
「肌襦袢の正しい着方、いまいちピンと来ない…」
「裾よけとの順番や紐の位置、合ってるのかな…?」
そんな不安を感じたことはありませんか?
着物をきれいに着るためには、実は肌襦袢の着方こそがとても大切です。
初心者の方にとっては、和装ブラや補正といった下準備からすでに戸惑いの連続。
本記事では、以下のポイントを中心に解説していきます。
- 肌襦袢の役割と種類が知りたい
- 正しい着る順番・紐の位置・えもん抜きなどを具体的に確認したい
- 和装ブラやタオル補正の実用的なコツも学びたい
さらに、加藤咲季さんのYouTube動画で紹介されている内容を中心に、動画と連携させながらお伝えしていきます。
肌襦袢を制する者は、着付けを制す。そんな一歩を、一緒に踏み出していきましょう。
肌襦袢とは?~役割と初心者に知ってほしいポイント~
着物を着るときに「肌襦袢って必要?」と疑問に思う方も多いかもしれません。
肌襦袢は洋服で言えばインナーのような存在。
直接肌に触れるものでありながら、着物全体の着姿に大きく影響を与える、大切な下着です。
肌襦袢の主な役割は3つあります。
第一に「汗取り」。
着物は頻繁に洗えないため、汗や皮脂から着物を守るために肌襦袢を着用します。
第二に「滑り止め」。
すべりやすい着物素材の中で、肌襦袢は全体を安定させてくれます。
第三に「着崩れ防止」。
肌襦袢がしっかり整っていることで、後から着る長襦袢や着物がずれにくくなります。
また、肌襦袢の素材によって着心地や快適さも大きく変わります。
たとえば、綿素材は肌に優しく吸湿性も高いため一年を通して人気があります。
一方で夏場は麻や機能性インナー(例:ユニクロのエアリズム)を半袖で代用することも可能です。
加藤咲季さんは動画内で、袖付きのインナーを選ぶことで脇から見える心配も減り、汗も吸収してくれる」と紹介しています(※)。
動画ではセパレート型とワンピース型の違いや、洋装用代用インナーの注意点についても詳しく解説しています。
つまり、肌襦袢は「見えない部分」こそが美しさの鍵を握る重要アイテム。
和装の第一歩として、その役割と基本をしっかり理解しておきましょう。
参考動画:肌着の種類
肌襦袢の種類と選び方
肌襦袢にはいくつかの種類があり、それぞれ着心地や使い勝手が異なります。
自分の体型や季節、着るシーンに合わせて選ぶことで、着付けが格段に楽になります。
ここでは初心者でも扱いやすいタイプと、その選び方のポイントを解説します。
タイプ別の特徴と初心者向けおすすめ
代表的な肌襦袢のタイプは「セパレート型」「スリップ型(ワンピース型)」の2種類です。
➀セパレート型
上半身に着る肌襦袢と、下半身に巻く裾よけに分かれたタイプ。
加藤咲季さんが動画内で詳しく解説しているように、着る際に少しだけコツが必要ですが、サイズの調整がしやすく、補正を加える余地もあるため汎用性が高いのが魅力です(※)。
➁スリップ型(ワンピース型)
頭からかぶるだけで簡単に着られるので、初心者に特におすすめです。
着るのも脱ぐのもラクで、汗も全体的に吸ってくれるため日常使いにも向いています。
なお、【肌着の種類】の動画内で解説しているように、着物に慣れるまでは無理に専用肌着を揃えず、エアリズムの半袖タイプなど手持ちのアイテムで工夫するのも一つの手です。
※参考動画:肌着の着方
着やすさと見た目の観点から選ぶポイント
肌襦袢は「着やすさ」と「見え方(透け・ライン)」の両方を考えて選びましょう。
特に注意したいのが、脇が見える問題。
着物には「身八つ口」と呼ばれる脇の開いた部分があるため、キャミソールのような袖のないインナーを着てしまうと、腕を動かした時に肌やインナーが見えてしまいます。
加藤咲季さんも「できれば半袖以上のものが望ましい」明言しています。
また、肌襦袢の色は基本的に「白」や「淡色」が無難。
柄物は透けてしまう恐れがあるため避けた方が無難です。
生地の質感も滑りすぎるものは着崩れの原因になるため、適度な摩擦感のあるものを選ぶと安心です。
初心者のうちは「簡単に着られる」「汗をしっかり吸ってくれる」「透けやラインが目立たない」この3つを基準に選ぶと失敗がありません。
初心者でも失敗しない!肌襦袢の正しい着方
肌襦袢は「なんとなく着る」だけでは、後に着る長襦袢や着物にまで影響を及ぼします。
ここでは、初心者でも安心してできる肌襦袢の着方を、ステップごとにわかりやすく解説します。
紐の位置、裾の長さ、えもん(襟足)の抜き方など、押さえるべき基本をしっかり確認しておきましょう。
裾よけと肌襦袢、着る順と紐の結び方
肌襦袢を着る順番は、基本的に以下の通りです。
- 和装ブラなどインナーを整える
- 裾よけを腰に巻く(セパレート型の場合)
- 肌襦袢(上)を羽織る
- 紐を胸下で結ぶ
このとき注意したいのは、裾よけの巻き方と紐の位置です。
裾よけは身体の左前になるように巻き、ウエストではなく骨盤の少し下あたりでしっかり締めることで、着崩れを防ぎます。
肌襦袢の上紐は、バストトップよりもやや下に固定するのが基本。
高すぎると襟元が浮き、低すぎると着崩れやすくなります。胸を自然に包み込むように整え、必要に応じてタオルで補正を加えましょう。
加藤咲季さんは、肌襦袢を着る際の注意点として「裾よけと肌襦袢の丈が合っているかをチェック」「紐が身体に食い込まず、でも緩まないように締めることが大切」と動画で丁寧に説明しています(※)。
※参考動画:肌着の着方
えもん抜き・襟合わせ・和装ブラ・補正の方法
えもん(襟足)の抜き加減は、着姿の美しさを左右する重要ポイントです。
首の後ろに指2本分ほどの空間を作ることで、うなじがきれいに見え、全体のバランスが整います。
肌襦袢でこの「えもんの抜き」が浅すぎると、着物を重ねたときに詰まって見えてしまいます。
逆に抜きすぎると後ろが下がってしまい、不自然な印象になるため、初めは鏡で確認しながら調整すると安心です。
また、和装ブラの使用も補正の一部として重要です。
バストをなだらかに整えることで、襟元がスッキリし、着崩れも減少します。
加藤咲季さんは動画内で「胸にパッド入りの和装ブラを選ぶとデコルテが自然に整い、襟元もきれいに決まる」と解説しています(※)。
補正においては「くびれ」を埋めることがポイントです。
タオルをウエストや背中に入れて凹凸をなだらかにし、帯がずれにくい土台を作ることで、全体がより安定した着姿になります。
※参考動画:肌着の種類
動画で確認!加藤咲季さんの解説ポイント
「文字だけではイメージがつかみにくい…」そんな方のために、加藤咲季さんのYouTube動画は非常に頼りになる学習ツールです。
肌襦袢の選び方から着方、補正の入れ方まで、一つひとつ丁寧に解説されており、初心者でも安心して確認できます。
動画で紹介しているポイントまとめ
加藤咲季さんが公開している主な関連動画は以下の2本です。
- 肌着の種類 :肌襦袢の種類(セパレート型・ワンピース型)や代用品の選び方について解説。「キャミソール型は脇から見える恐れがあるため、半袖インナーが望ましい」といった実用的な注意点が含まれています。
- 肌着の着方:セパレート型の肌襦袢と裾よけの着方について、ボディモデルを使って手順を丁寧に紹介。裾よけの巻き方、紐の位置、えもんの抜き加減まで視覚的に学べる構成です。
これらの動画は、文章では伝わりづらい「手の動き」や「紐の締め加減」を確認するのに非常に役立ちます。
落ち着いた語り口とわかりやすい映像構成で、初心者でも安心して学習できます。
初心者に役立つ動画の見どころと活用法
初心者がまず確認すべきなのは、裾よけの巻き位置と紐の締め具合です。
加藤咲季さんは動画内で、骨盤に紐を当てて締めるコツを実演しており、「ここが緩いと全部が崩れていきます」と明言しています。
また、肌襦袢の襟元を整える工程では、「手の角度」「布の引き具合」が丁寧に映像で示されているため、自己流で着ていた人ほど「なるほど」と発見があるはずです。
特に「えもんの抜き加減」は鏡では見えづらい部分ですが、動画を見ながら同じ動きを真似することで、感覚を掴みやすくなります。
何度でも繰り返し視聴できるのも動画の利点です。
文章で理解し、動画で実践する。この二段階学習こそ、着付けを無理なく身につけるための近道といえるでしょう。
迷わない補正と素材選びのコツ|着心地と着姿が変わるポイント
肌襦袢を着る際には「補正」と「素材選び」が非常に重要です。
着崩れを防ぎ、快適に過ごすためにも、この2つの視点を押さえておきましょう。
ここでは、初心者がつまずきやすいポイントを中心に、実用的なアドバイスを紹介します。
和装ブラとタオル補正で崩れない土台をつくる
着付けの基本は、凹凸の少ない「なだらかな体のライン」です。バストの形やウエストのくびれが強いままでは、着物や帯が安定せず崩れやすくなります。
そのためにまず取り入れたいのが和装ブラ。
通常のブラジャーはバストを持ち上げる構造ですが、和装ブラは逆に押さえてなだらかに整える設計になっています。
特に胸元に薄手のパッドが入っているタイプは、デコルテのラインも自然に美しく整うため初心者におすすめです。
さらに重要なのがタオルによる補正です。
ウエストや背中など凹凸のある部分にタオルを当てて、帯がまっすぐ通るような平らなラインを作ります。
加藤咲季さんも「体型に合わせて補正を入れることで帯が下がりにくくなる」と解説しています(※)。
補正は「必要に応じて」「動いても崩れにくい場所に」加えることが大切です。
入れすぎると着膨れの原因にもなるので、最小限で最大の効果を目指しましょう。
※参考動画:背中の紐が見えてしまうときの対処法
季節に合った素材選びで快適さアップ
肌襦袢は一年を通して使うものだからこそ、季節に応じた素材選びが欠かせません。暑い時期、寒い時期それぞれに適した生地を選ぶことで、快適さも見た目も大きく変わります。
- 夏場には… 通気性と吸湿性に優れた「綿」や「麻」素材が最適です。加藤咲季さんも「夏はエアリズムの半袖タイプを代用している」と話しており、特に吸汗速乾のインナーは快適さ抜群です。
- 冬場には… 綿の中でも厚手のガーゼ素材や、内側が起毛したものなど、保温性のある肌着を選ぶと安心です。肌襦袢の上からさらに防寒インナーを重ねる場合は、静電気やごわつきがないよう、摩擦の少ない素材を選ぶのがコツです。
- 通年用なら…綿×ポリエステルの混紡素材など、洗いやすく速乾性のあるタイプが便利です。
初心者のうちは「丸洗いできる」「しわになりにくい」といった実用性も重視すると、扱いやすさがぐっと上がります。
見えない部分だからこそ、自分に合った素材と補正を選ぶことで「着ていてラクなのに、見た目は美しい」理想の着姿が実現します。
まとめ
肌襦袢は、見えない存在でありながら、着物全体の美しさと快適さを大きく左右する大切なアイテムです。
今回の記事では、初心者がつまずきやすい「種類の選び方」「着方のポイント」「補正の工夫」まで、段階的に解説しました。
着付けの第一歩となる肌襦袢を正しく着ることで、長襦袢や帯の安定感も増し、着崩れしに
「肌襦袢を整えることは、着姿全体を整えること」。
この記事が、あなたの着付けの不安を一つでも減らし、自信ある第一歩につながることを願っています。

着付師・着付講師。一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。美容師から転身し、24歳で教室を開講。のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。