密着させる
ここでの締めが緩いと、外出中に「襟元が開く」「下がる」などのトラブルに直結します。
長襦袢と着物の重ね方や紐の締め位置を適切に管理することで、着姿の土台が整います。
加藤咲季さんの動画、【背中の紐が見えてしまうときの対処法】では、補正の入れ方や帯の下がり対策とともに詳しく解説されています 。
帯を締めるときのトラブル回避のコツ(腰紐の締め方・帯板・帯締めの位置)
帯周りは、見た目の美しさと機能性の両方が求められます。
着崩れの多くは「帯が落ちてくる」「前がふくらむ」といった帯周りのトラブルから始まります。
- 帯板は帯の内側にしっかり差し込む
帯板が中途半端に入っていると、前帯がふくらみ、布がズレやすくなります。端から端までしっかり差し込むことで、シワやねじれが防げます。 - 帯を巻くときは、1周目をやや強く・2周目を少し緩めに
最初の一巻きで胴回りをしっかり締めることで、落ちにくく安定した帯結びになります。2周目で全体のバランスをとると苦しくなりにくい。 - 帯締めの位置は帯の中心よりやや上を意識する
帯締めが下がっていると、帯全体が下がったように見えてしまいます。「上気味に固定する」のが、見た目にも安定感にも有効。 - 帯揚げは脇から丁寧にたたむのが着崩れ防止の鍵
帯揚げが脇でねじれたり、丸まっていると布が浮いてしまいます(※)。 - 苦しくなく、でも緩くない“加減”を覚えるには練習が必須
最初は「キツく締めすぎた」「逆に緩くて崩れた」という失敗は避けられませんが、何度か巻いてみることで適切な力加減が身につきます。
帯の完成度は、着姿全体の印象を左右します。
手順を丁寧に追いながら、帯回りの安定感と見た目の美しさを両立させましょう。
※参考動画:帯揚げを綺麗にするポイントでも、「脇から順に畳む」ことで整った帯まわりがつくれると解説されています 。
初心者が直面しやすいトラブルと解決法

初めて一人で着物を着て出かけたとき、「襟が浮いてきた」「帯が下がった」「トイレのときに裾がうまく扱えない」といったトラブルを経験する方は少なくありません。
これは単なる着付けの技術だけでなく、「着たあとにどう動くか」まで想定して準備しておく必要があるからです。
ここでは、初心者が特につまずきやすい場面を取り上げ、加藤咲季さんの解説に基づいて、具体的かつ再現しやすい解決法をご紹介します。
外出中に襟や帯が緩んだときの対応方法
一人で着た場合に最も多いのが、襟元や帯のゆるみ。
とくに食事や移動で体を動かすうちに、気づいたら形が崩れていたというケースが多発します。
加藤咲季さんは、動画【着物でのお出かけに必要なものとは?】の中で、「クリップと腰紐1本をバッグに入れておくと安心」と具体的にアドバイスしています 。
なお、ケース別の外出先でできる応急処置のコツは以下のとおり。
- 襟が開いたとき:トイレや化粧室で静かに整える際は、内側の襦袢の襟を上から引いて、表襟をなじませてみる。クリップで軽く仮止めすると安定。
- 帯が下がったとき:帯枕が落ちてきた場合は、後ろ帯の下にハンドタオルを畳んで押し込むだけで即時補整が可能(動画でも「応急のタオル補整」が紹介されています)。
- 腰紐がゆるんだとき:バッグに入れておいた予備の腰紐で、上から補強して応急処置。帯下に仕込むように入れると、見た目も自然です。
このように、「ちょっとした道具を携帯しておく」ことと、「その場でできる補整を知っている」ことが、着崩れを未然に防ぐ最大の武器になります。
トイレや歩行時に困らない動き方とケアの方法
着物姿での外出中、とくにトイレと階段で困る方が多いのは、裾さばきに不慣れだからです。
トイレ使用時のポイントは次のとおりです。
- 裾は帯の前あたりで軽くまとめ、クリップで仮止めする
床に着かないようにしつつ、脱ぎ着の際にシワにならないよう丁寧に扱います。 - 裾よけ・長襦袢を捲る順番を意識
肌に近い方から上にまとめていくと、戻すときの順序が乱れにくくなります。 - 終わったら鏡で裾線を再チェック
特に後ろ姿が崩れていないか、腰紐がねじれていないかを確認しましょう。
階段や歩行時は「気持ち内股」で、すそが足に絡まない歩幅をキープ。
姿勢を整えて、背筋を伸ばすことで裾の重心が安定し、引きずりにくくなります。
これらの動作は慣れるまで繰り返し練習するのが大切です。
加藤咲季さんも「初めはぎこちなくても、数回の外出で身体が自然に動くようになる」とアドバイスしています。
自宅練習のすすめと段階的ステップ

着物の着付けは、一朝一夕では身につきません。
しかし「毎日30分」「週に1回だけ」など、無理のない範囲で練習を積み重ねることで、確実に上達します。
教室に通う時間がない方や、体力に不安がある方こそ、自宅での練習環境を活かすべきです。
加藤咲季さんも「できることからでいい」と、段階的な練習法を多数の動画で提案しています。
ここでは、一人でも効率よく着付けを習得するための「練習方法」と「外出に向けたステップアップ法」を紹介します。
鏡を使った自己チェックと改善のコツ
自宅練習の効果を高めるには、「見ながら直す」ことが最大のカギです。
ただ着るだけでなく、全身鏡や動画撮影を活用して、自分の姿を客観的に見るようにしましょう。
- まずは“後ろ姿”の確認から始める
帯の高さやおはしょりのライン、襟の抜け具合は後ろ姿に最も現れます。加藤咲季さんは動画【背中の紐が見えてしまうときの対処法】でも「後ろの脇線」を目安にするようアドバイスしています 。 - スマホで動画を撮ってチェックする
正面・横・後ろを撮影し、自分の所作や帯のズレなどを見直しましょう。静止画だけでは分からない「動きによる着崩れ」が把握できます。 - 練習後に“記録を取る”習慣をつける
上手くいった日・崩れた日・原因と思われる点をノートやスマホにメモすることで、次回の着付け改善に直結します。 - 姿勢のチェックも忘れずに
着崩れの多くは姿勢のクセが原因です。猫背・反り腰・左右の傾きがないかを鏡で確認し、壁に背をつけて姿勢を整えるのも効果的です。
着付けは「やってみる」だけではなかなか上達しません。
「見て直す」ことで、格段に完成度が高まります。
短時間外出から始める練習プランとステップアップ
いきなり長時間の外出に挑戦すると、疲労や着崩れが不安になりますよね。
次のように、段階を踏んで最初は「玄関先に出てみるだけ」など、短時間・短距離からスタートするのが成功のコツです。
- 最初は“玄関先で写真を撮る”だけでもOK
着姿を確認する目的で、外に一歩出るだけでも十分な練習になります。自然光での帯や襟の見え方もチェックできます。 - 次に“近所のスーパーや公園”など10〜20分の外出を
バッグの中には「腰紐1本・クリップ1つ・タオル1枚」を常備しましょう。 - 徐々に“カフェやイベント”など長時間滞在にステップアップ
歩行時間だけでなく「椅子に座る」「食事をとる」など、着姿が崩れやすい動作を体験しておくと、本番でも慌てません。 - 外出後は必ず“振り返り”を行う
どこが崩れたか、何が快適だったかをメモに残し、次回の練習や本番に活かします。
このような段階的なステップアップによって、自分の体型や動きに合った着方が見えてきます。
加藤咲季さんも「経験を重ねることが一番の上達法」と動画内で繰り返し強調しています。
まとめ
一人で着物を着ることは、決して難しいものではありません。
むしろ、自宅での練習を重ねていくことで、自分の身体や癖に合った着方が自然と身についていきます。
この記事では、以下の4つの視点から、初心者が一人で着付けを成功させるためのポイントを整理しました。
- 着崩れを防ぐための道具と環境づくり
- 正しい手順と着姿を安定させるための工夫
- 外出中に起きやすいトラブルへの具体的対処法
- 日常の中で無理なく続けられる練習ステップ
加藤咲季さんのYouTube動画でも繰り返し語られているように、「完璧を目指すより、着て楽しむこと」が大切です。
小さな失敗を重ねながらも、自信をもって一人で出かけられる日がきっと来ます。
あなたの着物時間が、より快適で楽しいものになりますように。
今日からできることから、はじめてみましょう。
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