「夏の結婚式、お茶会、パーティ…どんな着物を選べば失礼にならないの?」
「絽と紗、どちらがフォーマル向き?違いがよくわからなくて不安…」
「透け感や時期のことも考えると、ますます迷ってしまう…」
そんなお悩みを抱えていませんか?
夏の正式な場にふさわしい着物選びは、見た目の美しさだけでなく、TPOに合った素材選びが重要です。
「絽」と「紗」はいずれも夏の薄物素材ですが、フォーマル度や着用時期、用途に明確な違いがあります。
それを理解せずに選んでしまうと、場違いな印象を与えてしまう可能性もあるのです。
この記事では、
- 「絽」と「紗」の違いと、それぞれに適したフォーマルシーン
- 結婚式やお茶会などで好印象を与えるコーディネートの基本
- 暑さ・空調・気候に対応した快適で礼を失しない工夫
を丁寧にご紹介します。
さらに、実際の場面で「こうしてよかった」と感じる小物選びや着付けのコツ、加藤咲季さんのYouTubeで語られている実践的アドバイスも随所に取り入れてお届けします。
「きちんと感」と「涼やかさ」を両立させた、夏のフォーマル着物の選び方——自信を持って装えるヒントを、ぜひこの記事で見つけてください。
Contents
“絽”と“紗”どちらを選ぶ?TPOに合わせた基礎知識

夏のフォーマルシーンで迷いがちな「絽」と「紗」の使い分け。
どちらも涼やかな透け感を持つ薄物素材ですが、フォーマル度や印象に違いがあるため、場面に合った選択が求められます。
まずは、それぞれの素材がどんな特徴を持ち、どんなTPOに適しているのかを整理しましょう。
加藤咲季さんの動画でも語られている通り、着物の素材は「見た目の格」だけでなく「着心地」や「動きやすさ」にも関係します。
ここでは、初心者にもわかりやすく、基本的な違いと選び方のポイントを解説します。
「絽」の特徴とおすすめ場面
絽(ろ)は、経糸(たていと)を数本ごとに“隙間”を作って織られた、夏専用の織物です。
生地全体に「横筋」が入っており、そこから風が抜ける構造になっているため、見た目にも着心地にも涼しさを感じさせます。
透け感はあるものの、比較的落ち着いた印象に仕上がるため、夏のフォーマルシーンで最も広く用いられる素材です。
たとえば、
- 夏の結婚式やお宮参り、改まった食事会
- お茶会(特に格式のあるもの)
- 礼装訪問着や色無地(絽素材)
などにふさわしく、格式を求められる場面では「絽の着物+絽の帯」の組み合わせが基本となります。
加藤咲季さんも動画内で「絽の訪問着や附下は、夏場のフォーマル着物として安定感がある」と紹介しており、迷ったときは絽を選んでおけばTPOを外す心配は少ないでしょう(※)。
※参考動画: 着物と帯の組み合わせ*小紋編
「紗」の特徴とおすすめ場面
紗(しゃ)は、絽よりもさらに透け感が強く、シャリっとした風合いが特徴の織物です。
緯糸(よこいと)を飛ばして織られており、軽やかでカジュアルな印象を与えるため、セミフォーマルから洒落着寄りのコーディネートに適しています。
具体的には、
- 気軽なお茶会や観劇
- カジュアルな夏のパーティ
- 涼やかさを演出したいおしゃれ着物スタイル
などに向いています。
ただし、透け感が強いため、正礼装には不向きとされています。
たとえば、親族の結婚式など格式の高い場では避けるのが無難です。
紗の名古屋帯や紗紬などは、おしゃれな柄行で遊び心を取り入れやすく、加藤咲季さんも「夏は着心地の軽さと見た目の涼感が大切」と語っています。
正統派フォーマルより“季節感を楽しむセミフォーマル”に適した選択肢と言えるでしょう。
その他薄物素材(羅・麻など)の位置づけ
絽・紗以外にも、夏用の薄物には「羅(ら)」や「麻(あさ)」などの素材があります。
- 羅:紗よりもさらに大胆に隙間がある織りで、透け感・通気性ともにトップクラス。ただし非常にカジュアルな印象が強いため、あくまで街着やおしゃれ着用に留めるのがベターです。
- 麻:吸湿・通気性に優れ、特に盛夏の普段着や浴衣代わりとして人気。ただしシワになりやすく、光沢感も少ないため、フォーマルには向きません。
加藤咲季さんも、「夏は涼しさだけでなく、場面に応じた格のバランスが大事」と語っており、透けて涼しい=何でもフォーマルOKというわけではない点に注意が必要です。
「着用時期と素材の関係|絽・紗のシーズンガイド」

「絽と紗の違いはわかってきたけど、いつからいつまで着ていいの?」という声はとても多いです。
夏の着物は“薄物”と呼ばれ、衣替えの時期や季節の移ろいに合わせて選ぶ必要がありますが、近年の気候変動や冷房の発達などにより、その“きまり”も少しずつ柔軟になってきました。
ここでは、伝統的な着用ルールを踏まえつつ、現代の実情に合ったシーズンガイドをご紹介します。
絽:6月中旬~8月末(+αでの柔軟対応)
伝統的に「絽」は6月中旬から8月末までが着用期間とされてきました。
6月上旬は“単衣”の着物を着用し、梅雨明けを目安に「絽」へと移行するのが正式とされています。
特に結婚式やお宮参りなどの改まった場面では、“盛夏のフォーマル着物=絽”という意識が今も根強く、選びやすい素材です。
加藤咲季さんも動画内で「フォーマル用の訪問着や附下を夏に着るなら絽一択」と明言しており、迷ったときはまず絽から選びましょう。
ただし、最近では9月に入っても残暑が厳しい年も多く、「9月上旬まで絽を着ていた」という声もあります。
空調の整った会場であれば、汗の量や暑さに応じて絽を延長使用することも現実的です。
紗:7月〜8月(+紗袷について)
「紗」は絽よりさらに涼しさを重視した素材で、着用時期は主に7月から8月の盛夏に限定されます
透け感が非常に強いため、6月では早すぎ、9月では寒々しい印象になることがあるため注意が必要です。
ただし例外として「紗袷(しゃあわせ)」という特殊な仕立てがあります。
これは、2枚の紗を重ねて袷風に仕立てた薄物で、見た目に透け感を残しつつも重厚感があり、6月や9月といった“端境期”にも違和感なく着用できるのが特徴です。
紗袷はあまり一般的ではありませんが、咲季さんも「薄物の応用として知っておくと便利」と紹介しています。
柔軟な着こなしを目指す方には一考の価値ありです。
単衣や袷との使い分け|温度・会場対応をどう考えるか
「着物は季節を先取りする」とよく言われますが、実際には気温や会場環境も大きな判断基準になります。
以下のように考えると、より実用的な選択がしやすくなります。
時期 | 適した着物素材 | 備考 |
6月上旬 | 単衣(裏なし) | 初夏。地紋のある色無地や小紋が多い |
6月中旬~8月末 | 絽・紗(薄物) | 盛夏。礼装は絽、洒落着は紗が定番 |
9月上旬 | 絽・紗袷(天候次第) | 暑さが残る場合は継続使用も可 |
9月中旬以降 | 単衣→袷へ移行 | 気温次第で順次切り替える |
加藤咲季さんも動画で「“暦通り”にこだわりすぎず、当日の気温や会場の冷房事情も考慮しましょう」と語っており、現代的な判断軸のひとつになっています。
「フォーマル着物の完成度は小物選びで決まる」

絽や紗の着物を美しく着こなすには、着物そのものだけでなく、小物類の選び方が非常に重要です
特にフォーマルシーンでは、素材感や色味のミスマッチが全体の印象を大きく左右します。
加藤咲季さんも「小物ひとつで、着姿の格が一気に変わる」と語っており、夏のフォーマルにふさわしい小物選びには一層の注意が必要です。
ここでは、特に重要な長襦袢・半衿・帯・草履など、各アイテムごとのポイントを整理してご紹介します。
長襦袢・半衿:素材と透け対策を合わせる
夏のフォーマル着物では、長襦袢と半衿の選び方が非常に繊細になります。
絽や紗といった薄物は、下に重ねるものまで透けて見えるため、「いかに下着や長襦袢の色・質感を整えるか」が大切です。
加藤咲季さんは動画で「長襦袢には絽の長襦袢を合わせるのが基本」と話しています(※)。
特に袖口や裾から透けて見える部分の素材や色が不適切だと、どれだけ上等な着物を着ていても“だらしない”印象になってしまいます。
半衿についても、正絹の絽半衿や夏用の塩瀬を選ぶと上品な印象になります。
化繊の白半衿もOKですが、柄入りや刺繍入りの場合は控えめなものを選びましょう。
※参考動画:肌着の種類
帯・帯揚・帯締:絽・紗帯で統一感を出す方法
フォーマルにおける帯合わせは、着物の素材感と季節感をそろえるのが基本です。
絽の訪問着には絽の袋帯、紗の付下げには紗の名古屋帯など、“同じ季節の織り”で統一することが洗練の鍵です。
帯揚げや帯締めも夏用の素材を使ったものがあり、たとえば透け感のある絽縮緬の帯揚げや、組みが緩やかなレース風の帯締めなどが人気です。
加藤咲季さんは、淡い色の帯揚げが最も使いやすく「白に近い生成りのものを一枚持っておくと、夏は大活躍する」と述べています(※)。
派手な色や重たい質感の帯揚げは、夏の着姿には重く見えてしまうため避けるのが無難です。
※参考動画:帯揚げの使える色、使えない色とは?
草履・バッグ・ステテコなど実用アイテムの選び方
足元や実用小物にも、夏ならではの工夫が必要です。
草履はフォーマルであればエナメル系の台に布地花緒が基本ですが、夏は「塗り下駄風」の通気性ある草履も人気です。
加藤咲季さんも「雨の日にも使える塗りの草履や、畳地のカラスオモテ草履を好んで使用している」と語っています(※1)。
また、着物の下に履くステテコや肌着についても通気性が求められるため、「エアリズムなどの化繊・半袖タイプがベスト」と加藤さんは強調しています(※2)。
キャミソールは脇が見えやすいため避けた方がよいでしょう。
参考動画
※2:肌着の種類
現代の夏フォーマル着物スタイルを快適に

かつての「着物は暦通り」の常識も、現代では徐々に変わりつつあります。
真夏でも冷房が効いた室内で過ごす時間が多くなり、外気と室温の差に対応する着付けの工夫も求められています。
また、着物に不慣れな方にとっては「快適さ」も大切な要素。
ここでは、現代の生活スタイルに合った無理のない夏フォーマルの着こなし方を、加藤咲季さんのアドバイスをもとにご紹介します。
レンタル利用のすすめ|絽訪問着や袋帯がお手軽
「着物を着たいけど、夏用を一式揃えるのは大変……」そんな方には、レンタル着物の活用もおすすめです。
特にフォーマル用の絽の訪問着や袋帯は高価なものが多いため、数回しか着る予定がない場合は、レンタルで対応するのが現実的。
加藤咲季さんも「私自身もフォーマル着物はレンタルをよく活用します」と話しており、サイズ調整や小物一式がセットになったプランは、初心者にも安心です。
選ぶ際には、「絽の訪問着+夏袋帯」「絽の色無地+紗の名古屋帯」など、“季節の格”が揃っているかを確認することがポイントです。
草履やバッグまで揃っていると、全体のバランスもとりやすくなります。
夏の会場空調・温暖化時代の選び方|快適さ重視でも失礼にならない工夫
最近は、真夏でも冷房の効いた会場が多く、「涼しいはずの絽でも意外と寒かった」という経験談も少なくありません。
そんなときは、羽織代わりに薄手のショールや夏用の道中着を用意しておくと安心です。
また、加藤咲季さんも「夏場の移動はとにかく汗との戦い。室内では冷えすぎることもあるので、温度差に対応できる重ね方が重要」と話しています。
さらに、汗対策としてインナーを機能性素材(エアリズム等)の半袖タイプにする、肌着を吸湿速乾タイプに変えるなど、現代ならではの素材選びも快適さを大きく左右します。
着姿は伝統的に見せつつ、内側では快適に過ごせるよう工夫することが、現代の着物美人の秘訣です。
まとめ
夏のフォーマルな場面で着物を選ぶ際、「絽」か「紗」かで迷うのは当然のことです。
どちらも涼しげで美しい素材ですが、その印象やTPOにおける適性にははっきりとした違いがあります。
改まった席──結婚式、お宮参り、正式なお茶会などでは、「絽」が第一選択肢です。
落ち着いた透け感と品のある光沢があり、礼装として安心して着用できます。
反対に、「紗」はカジュアル〜セミフォーマルな印象が強く、観劇やパーティなど、“少しだけ改まった場”での洒落着として取り入れるのが正解です。
また、季節の着物選びは、形式だけでなく「快適さ」と「会場環境」への配慮も忘れてはなりません。
気候や気温、空調の強さに応じて、薄手のインナーや羽織を取り入れたり、肌着の素材を見直すことで、夏でも快適な着物時間が実現できます。
小物選びや草履、バッグ、肌着にいたるまで、細部に心を配ることで、フォーマル着物はより完成された装いになります。
「暑いからこそ、きちんと着こなして見せたい」
そんな女性たちの思いに寄り添いながら、絽と紗の正しいTPO活用を身につけ、夏の着物時間を美しく過ごしていきましょう。
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