
「夏の着物って、正直すごく暑そう……本当に涼しく着られる素材なんてあるの?」
こんな風に感じて、夏着物を諦めかけていませんか?
涼しさを重視した素材選びをすれば、真夏でも快適に着物を楽しむことができます。
特に、観劇や美術館、お宮参りなど「きちんと感は必要だけど、涼しさも譲れない」場面では、素材の特徴をしっかり知っておくことが大切です。
この記事では、
- 夏着物に向いている素材の違いと選び方
- シーン別のおすすめコーディネート
- 暑さ対策につながる下着や小物の活用法
をわかりやすく解説していきます。
さらに、着物初心者が見落としがちな“透け感対策”や“着用後のお手入れ法”にも触れながら、「涼しさ」と「美しさ」を両立できる夏着物の楽しみ方をご紹介します。
この記事を読めば、自信を持って夏のお出かけに着物を選べるようになりますよ。
夏着物にぴったりの素材は?まずは素材の特徴を知ろう
夏の着物選びで最も大切なのが、「素材の通気性と涼しさ」です。
見た目の涼しげな印象はもちろん、着心地が快適であるかどうかは、素材によって大きく左右されます。
さらに、着用シーンにふさわしい格式や風合いも選び方のポイント。
特に初心者の方にとっては、「違いがよくわからない」と感じることもあるかもしれませんが、代表的な夏素材にはそれぞれ明確な特徴があります。
この章では、「絽・紗・羅・麻・ポリエステル」といった代表的な素材を比較しながら、涼しく美しく夏を過ごすための素材選びの基礎を解説していきます。
絽・紗・羅:代表的な正絹薄物の違い
夏の着物といえば、やはり王道は「正絹の薄物」。
中でも「絽(ろ)」「紗(しゃ)」「羅(ら)」という3種類の織り方は、それぞれ見た目や涼しさに違いがあります。
まず「絽」は、縦糸と横糸を等間隔に抜いた“隙間のある織り”が特徴で、ほどよい透け感と上品な光沢が魅力。
単衣の季節(6月)や盛夏(7~8月)に幅広く着用でき、フォーマルからカジュアルまで万能に使えます。初心者にも扱いやすいのがこの絽でしょう。
次に「紗」は、さらに透け感の強い織り。
風通しが良く、盛夏向けの涼しさが際立ちます。
ただし、透け感が強いため下に着る長襦袢や肌着選びが重要になり、やや中級者向けといえるでしょう。
そして「羅」は、最も織りの隙間が大きく、網代のような独特の立体感が出る高級素材。
非常に涼しいですが、格式高く、着こなしに慣れていないと難しさを感じるかもしれません。
観賞用や上級者向けの贅沢素材ともいえます。
これらの薄物は、どれも汗を逃がしつつ美しい佇まいを保ってくれますが、素材の繊細さゆえに取り扱いには注意が必要です。
次は「麻」や「新ポリエステル」など、もっと気軽に楽しめる実用素材についてご紹介します。
麻(リネン):着物の涼しさと手入れのしやすさ
暑い季節に抜群の通気性を誇る素材といえば、やはり「麻(リネン)」です。
吸湿性・放湿性に優れ、汗をかいてもすぐに乾いてくれるので、真夏でも肌にまとわりつく不快感が少なく、爽やかな着心地が続きます。
ただし、麻はシワが入りやすいという特性があるため、アイロンがけが必要になる場合があります。
とはいえ、適度なシワも“こなれ感”として楽しめるのが麻ならではの魅力。
ナチュラルで柔らかい風合いは、和の涼しさを演出するのにぴったりです。
特に、白や生成り、淡いブルーなどの色合いを選ぶと、見た目にもより涼しげな印象になります。
真夏の街歩きや、お子様のお宮参りなど汗をかきやすい場面では、見た目と快適性を兼ね備えた麻の着物が大活躍してくれるでしょう。
新ポリエステル素材:爽竹®・シルック®などのメリット
近年注目されているのが、「爽竹®」「シルック®」などの高機能ポリエステル素材を使った夏着物です。
従来のポリエステルに比べて通気性・吸湿性・速乾性が格段にアップし、麻や絽に近い風合いと見た目を実現しています。
さらに、雨の日や移動が多い日など、汚れや着崩れが気になる場面でも気兼ねなく着られるのが大きな魅力。
価格も手頃で、サイズ展開も豊富なため、初めての夏着物にもぴったりです。
ただし、ポリエステルは熱がこもりやすく、真夏に長時間屋外にいるときは注意が必要です。
そのため、風通しの良い場所での観劇や室内イベントなど、TPOに応じて着用シーンを選ぶのがポイントです。
機能性と扱いやすさを重視したい方には、まさに理想的な選択肢といえるでしょう。
参照動画:第五弾「化繊」着物に使われる素材
いつ着る?季節×シーン別の素材選び
着物は「季節感を装う文化」が深く根付いているため、夏着物を選ぶ際も着用時期や場所、イベントの格に合った素材選びが求められます。
たとえば、盛夏に絽や麻を着るのは一般的ですが、同じ7月でも屋外のお祭りと、冷房の効いた美術館では適した素材が異なることも。
加えて、着物初心者にとっては「このイベントには何を着ればいいの?」と迷う場面も多いものです。
ここでは、観劇・お宮参り・屋外散策といった典型的な夏のシーンを例に、素材の選び方やコーディネートの工夫をご紹介していきます。
TPOに合わせて着心地と見た目を両立させ、心地よく着物を楽しめるヒントをお届けします。
観劇・美術館などカジュアル~セミフォーマル時
観劇や美術館といった「屋内で落ち着いた時間を過ごすシーン」では、涼しさだけでなく、品のある装いが求められます。
冷房が効いていることが多いため、外気温とのギャップを考慮した素材選びがポイントです。
このような場面では、「絽」の正絹着物が最も安定感のある選択肢。
透けすぎず上品な印象を与えられるため、落ち着いた会場にもよくなじみます。
また、ややフォーマルな印象を与える淡色系の無地や小紋を選ぶと、華美になりすぎず好印象です。
一方で、気軽なお出かけであれば「高機能ポリエステル素材(シルック®や爽竹®など)」も実用的。
エアコンの効いた室内では汗をかきづらいため、通気性よりも見た目の清涼感を重視しても問題ありません。
室内シーンでは、見た目の美しさと汗対策のバランスを考えながら、軽やかな色と上品な柄で洗練された装いを楽しみましょう。
お宮参り・フォーマルなお出かけ時
お宮参りやご挨拶、式典などフォーマル要素のある場面では、「涼しさ」だけでなく「格式」をきちんと意識した素材選びが求められます。
とはいえ、真夏に正絹の重厚な訪問着を着るのは、着る側にも周囲にも負担が大きいため、薄物素材で涼やかさを演出する工夫が必要です。
格式のある場所では、やはり「絽」の訪問着や附下が安心です。
透けすぎず、柔らかく品のある透け感が暑苦しさを軽減してくれます。色柄は淡色ベースで控えめな絵羽模様を選ぶと、清楚で落ち着いた印象になります。
「紗」や「麻」は透け感が強くカジュアル寄りに見えるため、フォーマルな場面ではやや不向き。
ただし、白地や生成りの「上布(麻の高級素材)」や「絹混の麻」など、上質な織りで仕立てられたものなら、格式と涼しさの両立も可能です。
足元や帯回りの小物にも気を配り、草履はシンプルで品のあるデザイン、帯や帯揚げは白系や寒色系を使うと清潔感が増します。
特にお宮参りなど写真に残る場面では、“涼やかに見えること”も大切なマナーのひとつ。
格式と涼しさ、両方をバランスよく取り入れたコーディネートで、夏のフォーマルも心地よく乗り切りましょう。
暑さ・湿度対策としての素材・色柄選び
夏の着物で最も重要なのは、「いかに暑苦しく見せず、着ていて快適か」という点。
特に湿度が高い日本の夏では、通気性だけでなく“見た目の涼感”も涼しさに直結します。
素材選びと合わせて、色や柄の工夫を取り入れることで、さらに快適に夏の着物を楽しめるようになります。
まず素材面では、汗を逃がしやすい「麻」や「紗」、通気性に優れた「絽」が代表的です。
これに加え、「スポーツウェアのような機能素材」を活用するのも現代的な選択肢。
速乾性・吸湿性が高く、風を通しやすいため、湿度が高い日もべたつかず過ごせます。
色や柄も重要な要素です。
白や水色、薄紫などの寒色系は見た目に清涼感を与え、視覚的な暑さ対策に効果的。
特に麻や絽など透け感のある素材では、明るく軽やかな色味を選ぶことで、装い全体が“風通しの良さ”を感じさせる印象になります。
また、大柄よりも細かい柄(流水文様、朝顔、トンボなど)のほうが繊細で涼しげに映りやすい傾向があります。
柄行きに季節感を取り入れるのも和装の醍醐味。
朝顔や竹、金魚など夏らしいモチーフをさりげなく取り入れると、見た目にも心地よさが広がります。
さらに、「汗をかくことが前提」である夏場は、帯や長襦袢にも吸湿・速乾性のある素材を選び、肌に直接触れる部分を快適に保つ工夫が不可欠です。
色・素材・柄すべてを“涼しさ”の視点で選ぶことで、見た目も着心地も格段に快適な夏着物スタイルが完成します。
参照動画:第五弾「化繊」着物に使われる素材
長襦袢・帯・小物でさらに涼やかに見せる
いくら涼しい素材の着物を選んでも、「中に着るもの」や「合わせる小物」が重たく見えてしまえば、全体の印象は暑苦しくなってしまいます。
特に夏の着物では、長襦袢の透け感や色、帯や帯揚げの素材、小物のあしらいが大きな差を生みます。
「涼しく見せる」ことは、単に着心地をよくするだけでなく、周囲に快適さや清潔感を与える重要なマナーでもあります。
ここでは、長襦袢・帯・小物の各アイテムをどのように選び、涼しさを引き立てるのかを具体的に解説していきます。
長襦袢は正絹絽 or 麻?透け対策も解説
夏着物において、着心地と見た目を両立するキーポイントが「長襦袢」です。
なぜなら、薄物の着物は透け感があるため、下に着る長襦袢の色・素材・合わせ方が、直接外見に影響するからです。
まず素材については、「正絹絽」の長襦袢がもっとも上品でフォーマル性も高く、透け感がありながらも肌ざわりが滑らかで快適。
ただし、絹は自宅での洗濯が難しく、湿気を含みやすいという弱点もあるため、お手入れには注意が必要です。
一方、「麻」の長襦袢は汗をしっかり吸い、通気性にも優れており、真夏には最も涼しく感じられる素材です。
自宅で洗える点でも扱いやすく、暑さ対策として非常に優秀。
透け対策としては、肌襦袢の袖や襟が着物から透けて見えないよう、同系色で統一することが大切です。
肌着をキャミソールではなく「半袖タイプ」にするのも、脇の開きから肌が見えにくくなるためおすすめです。
また、長襦袢の袖丈や裄丈は、着物と合っていることが前提です。
丈が短すぎると、着物の袖から中が見えて不格好になってしまいます。
こうした細部の調整が、結果として“美しい涼やかさ”につながるのです。
夏帯と帯揚げ・帯締めの素材・色の工夫
夏の着物に合わせる帯選びは、見た目の涼感とTPOに応じた格のバランスを取るのがポイントです。
帯自体が厚手で重たいと全体の印象も重くなるため、「夏帯」と呼ばれる薄手で透け感のある素材が使われた帯を選ぶことで、見た目も着心地も涼やかに整えることができます。
代表的なのが「絽綴れ」「紗献上」「羅」の帯です。特に「絽綴れ」は品のある透け感と落ち着いた光沢があり、セミフォーマルな場にも適しています。
一方、「紗献上」や「羅」の帯はカジュアル寄りで、涼しげな装いを演出できるので、街歩きや観劇などにぴったりです。
帯と一緒に印象を左右するのが、「帯揚げ」と「帯締め」。
淡いピンクやグレー、生成りの白などの帯揚げは、夏に限らず非常に使いやすいです(参照動画:帯揚げの使える色、使えない色とは?)。
特に、オフホワイト系の帯揚げは、清潔感と柔らかさを同時に演出できる万能アイテムです。
また、真夏は視覚的にも“涼しさ”を重視した配色を意識しましょう。
寒色系(ブルー・ミントグリーン・藤色など)をポイント使いすると、汗ばむ季節でも爽やかで涼しげな印象になります。
加えて、絽や紗の帯揚げ・帯締めは通気性があり、全体の統一感も高められます。
なお、帯周りは視線が集中する部位でもあります。
ビーズ入りの半襟や、ガラスの帯留めなどを合わせれば、さりげなく夏らしさをプラスできます。
素材・色・小物のすべてに「抜け感」と「軽やかさ」を意識することで、上級者のような夏コーデが完成します。
扇子・日傘・ガラス帯留めなど涼感小物活用術
夏着物を快適に美しく着こなすためには、見た目だけでなく実用性も兼ね備えた「涼感小物」の活用が欠かせません。
特に気温や日差しが厳しい日には、小さなアイテムが大きな助けになります。
まず必携なのが「扇子」です。
手元を美しく見せながら汗をさっと引かせる優秀アイテムで、色や柄にもこだわると装いのアクセントにもなります。
例えば白木に水玉や朝顔などのモチーフが描かれたものは、和装にしっくり馴染みながら季節感を演出してくれます。
次におすすめなのが「日傘」。
日除けとしての実用性はもちろん、顔周りに影ができることで、全体の涼しげな印象がアップします。
さらに夏らしさをさりげなく演出できるのが「ガラスの帯留め」。
透明感のある涼しげな輝きが、帯周りに涼風を運ぶようなアクセントとなります。
金魚・朝顔・波文様など季節のモチーフを取り入れると、見た目にも涼しさと遊び心が加わります。
小物選びは“さりげなく季節を添える”のが理想です。
過剰に装飾すると重たくなってしまうため、素材・色・形に統一感をもたせつつ、1~2点の“夏の工夫”を取り入れるのがコツ。
実用性と装飾性を兼ねた小物を味方につけることで、涼しげで快適な夏着物スタイルが完成します。
初めての夏着物:着用前後のチェックポイント
「せっかく選んだお気に入りの夏着物、いざ着てみたら思ったより透けていた…」
「汗ジミが心配で一日中そわそわしてしまった…」
そんな経験を避けるためにも、着用前後のチェックとお手入れはとても大切です。
特に夏の着物は素材が薄く、透けやすく、汗や湿気の影響を受けやすいのが特徴です。
初心者の方ほど、事前の準備や確認をしっかりしておくことで、当日安心して過ごせるようになります。
この章では、サイズ感や透け感のチェック、汗対策といった「着用前の注意点」と、着用後の「お手入れ方法」までを網羅的に解説します。
夏着物デビューを成功させるための実践的なポイントを、一つずつ確認していきましょう。
サイズ・透け具合・襟合せのセルフチェック
夏着物で最も注意すべきなのが、「透け感」と「体のラインの出方」です。
特に絽や紗、麻といった素材は、下に着た長襦袢や肌着のラインが表に響きやすく、思わぬ“肌見せ”になってしまうことも。
まず自宅での試着時には、自然光の下で全身鏡の前に立ち、透け感を確認しましょう。
日差しの強い日中に屋外へ出る場合、光の角度で想像以上に透けることもあります。
肌着と長襦袢は、着物の色に近いトーンで統一するのが基本。
白い着物には生成り、ブルー系にはグレー系など、色のなじみを意識すると上品な印象になります。
さらに、襟合わせの位置も夏着物では特に繊細。
薄手で軽いためにズレやすく、合わせが甘いと胸元がだらしなく見えることがあります。肩を後ろに引いて、首筋が美しく見えるように整えるのが基本姿勢。
事前に半襟や長襦袢の襟元がきちんと重なっているかもチェックしておきましょう。
「着る前の確認」が一日を快適に過ごすための鍵になります。
小さな見落としが後々のストレスになることもあるので、必ず鏡での全身確認と補正チェックを行いましょう。
汗ジミ・洗濯・乾燥の正しい手入れ法
夏着物を着た後、必ず確認すべきなのが「汗ジミ」と「湿気によるダメージ」。
絽や紗などの薄物は特に汗を吸いやすく、放置しておくと変色や臭いの原因になります。
特に首まわり・脇・背中などは汗が集中しやすいため、着用後すぐのケアが着物を長持ちさせる秘訣です。
加藤咲季さんは、「基本はワンシーズンに一度の丸洗いで十分」としたうえで、「一度しか着ていなくても、しばらく着る予定がなければ早めにクリーニングへ」とアドバイスしています(※)。
特にフォーマル着物は着る機会が少なく、収納期間が長くなりがちなので、汗を吸ったまま保管してしまうと後からシミが浮き出るリスクがあるのです。
一方、麻やポリエステルなどの「洗える着物」の場合は、自宅での手洗いや洗濯機の手洗いモードで対応可能です。
洗濯ネットに入れて中性洗剤で洗い、軽く脱水して陰干しするのが基本。シワが気になる場合は、半乾きの状態でアイロンを当てるときれいに仕上がります。
乾燥後は、湿気を完全に飛ばしてから畳み、通気性の良いたとう紙や桐のタンスに保管しましょう。
高温多湿な場所はカビや黄変の原因になるため、押し入れなどに保管する際は除湿剤の併用が安心です。
また、帯や帯揚げ・帯締めは「基本的に洗わない」が原則。
特に帯は芯が入っているため、水分を含むと型崩れや劣化の原因に。汚れが気になる場合は、信頼できる和装クリーニング店に相談するのが無難です。
夏着物はデリケートだからこそ、丁寧な手入れでその美しさを長く保つことができます。
着る楽しみと同じくらい、「脱いだ後のケア」も、着物の魅力を感じられる大切な時間なのです。
※参照動画:【質問へ回答】着物を洗う頻度はどれくらい?
夏着物初心者がまず揃えるべき3アイテム
夏着物に挑戦したいけれど、「一体何を揃えたらいいの?」と迷ってしまう方も多いはず。
着物一式を一度にそろえるのはハードルが高いですが、涼しさと快適さを重視するなら、最低限“これだけは持っておきたい”というアイテムが3つあります。
1つ目は【洗える夏着物】。
初心者にはポリエステル素材がおすすめ。
お手入れが簡単で、汗や汚れも気にせず着られるため、練習用やお出かけ用に最適です。
最近では「シルック®」や「爽竹®」といった高機能素材も登場しており、見た目は正絹と変わらないほど上品です。
2つ目は【通気性の良い肌着・長襦袢】。
夏の着物は透けるため、下に着るものの素材と色選びが重要です。麻や吸湿速乾素材の肌着・長襦袢を用意しておけば、汗をすばやく逃がしてムレを防いでくれます。
また、袖や裾が見えたときも美しく整っているかが印象を左右するため、サイズや色の確認は必須です。
3つ目は【涼感を演出する小物】。
たとえば、薄色の帯揚げや絽の帯締め、ガラスの帯留めなどが挙げられます。
これらは暑さ対策としての実用性と、見た目の軽やかさを同時に叶えてくれる便利アイテム。
この3アイテムを揃えるだけでも、夏着物のスタートラインに立つことができます。
はじめはシンプルな装いから、少しずつ自分らしいアレンジを加えていくのが楽しみのひとつ。
まずは「涼しく・快適に・美しく」を意識して、無理なく一歩を踏み出してみましょう。
まとめ
夏の着物は、「暑そう」「手間がかかりそう」と敬遠されがちですが、素材や小物の選び方を工夫することで、想像以上に快適で、心地よい装いを楽しむことができます。
本記事では、代表的な素材である絽・紗・麻・高機能ポリエステルそれぞれの特徴や、シーン別に適した選び方、帯・長襦袢・小物までトータルで涼やかに見せるコツをご紹介してきました。
さらに、透け感対策や着用後のお手入れといった実践的なポイントも押さえることで、夏でも安心して着物を着こなすことができます。
高価な正絹でなくても、ポリエステルや麻などの扱いやすい素材を使って気軽に始めるのも立派な“着物生活”。
まずは一枚、自分に合った夏着物を選び、涼やかに一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
きっと、暑い季節の着物が少し好きになるはずです。

着付師・着付講師。一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。美容師から転身し、24歳で教室を開講。のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。