「おはしょりの長さ、どれくらいが正解？」
「斜めになったり、シワが寄ったりしてキレイに見えない…」
そんな悩みを感じたことはありませんか？
おはしょりは着物姿の美しさを左右する大切な部分。
この記事では、
- 理想的な長さの目安
- 崩れを防ぐ調整テクニック
- 小物の使い方や体型別の工夫
など、初心者でも迷わず整えられるコツを丁寧に解説します。
おはしょりとは？長さの基本と役割をわかりやすく解説
おはしょりとは、着物を着たときに腰の下から出る余り布のこと。
着物の「身丈」が自分の身長より長いときに、この余った部分を内側に折り返して、腰ひもで留めて作ります。
つまり、おはしょりは着物を美しく着こなすための調整役なのです。
うまく整えば着姿がすっきりと見えますが、長すぎたり斜めになったりすると一気に着崩れた印象になります。
特に初心者は「左右の長さが合わない」「帯の下からボコっと出てしまう」といった悩みを抱えやすいポイントです。
まずはおはしょりの役割を正しく理解し、理想の長さを知ることが、美しい着姿への第一歩です。
おはしょりの役割とは
おはしょりには大きく3つの役割があります。
1つ目は、『着物の丈を調整すること』。
身長に合わせて着物をぴったり着るには、余った部分を折って長さを調節する必要があります。
おはしょりがあることで、誰でも同じ着物を着回すことができます。
2つ目は、『着姿を安定させること』。
帯の下におはしょりが入ることで、布が重なり安定感が増し、帯のズレ防止にもなります。
3つ目は、『フォーマル感や整った印象を与えること』。
おはしょりの出方ひとつで、全体の印象が大きく変わります。
短すぎると寸足らず、長すぎるとだらしなく見えるため、丁寧に整えることが重要です。
初心者でも安心！理想的な長さの目安
おはしょりの理想的な長さは、約5〜6cm。
目安としては、「指1本分強」「親指の幅程度」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
また、おはしょりは左右の長さを揃えることも大切です。
右と左で長さが違うと、全体のバランスが崩れて見えるため、腰紐で調整しながら、左右対称になるよう意識しましょう。
ちなみに、着物の種類によって多少印象は変わります。
カジュアル着物なら多少長めでも違和感はありませんが、訪問着などフォーマル着では「ぴしっと整った短めの5cm」が好印象です。
おはしょりの長さを正確に整える方法
おはしょりを美しく整えるためには、着物を羽織ったあとの「腰ひも」と「伊達締め」の扱い方が鍵になります。
長すぎても短すぎても着姿のバランスが崩れてしまうため、位置や締め加減、ひもの順番などを丁寧に確認することが大切です。
また、おはしょりの「収め方」も見落としがちなポイントです。
帯の下から見えすぎたり、布が膨らんだりするのは、整え方にちょっとした工夫が足りないだけ。
コツさえつかめば、初心者でもキレイに仕上げることができます。
腰ひもで長さを調整するコツ
おはしょりの長さは、主に「腰ひも」の位置によって決まります。
ひもを結ぶ高さで、おはしょりの出る分量が変化するため、意識的に位置を調整しましょう。
基本の目安としては、腰骨より少し上、ウエストより少し下あたりが標準の位置。
腰ひもを高く結ぶとおはしょりは短く、低く結ぶと長くなります。
帯の位置や体型に合わせて微調整すると、左右均等かつ美しいラインが作りやすくなります。
着付け時に腰ひもが斜めになると、おはしょりも斜めにずれてしまうため、特に後ろから見たときのラインを意識すると良いでしょう。
伊達締め・帯のしまい技
腰ひもで大まかな長さを決めた後、おはしょりを整える最終ステップが「伊達締め」です。
伊達締めを使うことで、おはしょりの布がふくらんだり動いたりするのを防ぎ、ピタッと安定させることができます。
コツは、おはしょりの内側を軽く指でなぞりながら、帯の下へきちんとしまい込むこと。
布の端を押し込むように整え、布の重なりを平らにするだけで、着姿の印象がぐっと引き締まります。
これらの工程は、一度慣れてしまえば短時間でできるようになります。
丁寧に段取りを踏むことで、おはしょりのラインは格段に整いやすくなります。
これで悩み解消！斜め・膨らみ・シワのトラブル対策
おはしょりをきれいに整えても、時間が経つと斜めになったり、シワが寄ったりすることはよくあります。
これは「腰ひもが左右でずれている」「おはしょりのたたみ方にムラがある」など、ちょっとした着付けの癖が原因です。
逆に言えば、そこを意識的に直せば、着崩れに強く、美しいラインが長時間キープできます。
ここでは具体的なトラブル別に、実践しやすい対処法を紹介します。
斜めになった場合の対処法
おはしょりが斜めになる主な原因は、腰ひもが左右で高さが違っていることです。
片側が高く、もう一方が低くなっていると、自然とおはしょりの水平バランスが崩れてしまいます。
まずは着付けの際に、腰ひもをウエストラインで水平に締めることを意識しましょう。
腰紐を結ぶとき、鏡を使って後ろ側まで確認すると、斜めになるのを防げます。
このひと手間が、着姿の安定感を大きく左右します。
膨らみ防止！一重・三角上げの手順
おはしょりがモコッと膨らんでしまう原因の多くは、布をうまく折り込めていないことです。
これを防ぐためには「三角上げ」と呼ばれる処理が効果的です。
三角上げとは、おはしょりの脇の部分を斜め上に折り上げ、脇線に沿ってキュッと入れ込む方法。
これにより、布が余らず、帯下に美しく収まります。
さらに、コーリンベルトを併用することで、おはしょりと襦袢をしっかり固定できます。
この三角上げは、脇のたるみを消しつつ、横姿をすっきり見せるのにも効果的。
慣れてしまえば1分もかからず整えられるので、ぜひ習得したいテクニックです。
シワができた時の直し方
時間が経つと、おはしょりに横ジワや折り目が寄ってくることもあります。
これは「帯との接触部分が動いた」「布が引っ張られた」ことによるものです。
そんなときは、帯の下から指を差し込み、布を左右に軽くスライドさせると、自然にシワが消えていきます。
帯締めを緩めずに整える裏技として、「おはしょりの端を少し引き出して戻す」といった方法も有効です。（参考動画：着物の着せつけ方【おはしょり編】）
また、着付け用の小さなクリップ（仮止めピン）を使って、着付けの最中に仮止めしておくと、シワの予防にもなります。
特に斜めになりがちな脇や後ろ側は、補助道具を使うと格段に整いやすくなります。
体型・着物寸法に合う！小物とサイズ調整のヒント
「おはしょりが長すぎる」「短すぎて作れない」といった悩みの背景には、着物そのもののサイズや体型との相性が関係しています。
特に、レンタル着物やリサイクル品はサイズがぴったりでない場合も多く、着付け時の工夫が必要です。
この章では、体型に合わせた補整や、便利な小物の選び方・使い方を紹介します。
サイズが合わないからとあきらめず、道具と工夫で着姿は大きく改善できます。
腰紐・胸紐・コーリンベルトの位置と選び方
着付けに欠かせない「腰紐」「胸紐」「コーリンベルト」は、それぞれの位置や締め方次第でおはしょりの仕上がりに大きく影響します。
まず腰紐は、おはしょりの長さを決める起点。
ウエストより少し下で水平に締めることで、左右バランスが整いやすくなります。
胸紐は、襦袢や着物の衿元を固定する役目ですが、締めすぎると上半身が圧迫されて着崩れの原因になるため、やさしくフィットさせることがポイントです。
コーリンベルトは、おはしょりや衿をピタッと固定したいときに便利。
それぞれのひもは、体型に合わせて柔らかめ・幅広めのものを選ぶと跡が残りにくく、着心地も良くなります。
着物寸法のチェックポイント
おはしょりの作りやすさは、着物の「身丈（みたけ）」や「身巾（みはば）」とも深く関係しています。
身丈が短すぎるとおはしょりが取れず、長すぎると布が余って膨らみの原因に。
着付けをラクにしたい初心者には、自分の身長プラス5cm〜10cmの身丈が目安です。
身巾も広すぎると布がだぶつき、コーリンベルトや腰紐で整える際に苦労します。
補整でくびれを埋めるだけでも、布の流れが整って着崩れにくくなります。
特にヒップラインに沿った補整は、おはしょりや帯のずり下がり防止に有効です。
レンタル着物を選ぶときも、「おはしょりをきれいに出すためには、自分の身丈に合ったサイズかどうか」を確認することが大切です。
試着ができるなら、実際に腰紐を当ててみると失敗を防げます。
プロお墨付き！おすすめ補助小物の紹介
「手持ちの紐だけでは上手く整えられない」、「毎回おはしょりが膨らんでしまう…」と感じているなら、補助小物を活用するのが近道です。
近年は初心者でも扱いやすく、見た目もすっきり仕上がる便利アイテムが多数登場しています。
コーリンベルトや伊達締め、着付けクリップなどは、おはしょりや衿元の安定に大きく貢献してくれる心強い存在です。
正しく取り入れることで、着姿がぐっと美しく、着崩れにも強くなります。
コーリンベルト・伊達締めの選び方と使い方
コーリンベルトは、衿やおはしょりをしっかり固定できる必須アイテムです。
一般的なゴム製のものから、装飾性のあるタイプまで多様ですが、初心者には「柔らかくて伸縮性のあるタイプ」がおすすめです。
コーリンベルトは脇の膨らみを抑えるのに有効で、衿元がずれにくくなることで全体の印象が引き締まります。（参考動画：背中の紐が見えてしまうときの対処法）
伊達締めは、胸紐や腰紐の上から布を押さえる役目があります。
帯の下におはしょりを美しく納めるには、伊達締めで面をきれいに整え、しっかり固定することがポイントです。
夏はメッシュ素材、冬は厚手のモス素材など、季節に応じて選び分けると快適に過ごせます。
胸紐・腰紐・着付けクリップの活用術
胸紐や腰紐は、締め方次第で着姿に大きな差が出ます。
布が浮きやすい人には、幅広でやわらかい素材の紐が向いています。
体型によっては、ひもがくい込みやすい部分を避けて結ぶのも工夫のひとつ。
また、「着付けクリップ」や「仮止めピン」も初心者にとって非常に便利。
一時的に布を押さえるだけで、動いてもラインが崩れにくくなり、結果的に全体の完成度もアップします。
小物は着付けを助けてくれる「補助役」ではありますが、使い方を工夫することで、おはしょりの安定感が格段に上がります。
自分の体型や着付けのクセに合ったアイテムを選びましょう。
まとめ
おはしょりは、着物姿の印象を決める大切なパーツです。
理想の長さは5〜6cmを目安に、左右のバランスを整えることで美しさが際立ちます。
腰紐の位置や伊達締めの使い方次第で、斜め・膨らみ・シワといったトラブルも防ぐことができます。
さらに、コーリンベルトやクリップなどの補助小物を活用すれば、初心者でも整った着姿を保ちやすくなります。
体型や着物の寸法に合わせて調整する工夫を知っておくことで、どんな着物でも安心して着こなせるようになります。
おはしょりをきれいに整えることは、着付け全体の自信にもつながります。
少しずつコツをつかみ、自分らしい着物時間を楽しんでください。
着付師・着付講師。一般社団法人日本スレンダー着付け協会代表理事。美容師から転身し、24歳で教室を開講。のちにオンライン講座に切り替え、累計2000名以上を指導。着姿の悩みをきっかけに「スレンダーに魅せる着付け術」を研究・体系化。現在はオンライン講座やアパレルブランド運営、SNSの発信を通じて着物の魅力を伝えている。YouTube登録者は3.9万人、Instagramフォロワー1.8万人。
